33号 DMFCに係わる新技術の紹介と開発成果

Arranged by T. HOMMA
1. 国家的施策
2. PAFC
3. MCFC
4. SOFC
5. マイクロPEFCエネルギーシステム
6. DMFCに係わる新技術開発
7. FCV開発最前線
8. Dr. F. Panikの記者会見
9. 水素燃料に関する技術開発と経済性
10. 新触媒生製技術
11. マイクロガスタービン


 
 
1. 国家的施策
 工業技術院は水素FC自動車関連技術への取り組みを加速する。わが国では自動車業界独自で水素燃料自動車の開発を進めているが、水素燃料の供給インフラ整備等に係わる技術開発については、アメリカ、EU、カナダに比べて後れ気味であり、国レベルでのテコ入れが必要との判断に立ったものと思われる。したがって、ニューサンシャイン計画で進めてきた水素エネルギー利用技術の開発を、来年度以降は分散利用技術に重点化することにした。具体的には、FCVシステムの開発と水素供給ステーションを短期研究開発項目として位置ずけ、FCVについては水素吸蔵合金タンクを用いた燃料系システムの開発とそれを搭載したマイクロバス、小型バンによる走行実証試験を実施する。又後者については、実用規模のスタンドアロン水素供給ステーションの開発を目標に、小型試験システムの設計・試作および運転試験によってシステムの最適化等を実証することにしている。
(化学工業日報99年2月26日)
 
2. PAFC
(1)三菱電機
 三菱電機は200kWPAFCから得られる167℃の排熱を、吸収式冷凍機の熱源に用いて冷水を作り、これを6,000kW級ガスタービン発電機の吸気冷却に利用して、特に夏季に於いてエネルギー効率を上昇させる新しい発電システムの開発に成功した。99年6月に同システムを日清製油横浜磯子工場に納入する。ガスタービン発電機は、圧縮空気で都市ガスを燃焼し、タービン発電機を回転させる方式であるが、夏には気温の上昇で空気密度が低下するので、空気圧縮機が吸収する空気量は減少する。そのため燃焼器への燃料投入量を減少せざるを得なくなり、冬季に比べて電気出力が大幅に低下してしまうという欠点を持っている。例えば出力6,000kWのガスタービンの場合、気温が30℃以上になると、冬季に比べて約1,000kW出力が低下する。しかし、上記のシステムを適用すると、夏季にはガスタービンで最大740kW、PAFCの出力200kWを加えると総計940kWの出力増加を見込むことができる。三機工業が99年3月下旬までに冷却システムを設置し、三菱電機がFCを含めたシステムの製作を6月中に完了する予定になっている。PAFCとガスタービンの組合せは世界で初めての試みで、本システムは夏季の電力ピーク負荷を軽減させる効果を持つと期待されている。
 他方、同社はビール工場の排水処理で発生する消化ガス(メタンガス)を燃料とするPAFCシステムを、99年3月キリンビール栃木工場に納入する。この消化ガスの主成分はメタン約80%、CO2約20%で、約7,000kcal/Nm3の発熱量を持つ。このシステムの導入により同工場の買電量の7%に相当する年間160万kWhの電力、ならびに1,500kcal/yの熱を回収することが可能となり、年間376トンのCO2が削減される。
 同社は上記のような新しいシステムを市場に投入すると共にコストダウンに努め、2001年度には低価格の第3世代機を世に出し、年間受注台数を20台規模に拡大したいと考えている。
(日刊工業新聞99年2月18日、日刊建設工業新聞99年3月3日)

(2)川崎製鉄
 川崎製鉄は千葉製鉄所で建設中のサーもセレクト方式による廃棄物の熱分解ガス化炉(処理量300トン/日)で産業廃棄物処理事業を展開していくため、三菱マテリアルと共同で“ジャパンリサイクル”を設立し、99年4月から本格的な事業活動を展開することになったが、これと平行して同プロセスでの急冷システムから排出される精製合成ガスを燃料としてPAFCを運転しようとする計画の検討を開始した。この炉は他のガス化溶融炉と異なり、クリーンなガスが得られるという特徴がある。ガスの組成は、例えばCO39%、H234%、CO224%であり、もともと水素を1/3含んでいるので、残り約1/3のCOに水を反応させてCO2と水素を生成することにより全体の水素量を50%以上にまで上昇せしめ、この水素を出力200kW PAFCに利用しようというのが本計画の目的である。PAFC導入の検討と実証には東芝が協力し、できれば99年7月から実験を開始したいと考えている。
(日刊工業新聞99年2月12日、化学工業日報99年3月2日)

(3)東邦ガス
 東邦ガスは東海理化本社工場内に天然ガスを燃料とするONSI製 PC25C PAFCを設置し、99年3月16日から両社共同で実証運転を開始した。今回の実証試験の目的は、耐久性、運転信頼性、利便性の評価に加えて、停電時に重要度の高い系統にFCから単独で電力を供給する“単独給電システム”の有効性を検証することに置かれている。実証運転期間は2004年3月までの5年間である。
(日刊工業新聞、化学工業日報99年3月17日)

(4)UK
 グリーンエネルギー運動を進めているイギリスの地方都市協議会”Thameswey”は、労働者のための公園(Working Park)内のプールやレジャー施設に対するコジェネレーション用としてイギリスで初めてのPAFCプラントを設置することにした。2000年に運転を開始する予定である。他方イギリスに於いて最も大きな電力・熱供給会社の1つであるScottish Hydro-Electricは、イタリアのAnsaldo CLCと共同でPAFCコジェネレーションプラントを設置する計画を進めている。これはDTI (UK Department of Trade and Industry)からの支援によるプロジェクトの1つで、DTIプロジェクトの目的は、コジェネレーション分野に於いて、商業化段階にある天然ガスPAFCパッケイジが競争力を持ち得るような市場を探査することに置かれている。
(UK Newsletter Issue 8, March 1999)

(5)わが国PAFCの導入実績
 わが国に於けるPAFCの導入容量が、99年2月末現在で約4万6,000kWに達し、アメリカの1万2,000kW、ヨーロッパの4,600kWを抜いて世界最大の水準になっていることが判明した。フィールドテスト事業や地域新エネルギー導入促進対策および新エネルギー利用法に基ずく支援事業が寄与しているものと思われる。
(化学工業日報99年3月12日)
 

3. MCFC
 電力中央研究所は、中部電力、IHIと共同で98年6月以来、改良型10kW級MCFCスタックの加圧発電試験を続けていたが、99年2月5日正午現在で5,617時間の連続運転記録を達成した。このFCの電解質には内部抵抗が低いLi/Na系炭酸塩を用いており、動作圧5気圧でも60%台の高い電池効率を記録した。耐久性と効率において優れたこの実験結果は、今後のMCFCの開発に大きな効果をもたらすものと思われる。
(電気新聞99年2月8日)
 
4. SOFC
 工業技術院名古屋工業技術研究所は、電解質はYSZで燃料と空気の混合ガス中で発電可能なバン・グール式SOFCにおいて、負極にはニッケル系、正極には酸化ランタンマンガン(LSM)系材料を用いた第3世代SOFCを開発したと発表した。単室セルは直径12mm、厚さ5mmのYSZ円盤の片側に酸化ニッケルペースト(0.5cm2)、反対側にLMSペースト(同)を添付した構造になっている。ガスシールや薄膜化に技術が不要で、安価な電極材料を用いた点にメリットがある。
(日刊工業新聞99年3月12日)
 
5. マイクロPEFCエネルギーシステム
 アメリカ・マサチューセッツ州にある研究開発会社”Physical Sciences, Inc.(PSI)”は、可逆過程を利用した“マイクロPEMFC/水電解エネルギー貯蔵システム”の開発を進めつつある。これは軍事用偵察、国境パトロール、環境および天候モニタリング、交通制御等を目的に、1年又はそれ以上の長期間に亘って空高く滞留する無人飛行艇(Unmanned Aerial Vehicle;UAV)に搭載される蓄エネルギーデバイスの開発プロジェクトであり、今までに”Air Force Wright Patterson Propulsion Directorate”から$85万が支出されている。蓄エネルギーデバイスはエネルギー密度の高いことが要求されるが、プロジェクトリーダのDr. Michael Kimbleは、大気圧と常温で動作する出力500W(24V)のPEMシステムで、既に0.74kW/lit.の出力密度を実現することに成功したと語っている。このデータは常温(25℃)常圧での動作条件では、従来のPEM(0.4kWlit.)に比べて88%高く、彼は「将来は圧力と温度を上げることにより5-6kW/lit.の実現も可能である」と述べている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, Feb.1999, Vol.XIV/No.2, p5)
 
6. DMFCに係わる新技術開発
 前述の研究開発会社PSIは、NSF (National Science Foundation) からの資金援助を得て、高性能DMFC用イオン交換膜の開発を試みている。同社の研究者Ms.Karen Jayneのリードするこのプロジェクトの目的は、Colorado State UniversityのDr. Charles Martinによって開発されたnanotube membraneを、DMFC用Nafion膜にnanotube layerとして形成ることにより、イオン伝導性を損なうことなく、メタノールのクロスオーバを低減させることである。 彼女は「この様なアプローチについて今までに聞いたことがない」と語っている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, Feb.1999, Vol.XIV/No.2, p5)
 アメリカJet Propulsion Laboratory(JPL)のGerald Halpertは、彼は活発かつ強気の人物ではあるが、DMFC技術について“既に商業化のための準備は整いつつある”と語っている。Halpertによれば、JPLのスタックは動作温度90℃において34%の効率を達成し、耐久性については200時間の連続運転において劣化はほとんど認められなかったとのことである。4,500時間(動作温度60℃)の間欠的運転条件に於いても出力低下は今までの最低に抑えられたと発表されている。又JPLの研究チームは、メタノールのクロスオーバを20%から5%に減少させることのできる新しい膜を開発しており、「これを用いた新デザインのスタックは45%の効率を達成することができよう」との期待を表明した。JPLは軍事用50Wユニットおよび150Wシステムの実証研究を経て、現在1ないし5kWシステムの開発に取りかかっていると報道されているが、その詳細については明らかではない。98年11月のFC Seminarに提出されたJPLの論文には、90℃および60℃の動作温度に於けるセル性能(電圧?電流密度特性)が図示されている。
(1998 Fuel Cell Seminar, Abstracts, Nov.16-19, 1998 Palm-Spring, pp707-709)
 Daimler-ChryslerのFCプロジェクトリーダDr.Ferdinand Panikは、JPLの評価をより慎重に受けとめている。彼はプレス発表に於いて、Daimler-Chryslerは精力的にDMFCの技術開発に取り組んでいるが、効率は現状のメタン改質型PEFCに比較して高くはなく、「私自身の感覚としてはDMFCはPEFCに対して8ないし12年の後れがある」と述べている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, March 1999, Vol.XIV/No.3, p4)
 
7. FCV開発最前線
(1)ドイツBMW
 ドイツBMWは世界の自動車メーカとしては初めてFC搭載の量産車を世に出すと発表した。車載FCは動力源ではなく、車内の電気系統へ給電するための電源で、例えば停車時にエンジンを回転させることなく空調することができる点にメリットがある。同社は駆動用動力源としては内燃機関の方がはるかに勝っていると判断している。世界EXP2000の“クリーンエネルギー”プロジェクトの一環として、2000年にFC搭載BMW7シリーズを導入する予定。
(日刊工業新聞99年3月8日)

(2)三菱自動車
 三菱自動車工業は、三菱重工、三菱電機、三菱石油等三菱グループの協力を仰いで、2003年までに燃料電池電気自動車(FCEV)を実用化する方針を固めた模様である。従来から同社は三菱重工と共同でFCEV用コンポーネントの開発を進めているが、電池の小型化や制御システム、モータ開発では三菱電機に、メタノール等石油に替わる代替燃料の供給や触媒の開発では三菱石油や日本触媒に協力を求めるべく打診を始めている。
(日刊工業新聞99年3月3日)

(3)イギリスのFCバス
 1998年12月に開かれたMotor Industry Research Association(MIRA)の昼食会で、イギリスのEnergy and Industry大臣John Battle氏は、「DTI(UK Department of Trade and Industry)は現在Robert Wright and Sons Ltd.によって進められているメタノール燃料PEFCバスの製作プロジェクトを支援する」と語った。プロジェクトの総費用は385万ポンドで、DTIはその半額を受け持つことになる。目下設計が進められており、バスの総出力は175kWと伝えられている。Johnson MattheyのHotSpotTM技術を発展させた改良型メタノール改質器およびDemonoxTMCOクリーンアップ装置が搭載される。徹底的な試験運転を経た後、恐らく2001年からバス会社によって商業運行に使われることになろう。
(UK Newsletter, Issue 8, March 1999, p1)
 

8. Dr. F. Panikの記者会見
(1)FCVの普及予測
 Daimler-ChryslerのDr. F. Panikは、記者団による“FCVが21世紀にどれくらい普及すると思うか”との質問に対して、「楽観的に見るか悲観的に見るかで大きな差はアルが、2020年までに多ければ2,500万台、少なく見積もって400万台」と答えている。普及のためにはインフラの整備、FCVの性能、および顧客に与える満足度(customer acceptance)が重要な要素ではあるが、特にインフラの整備が決定的であり、もしこの問題が大きく進展すれば、それだけ楽観的なシナリオに近ずくことになる。彼は「インフラの整備に限界があるとして、2010年に200万台」との数字も述べている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, March 1999, Vol.XIV/No.3, p4)

(2)シカゴに於けるFCバスの故障
 “The start was wonderful”しかし、世界で初めての実用FCバスとして注目されたシカゴでの実証運転は、故障によってメーカへの里帰りを余儀なくされている。この水素FCバスの故障は、FC冷却システムの容量不足によるオーバヒートに起因していたようである。「設計段階においてシカゴの夏季と冬季の温度差に対する配慮が欠けていた」と彼は語っている。内燃機関では排気ガスとともに高温熱の大部分が取り去られるのに対して、FCの場合は全ての発熱量をクーリングシステムによって除去しなければならない。逆に内燃機関はピストンが氷結することがあるが、PEM膜にはその問題が発生することはない。彼は感想として「FCシステムの冷却は、我々が思ったほど簡単ではないことが分かった」と述べている。

(3)白金触媒の安定供給
 将来FCVが普及したと仮定して、触媒である白金を、長期に亘って安定したプライスで入手することができるのだろうか? その問いに対してDr. Panikは「我々はその問題について若干の憂慮を感じている。先ず白金の回収を確実にしなければならない。需要の増大によって、コストが上昇するとすればこれは問題である。白金の生産国が南アフリカとロシアに限られている点、そして白金を精錬するのに多量のエネルギーを消費し、それに伴って多量のCO2が排出される点に問題がある」のように答えている。

(4)PEFCはほんとうに安価?
 「PEM材料は高価であり、他のFC、例えばAFCに比べて将来性があるのだろうか?」との質問に対しては「その意見は信じがたい。もともとPEFCは安いという理由で開発が始まった。PEFC以外のFCに対して多くの経験を持つIFC社も、“安価なシステムを作る唯一の道はPEFCである”と語っている。PEFCの競争上の問題点は、それがAFCに比べて効率の低い点にある」と彼は述べている。

(5)Graphite Nanofibersによる水素貯蔵技術
 Profs.Nelly RodriguezおよびTerry Bakerが行っていた“Graphite Nanofibersによる水素貯蔵技術”の研究に対してDaimler-Chryslerが支援(support) を中止した理由について「それは必ずしも正しい表現ではない。(I’ve got to say, that formation was slightly unfair)これは将来に対する研究課題として続けるべきである。唯我々は2004年までに市場への参入を目的に開発を進めており、その時点でこの技術が利用できる段階にはあり得ない。我々の任務は研究ではなく、製品としての自動車を作り出すことである。そして我々にとって重要な決断は、燃料としてメタノールと水素のどちらを選ぶかに置かれていた。そしてメタノールを選択したのである」と述べている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, March 1999, Vol.XIV/No.3, p5)
 

9. 水素燃料に関する技術開発と経済性
 カナダのVancouverで99年2月に開かれた”9th Canadian Hydrogen Conference”に於いて、FCVに対する水素燃料の技術的且つ経済性の問題が討議された。この会議でDirected Technology,Inc(DTI)の研究者は、「先に公表された“自家用FC自動車の燃料に水素を利用する方式は、技術的にも経済的にも有利であるとは考えられない”とするCalifornia Air Resources Board(CARB) の論文は水素に対してあまりにも悲観的過ぎる」と批判し、逆に「水素はFCV用燃料として技術的に実現可能であり、ガソリンやメタノールに比較して経済性で最も有利になるかも知れない」との見解を述べた。更にDTIの代表は「しかし水素燃料について問題が無いわけではない。FCVが販売される以前にインフラに対して膨大な投資が要求されるし、高圧水素ガスの貯蔵はガソリンやメタノールに比べて大きな容積を必要とする。それに水素が危険であると思っている人々を納得させなければならない」とつけ加えている。
 本会議に出席した250人の参加者は、非常に興味を持ってNortheastern UniversityのProf.Nelly Rodriguezによる講演に耳を傾けた。彼女とパートナであるProf.Terry Bakerは、graphite nanofibersによる超高効率水素貯蔵システム(super-efficient hydrogen storage system)の研究に於いて、顕著なブレークスルーを達成したと報じている。この研究は一時期Daimler-Benzから資金援助を受けていた。今までこの研究については、実験結果に再現性がないとの問題点が指摘されていたが、今回の会議では材料の前処理(pretreatment)や試験方法を改善することによって再現性が得られたと報告されている。圧力条件等具体的な実験条件は記されていないので正確な評価は難しいが、実験結果は極めて画期的なものであり、50wt%にも達する水素貯蔵性能と常温に於いて30wt%の水素放出性能が検知されたとのことである。彼女は「我々は3年以内にこれを商業化するのに、決定的な障害があるとは思われない」とさえ述べている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, March 1999, Vol.XIV/No.3, p7)
 
10. 新触媒生製技術
 豊田中央研究所(トヨタ自動車グループ)は、99年2月12日、ナノメータ単位の超微細構造の型取りが可能な新技術を世界で初めて開発したと発表した。従来の型取りでは、表面張力により原料をミクロンを超えるような微細なところまで流し込めなかったが、超臨界流体を利用するこの技術を用いれば、ナノメータレベルでの構造を写し取ることができる。この技術を使えば、粒子の表面積が大幅に増えるので、より効率が高く、高温に耐えられるような吸着体や触媒の開発が可能になり、排ガス中のCO2やNOXの除去、太陽光発電の高効率化等に有効な手段を提供するものと期待されている。FC関連技術では、ガス中のCOや不純物濃度を取り除くための新触媒の開発に役立つものと思われる。
(中日新聞99年2月13日)
 
11. マイクロガスタービン
 日本機会学会はFC・マイクロガスタービンを利用した分散型エネルギーシステムの設計技術の開発と市場予測を目的に、「超小型ガスタービン利用分散型エネルギーシステム研究分科会(主査;平田賢芝浦工業大学教授)」を4月から発足させる。大学研究者26人、自動車・電機・エネルギー分野から約50社が参加する。アメリカでは今春から30kW級のガスタービンが市販されると伝えられており、又家庭用PEFCの台頭もあって、21世紀初頭には小型ガスタービンやFCが自家発電や自動車を中心に数十兆円の市場に成長するとの見解も出されている。この様な状況を踏まえ、同学会は産学協同でそれらの動向を分析することにしたようである。
(日経産業、日刊工業新聞99年3月9日)


― This edition is made up as of March 18, 1999 ―