A POSTER COLUMN
2020年までの自動車動力機関の予測
アメリカの技術および自動車産業コンサルタントArthur D. Little & Innovation およびGlobal Automotive Group, DRI-WEFAは共同で、"Future Powertrain Technologies:2008-2020"と題する調査報告書を作成した。これはサプライヤー、OEM、および政策担当者のために作製されたものであるが、題名のように自動車の動力機関、燃料システムに関する2020年までを見据えた将来予測である。結論から述べると、ブッシュ政権が最近発表したFreedomCAR政策に見られるように、官民一体で進められる新動力源の開発努力にも関わらず、2020年頃までは現在の化石燃料を前提とする内燃機関が市場を圧倒するであろうと述べている。
調査研究の前提として、排気ガスの規制、燃料効率およびCO2排出についての社会的要請、原油価格の推移、経済展望に関する3種類のシナリオが仮定され、各々のシナリオに対して自動車の動力源および動力機構の種類とそれらの組み合わせ、燃料システム等の社会的普及の程度が地域別に予測されている。又先行的な動力機構や排気ガスクリーンアップ技術に加えて、先進的なイグニッションエンジン、デイーゼルエンジン、ハイブリッド、FCVの商用化に対する障壁についての評価が加えられている。
この調査報告は、エンジン、動力機構、および燃料システムにおける著しい進歩を予測しており、特にエンジンに適用されるメカトロニクス、潤滑油、生産技術、および材料に関する進歩は、排気や燃料効率において大きな改善を齎すであろうとの予想がなされている。「この先20年間では、例え燃費についてのより厳しい規制が加えられたとしても、ハイブリッド車や動力機構の進歩によって、アメリカ人の間ではなおSUV(sport utility vehicle)に対する人気が持続することになろう」というのが、Global Automotive Groupの見解である。
デイーゼルに関しては、それが排出する微粒子の健康に与える悪い影響により、1部の地域では禁止されることになるかも知れないが、ヨーロッパにおいてはそのような事態が起こるとは予想しがたく、むしろ燃料効率の高いデイーゼルエンジンは、望ましい動力源として受け入れられるとも述べられている。
なおこの報告に関するコンタクト先は以下の通りである。
・Randi Alterman, Arthur D. Little Technology & Innovation, Acorn Park, Cambridge, MA 02140-2390, USA, Tel:+1-617-498-5119,
Email: alterman.r@adlittle.com, www.adltechnology.com
・Phil Gott, Director of Automotive Consulting, Global Automotive Group, DRI-WEFA, 24 Hartwell Avenue, Lexington, MA 02421-3158, USA, Tel:+1-781-863-5105
www.dri-wefa.com
(Fuel Cells Bulletin, March 2002, No.42, p4)
―― This edition is made up as of March 25, 2002. ――