第05号(August 1996)-アメリカ議会でのFC予算審議とFC自動車情報-(文字認識データ)

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1.日本に於けるPAFCの世界最長連続運転記録
2.PAFC

1.日本に於けるPAFCの世界最長連続運転記録
・アメリカの上院と下院はDOEの交通機関用FC開発計画(DOE's transportation fuel cell program)の1997年度予算として、各々1,910万ドルおよび2,110万 ドルを配分する法案を審議する見込みである。Bob Rose等FCT(Fuel Cells for Transportation)メンバーは、大きい方の額が決定されるよう努力している。2,11 0万ドルになっても本年度の目標を達成するためには充分な額ではないが、他の多くのエ ネルギー関連予算が30ないし40%も減額されていることを考えると、交通機関用FC の予算は過去2年問定常的に推移しており、満足すべき結果と言うべきであろう。 (Memorandum of Bob Rose of FCT members:Legislative update-4,Ju1y19.1996)

・アメリカ政府はGeorgetown大学によって実施されているFCバス計画に対して500万 ドルを要求したが、下院は650万ドルの配分を承認した。(同上) ・下院は定置式FCの97年度開発予算に、大統領府の要求額より450万ドル多い5, 110万ドルを割り当てる予定である。上院は5,010万ドルを承認した。両院の委員 会はMCFC開発計画に対して350万ドルの追加を承認しているし、下院では円筒型S OFCに対して100万ドルの追加を承認した。(同上)

・全般的にFC開発予算は、他の予算が減少傾向であるにも係わらず、相対的に良好な成 績を挙げている。(同上) ・資源エネルギー庁は、オンサイト電源としてFCの普及を促進するため、来年度からホ テル、病院、事務所等におけるフィールドテストに対して補助金を交付することになった。 初年度は8件を対象に石特会計の石油及びエネルギー需給構造高度化勘定で5億年を要求 する。(電気新聞96年8月19日)

・World Fuel Cell CouncilのB.Nurdinは、CLCのFC新聞に寄稿して、次のよ うに述べている。すなわち、FCは発電および自動車の分野で巨大な市場を約束されている。 この技術の商業化に最初に成功した国は、将来の市場に於いて決定的な優位を確保することになろう。 現在世界中で導入されている総発電容量40MWのFCプラントの内70%はアメリカの技術を基 盤としたものであり、それに日本が拮抗する状態となっている。FCの商業化のためには、 技術的性能の達成のみならずコストの低減が必要であるが、そのためには普及とコスト低 減の好循環を実現しなければならない。アメリカと日本は、これを実現するため年間1, 500から2,000万ドルの補助金を交付しようとしており、アメリカでは商業化の時 期は1998年から99年と想定している。これに対してヨーロッパにはFC商業化のた めの努力が欠けており、最近になって設立された戦略では今後10年以内に経済性の面で 競争力を獲得することが目標となっている。これはアメリカに対して7年問の後れであり、 このままではヨーロッパは研究開発に膨大な資金を投入しながら、商業プラントを輸入し 職場を輸出するという結果に陥る可能性がある。ヨーロッパは4年ないし5年以内に商業 化を達成するという戦略を立てるべきであり、それによってアメリカや日本と競争力を維 持することが可能となる」。(CLC Fuel Cell Gazette,July 1996)

・平成9年度のニューサンシャイン計画の概算要求額は総計で576.9億円(平成8年 度は560.7億円)であり、内燃料電池発電技術は59.8億円(平成8年度61.7億 円)である。新規に先導研究開発(超臨界流体利用技術、ガスハイドレート技術)が設け られ、合計3億円の要求が計上された。(日刊電気通信96年8月27日、電気新聞29 日)

2.PAFC
・中部電力は新城変電所に富±電機製出力50kWPAFCの実証運転を実施することに なり・96年7月16日設置工事を開始した。同杜の実証試験規模はこれで5地点450 kWとなった。(電力時事通信1996年7月22日)

・NTTは96年6月25日都市ガスの供給がストップしても、備蓄燃料であるLP ガスに切り替えて連続運転が出来るマルチ燃料電池型燃料電池(PAFC)を開発した」 と発表した。都市ガスと同様にLPガスからも水素を生成すること出来るよう改質器に2 層触媒層を採用するとともに、LPガスの気化にFCの排熱を利用する等、改質系に改良 が加えられている。出力200kWで運転で運転中に燃料を切り替えても出力の変動が無 く、この実績によりFCシステムのマルチ燃料化に道が開かれた。(日経産業、電気、日 刊工業新聞他96年7月26日)

・CLC社はそのFCニュースにおいて、"ヨーロッパに於けるPC25Cパッケージの 導入に関する第2段階が開始された"と報じている。水素燃料の直接利用を目的に改造さ れたPC25Cの第1号プラントは、ドイツのHEW/HGWによってCLCに発注され ている。このプラントは・ドイツのHamburg BahrenfieldにあるLyserstrasse熱供給ス テーションで現在稼働中のPC25Aプラントに隣接して、1997年4月に設置される 予定になっている。PC25Cの第2号プラントは、CLCのパートナー会社であるEES/Ruhrgas(ドイ ツ)による発注で、この天然ガス利用のFCはStadtwerks Saabruckenに設置される。 この事実はドイッの中規模都市に於ける公共事業者からの始めての発注である点に於いて 重要な意味を持つと評価されている。 PC25Cの3号プラントの発注は、スエーデンの電力事業者Vattenfall ABによる もので・1997年第2四半期にスエーデンのVarbergに設置される予定である。(CLC Fuel Cell Gazette,July 1996)

・1991年にCLCが設立されて以来、同杜はFCのパッケージ化に対して貴重なノウ ハウを獲得してきたが、このほど水素リッチの改質ガスを生成する改質器を完成し、その 性能が実証された。これを組み込んだFCの試験運転は1996年5月に行われ、130 kWの直流出力が得られた。(同上)

・1996年6月現在、ヨーロッパにおけるPC25Aの導入実績に関する公表によれば、 運転時間の総計が233,335時間、最長連続運転時間が5,729時間、そして総出力 電力量は37,154MWHであった。(同上)

・東京ガスが東思都環境科学研究所に設置したONSI製出力200kWPAFCの連続 運転時間について、96年8月24日にアメリカSouthern California Gas杜の持つ世 界最長記録8,996時間を更新し、同プラントの高い信頼性を実証した。同プラントは 9月半ばの定期点検まで運転を継続する予定である。(化学工業日報96年8月30日)

・96年4月29日から5月3日まで開かれたアメリカDOEによる水素開発計画 (hydrogenprogram)の年次レビュー会議(anual review)において、同プロジェクトの 開発マネージャーであるN.Rospeiss1は、自動車搭載用水素貯蔵技術に関するブレーク スルーの必要性について論じている。61のプロジェクトの内、水素貯蔵技術に関しては 見るべき成果が無かったようで、本会議の参加者は本プロジェクトが解析的研究に傾きす ぎており、今後は産業界のより積極的な参画が必要であると述べている。(memorandum of Bob Rose to FCT Member)

・Wor1dHydrogenEnergyCon正erenceに於いて、BMW社はSiemens製出力30kWの PEFCを装備したFC自動車Series-3モデルの概念設計を紹介した。Daim1er-Benz 杜のそれとの相違点は、液体水素を燃料に使っている点で、走行距離は625マイル(1, 000km)に達する。Research DirectorのHans-Herman Braessは、「FC自動車 製作の決定を巡って激しい議論があったが、1998年には実証車が社会にお目見えする ことになろう」を述べている。(同上)

・DOEによるFC白動車開発計画のフェーズIlでは正味出力50kWFCの開発が予定 されているが、Ford杜はフェーズ1参画した企業の中から2杜を選定した。(同上)

・シンガポール政府系複合企業で、自動車のメンテナンス、修理、組立等を主力事業とし ているシンガポール・テクノロジーズ・オートモテイブ杜は、アメリカにおける自動車用 FCの開発会杜Hパワー杜の発行済み株式6.25%を取得することで同意した。FCの 将来性を見込んでの先行投資で、取得価格は500万ドルと予想される。(日経産業新聞 96年8月2日)

・通産省(機械情報産業局白動車課)は平成9年度から7カ年計画で超クリーンエネルギ ー自動車の開発に着手することになった。この超クリーンエネルギー自動車の開発プロジ ェクトは、電気、天然ガス、メタノール等を燃料とし、PEFC、リチュウムイオン電池、 デイーゼルエンジン、ガスタービン等の中から複数の動力源を組合せ、エネルギー効率が 高く環境保全に適した白動車の開発を目的とするものである。最終年度に当たる平成15 年には、モデル車の走行試験とそれによる評価を予定している。(電力時事通信96年8 月30日)

・トヨタ自動車は96年9月1日、ニッケル水素蓄電池を塔載した電気自動車小型RV (Recreational Vehicle〕」を始めて発売する。最高速度は125q/h,1回の充電での 走行距離は215q、充電スタンド以外の一般電源からの充電も可能である。価格は49 5万円で、年間100台の販売を目標としている。(日経産業新聞96年7月23日)

・1995年度のわが国に於けるコージェネレーションシステムの導入件数および発電容 量は各々114件および52,288.5kWであり、96年3月末の総設置件数および発 電容量ともに最も大きいのはホテルで、243件、131,287.5kWであり、事務所 および店舗がそれに次いでいる。(日本コージェネレーション研究会CRS NEWS Vol.12,August,1996)

・電力中央研究所は、燃料電池用燃料として有効なメタノールを、低コストで大量に合成 するための技術を開発した。これは1919年にアメリカで開発された"ギ酸メチル低温 合成法"を基本としているが、同研究所が開発した高活性な触媒により、100℃程度の 低温でメタノールを合成することが可能になった。この新しい触媒は、酸化銅と酸化クロ ムを混合粉砕して微粒子化し、それにアルカリ金属アルコキシドを併用したもので、15 0時間以上経過すると、今まで研究されていて銅クロマイトとアルカリ金属アルコキシド を触媒とする方法に比べて収量が50%以上増加することが確認された。又銅クロマイト を供沈法により調整する従来の方法に比較して、製法が極めて簡便化される点に於いても 優れた特徴を持つ。同研究所は更に、多量の炭酸ガスや水蒸気のある環境においても活性 が低下することのないような、アルコキシドに替わる新しい触媒を探索する研究を進めて いる。(日刊電気通信96年8月27日)

・関西電力とダイハツエ業は、東芝、日本電池の協力を得てニッケル・水素電池を搭載し た高性能の電気自動車「シャレード・ソシアルEV」を開発・試作したと発表した。ガソ リン白動車並の加速性能を持ち、1充電当たりの走行距離は120kmに達する。本年1 0月に大阪市で開催される"第13回国際電気白動車シンポジューム"の関連行事に参加 の予定。(電気新聞96年8月27日)

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