第04号 (July 19,1996)− アメリカ、ヨーロッパ、日本に於ける最近のFC情報−(文字認識データ)

Arranged by T. HOMMA


1. 各国政府機関による施策と開発援助
2. PAFC
3. MCFC
4. SOFC
5. PEFC
6. DMFC
7. その他
* A POSTER COLUMN


1. 各国政府機関による施策と開発援助
・アメリカDOEは、FCの商業化を促進するために、大きな一歩を踏み出すことになった。 すなわち、DOEは準商業化段階(market-ready)にあるFCを購入しようとするユーザに対す る財政的な支援計画を打ち出した。今夏DOEは1,500万ドルの交付金を準備するものと思 われる。議会は国防省(DOD)向け一部財源を、DOEによって執行できるよう、同省に振 り向けることを決定した。この初期的な補助政策は、アメリカに於けるFC生産容量を倍増す るものと期待される。DOEによる補助事業は、kW当たり1,000ドル、もしくは全体コス ト(FCユニット価格、配送、設置、1年間の試験運転費用)の1/3を援助しようとする内容 であり、この補助金は出力規模が100kWないし3,000kWのFCを購入しようとするユ ーザに適用される。しかし、対象となるFCはアメリカ国内で生産され、且つ3年以内に運転 準備工程が完了するものに限るとの条件が付されている。上記は補助政策の第1ラウンドであ って、更に第2ラウンドとして1,200万ドルが用意されている。

・下院歳出小委員会(The Interior Appropriations Subcommittee)は、DOEによる交通機関用 FC開発計画の97年度予算として1,900万ドルを提案したが、この額は96年度予算額を 10%下回り、大統領提案(3,020万ドル)よりも1,100万ドル少ない。昨年度も下院 は交通機関用FC開発予算を大幅に削減するよう要求したが、上院で削減額の一部が復活した 経緯がある。今年度もこのような経緯を期待し、Bob Roseは大統領提案の3,000万ドル獲得 の戦術を展開し、少なくとも2,500万ドルは確保したいと述べている。そして彼は、FCT (Fue1 Cells for Transportation)メンバーに対して、この件で上院議員に働きかけるよう要請 している。(Specia1 Budget Update#3,by Bob Rose, June 11.1996)

・定置式発電用FCについては、上記小委員会は1997年度開発予算として5,110万ドル を勧告した。これは大統領の提案額(4,660万ドル)よりも450万ドル増えているが、9 6年度に比べると130万ドルの減額となる。この中でMCFC開発に関しては、3,640万 ドルで、昨年度に比べて170万ドル少ないものの、政府の要求よりは350万ドル多い。(同 上)なお、アメリカDOEのHazel O'Leary長官は、1996年度予算審議に関する議会で、”MCFCの開発推進(MCFC initiative)はDOEが要求している2つの最重要課題の」つにランク される”と発言している。(Congress Maintains Its Support of Fuel cells,FCCG Update/Spring 1996,p7)

・資工庁は来年度に燃料電池モニター事業制度を創設する方向で検討を始めた。住宅用太陽光 発電と同様、設置者に補助金を支給し、稼働率、運転実績、トラブル発生件数と原因等のデー タを収集する。主に業務用を対象とするが、民生用、産業用も対象になる可能性がある。石特 会計からの支出が考えられている。(電力時事通信96年6月14日)

・イギリスのEPSRC(Engineering and Physical Sciences Research Council)は1995年 12月にFC研究開発プログラムに対する第2次提案募集を行ったが、その重点課題としては、 SOFCについてはセル製作と試験、スタックと内部改質技術、PEFCについてはイオン交 換膜、電極/触媒、セパレータプレート、燃料改質が挙げられている。それと並行してイギリス DTI(Department of Trade and Industry)による先行的FC開発プログラムも研究課題の提案 を受け付けているが、これにはPEFCに対してはシステム設計研究、バイポーラプレート、 液体炭化水素系燃料の改質技術が、又SOFCについてはスタック開発、材料とその成形加工 が重点課題に指定されている。(UK News letter,May1996)


2.PAFC
・東京ガスは東京・墨田で実施している地域冷暖房事業の増強にあたり、新たに河川水の熱エ ネルギーを導入するとともに、コジェネレーション用システムの一部として燃料電池(出力1 00kW)も設置することにした。(日経産業新聞96年6月12日)

・東京ガスは、田町の技術研究所構内及び三園浄水場に設置したPC25C(定格出力200 kW)の運転を開始したことを明らかにした。(日刊電気通信96年6月21日)
・東京ガスは、1997年度からPC25Cの本格的なユーザ開発に乗り出し、年間30台の 販売を計画している。市場要望価格は本体15万円/kW、設置工事費10万円/kW、合計2 5万円/kWと見積もられている。(日刊電気通信96年6月26日)

・全世界において1万時間の累積運転時間を超えるPC25Aは47台になった。又累積運転 時間の最長記録は、南カルフォルニアガス杜の1号機(出力200kW)で、30,597時間 に達した。(同上)

・東芝はONSI社と共同開発した200kW級PC25Cの引き渡し価格は現在40万円/ kWとなっているが、将来量産化の進展により2001年には24万円/kW程度にまで下がる との見通しを明らかにした。量産化の数値目標は2001年時点で年間100台に設定されて いる。(電力時事通信96年6月26日)

・Kaiser Permanenteはカリフォルニア州の3病院にIFC杜製200kWPC25を4台導 入し既に運転中であるが、同Kaiserは将来同州に160台のFCを導入する希望を持っている と伝えられる。他方、IFC社は1999年までに1,500ドル/kWの価格を実現し、それ によって年間1,000ユニットの販売が可能であると予測している。 (Business Week,international Edition/May 27.1996,P61)

・関西電力は奈良県立医科大学に、三菱電機製200kWPAFCを設置しすることになり、 7月10日に現地で安全祈願祭を行った。基礎工事、機器据え付け、試運転を経て97年4月 から約4年間検証運転を実施する予定となっている。このFCは医大の電力需要の」部を賄う と共に看護婦寮の風呂給湯用に熱を供給する。(読売新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞他9 6年7月10日)
・東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手3社は、96年度末までにPC25Cを合計 で約10台購入することを計画している。東京ガスの2台、大阪ガスの1台は既に今春から運 転を開始しているが、更に東京ガスが1〜2台、大阪ガスが2台以上、東邦ガスが1台を購入 する計画が固まった。同型の東芝製を含めると、今年度末までに約10台が購入される。(化 学工業日報96年7月12日)

・東芝はFCが商業化の段階に入ったと判断し、量産体制に入ることになった。量産するのは 定格出力200kW電熱併給用PAFCで、合弁会社のアメリカONSI社で生産、96年度 36台、97年度60台、99年度100台、2000年度には200台の生産を計画してい る。標準価格は40万円/kWと設定されているが、年問販売量が100台以上になれば、20 万円代にまで引き下げられる見込みである。(日経産業新聞96年7月14日)


3.MCFC
・FCCG(the Fuel Cell Cooercialization Group〕のニュースレターは、“FCCGにとっ て、1996年が記念すべき年として記憶に残るであろう"と述べている。その理由の第1は、 サンタクララに於けるMW級MCFC実証プラントの運転開始であり、その第2は、FCCG とFCE(Fue1 Cel1 Engineering〕との問で1991年以来進められてきた技術的性能と取引条 件の両面に関する交渉が妥結し、プラントユニット35基の売買に関する基本契約条件 (Principles and Framework〕が成立したことである。上記基本契約の基準に基ずいて、FCC Gメンバーは早期商業生産プラント(Early Production Units;EPU)の購入に関する個別交渉に 入るが、その期間は1998年3月1日までの2年問と定められている。しかし、1997年 9月1日までに1ユニットの契約さえも得られなかったメンバーは、FCCGプログラムに参 画するための“順番待ち"の権利(queue position in the FCCG program)を失うとも記されてい る。1997年9月1日から98年3月1日までの6ヶ月問は、35基の内残ったユニット数 の配分に当てられる予定である。今後FCCGとFCEは少なくとも1基のEPUの購入契約 を獲得すべく、24ヶ月間努力を続けていくことになろう。(FCCG Update;Spring1996,Vo1.6, No.LP1)

・エネルギー関連の市場は、規制緩和や産業界の変遷によってもたらされる厳しい試練を経験 しているが、FCの商業化を目指すMCCGにとってもそれは例外ではない。このような厳し いビジネス環境において、1995年末までに8機関がFCCGから離脱した。MCFCの商 業化を進めるためには、価格の低減はもとより市場での競争に打ち勝つための戦略とFC導入 による利益をはっきり示すことが必要である。FCE社は内部改質型MCFCの概念設計と基 本設計を示しているが、この作業は1,100ドル/kW以下のコストを視野において行われて いる。(Meetingthe Challenges of a Changing Industry,FCCG Update,Vol.6,No.1,p2〕

・The Fuel Cell Mamfacturing Corporation(FCMC)は、MCFCの商業化を展開するため に、1990年にERC社によって設立された。今回同社による過去5年問の事業活動と将来 計画がFCCGによって紹介された。同社による最も顕著な事業活動のつは、サンタクララ に於けるMCFC実証プラントの製作であったが、本事業は96年2月に最後の500kWス タックが同地に搬入されたことにより完了した。既報のようにサンタクララのプラントは既に 発電運転を開始しており、それに伴ってFCMC社の関心は次世代内部改質型MCFC(Direct Fue1 Cell)の生産に向けられている回この次世代MCFCプラントは、ERC社が顧客に購入 するよう提案している最初のMCFC商業機であり、ERC社とアメリカDOEとの協力協定 に基ずいて開発される予定になっている。同プラントの生産に関して、FCMC社は次に示す ような目標を掲げている。1)サンタクララの実証プラントに比べて、セル面積を6ft2(6,000 p2)からft2(19,OOOp2)にまで拡大するとともに、スタック当たりセル数も増大し、スタック 当たりの出力を倍増させる竈その結果、出力2.8MWプラントのスタック数は16から8に半 減する回2)新しい生産機械とプロセスを導入することにより、生産速度と完成品の品質を高 める。最終的には各生産ラインを統合して連続生産ラインを完成させる。3)プロセスの改良、 材料コストの低減、経済的生産規模の採用により、一層のコスト低減を図り、商業化の目標と する価格を実現する。 (FCCG Update/Spring1996,Vol.6No.1,p5,For further information, contact William V.Bakerat ERC)

・三菱電機が、NEDOの委託によって開発した電極面積1m2の電池セルを8枚積層した内部 改質・加圧型MCFCにおいて、世界最高記録である2.2kW/m2(電流密度300mA/m2) の出力密度を達成した回2kW/m2の高出力密度での累積運転時間が、既に300時間に達し ている。今後は長期安定性を確認するため、更に5,000時間程度の高出力密度運転を実施す る予定である。(日経産業新聞、電気新聞その他96年6月26日)

4.SOFC
・アメリカのバークレー国立研究所は、YSZ薄膜電解質を用いたSOFCを開発したと発表 した。従来のSOFCに比べて低温で動作し、出力密度が2倍(出力密度2W/cm2)で且つ コストも低下するものと思われる。700時間安定に動作することが確認され、同研究所では 実用化に対する目途がついたと評価している。(日経産業新聞96年6月5日),br> ・世界に於けるSOFC開発の先駆者であるWH杜は、同社のプラントが2005年までに1, 000ドル/kWになり、その価格での年間マーケット規模は5億ドルに達すると予想している。 (Business Week,ibid.p61〕

・第3回ヨーロッパSOFCフォーラム(The 3rd European SOFC Foro)は、1998年6月始 めフランスのNantesにおいて開かれる。第2回0s1oフォーラムには21カ国から約160人 が参加した。(European SOFC Forum Protedings Ulf Bossel,Pub1isher)


5.PEFC
・Ballard社はBritish Colubia州およびBC Transitとの間で、3台のFCパス実証運転に関 する相互協定(meorandum of understanding)に調印した。この2年計画の費用は860万ドル である直(Mporando by Bob ose,May2.1996〕

・クライスラー社はDOEのPartnership for New Generation of Vehicleに基ずいて、ハイ ブリッド車の開発を目的とする8,480万ドルの新規契約を結んだ。(同上),br> ・GM社はLos Alamos Natipal Laboratoryとの共同研究計画を止め、メタノール用PEFC のプロジェクトをニューヨーク州RochesterのDelphi divisionに移転した。Delphi燃料電池 プロジェクトのtechnical dirttor;Matthew Fronkは、Ballard社及びDuPont社をパートナ ーとし、DOEプログラムを新地で継続していくと述べている。(同上)

・イギリスBG(BritishGas〕社は、イギリスDTI(Department of Trade and Industry〕によ る先行的FC開発計画(Advanced Fuel Cells Prograoe〕のもとで実施していた“定置式PEF C用天然ガス改質技術開発プロジェクト"の3課題の研究を完了し、その中間成果を発表した。 その第1は、水蒸気改質とCO除去に有効なセラミックス膜の開発に関する研究であり、これ については明るい見透しが得られたものの、PEFCへの適用を実現するためにはなお研究開 発の努力が必要であると述べている。なおImperia1大学において開発された新しいコーテイン グ法の適用が可能であり、それを含めてBG社は本研究の継続を希望している。第2のプロジ ェクトは,メタネーション反応のよるCO除去プロセスにおいて、選択的にメタン化反応を進 行させるための触媒の開発であり、この件ではC02を3%、COを1%を含む改質混合ガスか らCO濃度が50vpm以下の水素ガスを得ることに成功した。第3はthe University of Newcastleと共同で行ってきたPEFC用改質器のコンパクト化に関する研究であるが、熱交換 器に触媒層を形成することにより、見るべき成果が得られたと報告されている。次期ステップ としては触媒の安定性の研究とベンチスケールユニットの試作が予定されている。(EPSRC;UK News Letter,Issue 2,May 1996,LATEST DEVELOPMENT IN SPFC NATURAL GAS REFORMING TECHNOLOGY〕

・今夏に予定されている民主党全国大会の時には、薄汚れた市パスのイメージを」新するよう な新型車が、シカゴ市交通当局によって導入される事になろう。それはBallard Power Systps 杜が開発したFC駆動バスの運行である。CTA(Chicago Transit Authority)のR.Belcuster 長官は、バスからの排出物がクリーンな水のみである事を強調して“この水を飲んでみたら、 私の母親がよく鉄のポットに入れていた水の味がした"と語っている。R.Belcusterは又、将来は 全路線バスの動力がFCに置き換わるであろうと述べた。(How to build a clean Machine;Business Week,International Edition/May27.1996,p58)

・96年5月14日、DaimlerBenz社はベルリンにおいて水素ガスによるFC駆動のMertdes ミニパンを華やかに公開し、記者会見を行った。その席でMercedes-BenzのCEO He1mut Werner は、“FCが内燃機関に替わり得る最も有力な動力源である"と述べてFC車を大いに売り込 んだ。Mertdes社は“ここ10年以内に限定生産を開始し、2020年までには大量生産体制 に入ることになろう、そしてその時のコストとしては50ドル/kWを実現しなければならな い"と述べている。ベンツ社が次期車種としてメタノール駆動を予定していることを考えると、 このコスト目標は燃料改質を含むと考えるべきであろうが、コスト予測については慎重な意見 も多い。FCプロジェクトマネージャーのK-H-Friedrichは、2005年時点においてFCの コストが340ドル/kWを下回ることは無いと予測しているし、Ford Motor社でFC開発を監 督しているBradford B.Bates1 58才)は更に慎重であり、“目標は必要ではあるが、私の生き ている内に実現するのは難しい"と語っている。伺上p61)

・将来巨大な市場性が期待されるクリーン自動車の分野で、現在最も強力な競争相手と見なさ れている電気自動車と比較したとき、FC自動車がはるかに優位に立っていると考えられる。 その根拠として、GM社が売り出した電気自動車EV1の一充電当たり走行距離が110ない し145kmであり、しかも10時間の充電時問を要するのに対して、FC自動車は終局的に はガソリン車と同程度の走行距離が期待されると共に、燃料補給時間が短いことを挙げている。 目下のところ、Daim1er社がFC自動車の開発で先行しているかも知れないが、日本のトヨタ社 は“同社製FC自動車が公開されるのに永い期問を要しないであろう"と述べているし、アメ リカビッグ3も"Collaborative Partnership for a New Generarion of Vehicles"に基ずいて積 極的に開発を進めている(同上)。

・Johnson Matthey社のG.Titcombeは、“FCがブレークスルーを迎えつつあることに今ほど 確信を持ったことはない"と述べ、以下のように話している。アメリカに於ける主要な交通手 段として、自動車が馬車に置き換わるのに4分の1世紀を要している。それを思うとFC自動 車が普及するには数十年の年月を経てもおかしくはない。しかし、ロスアンジェルスや東京の 空気が自動車によって汚されつつある事実を考えると、“成長が必ずしも環境汚染をもたらさ ないような時代"への先導役としてのFCの役割が期待されている。(同上)

・非営利民間団体"Fuell Cells 2000"のRobert R,Rose会長は、Daimler-Benz社によるFC自 動車の開発を“自動車の歴史に於ける画期的な出来事"と賞賛した。そして彼は“Daim1er社と Ballard社がここ2年間にFCの容積及び重量を1/5にまで切り詰めることに成功した"点を 評価すると共に“日本のトヨタ自動車が今年の後半にはFC自動車を 誕生させるかも知れない“と述べ、このままでは"アメリカはFCの応用に関する国際的競争 の分野において後れをとることになる“と警告している。(NEWS from FUEL CELLS 2000, for ioediate release, May14.1996〕

・松下電工は7月16日、カセット式ガスボンベ付ポータブルFC発電器rRVジェネレータ」 を開発したと発表した。同ユニットはカセットボンベに蓄えられたブタンと水蒸気を反応させ て水素を生成する水素発生器、COを除去するためのシフト反応触媒部、および発電部となる PEFCによって構成される。カセットボンベ1本当たりの発電能力は約600Whで、セル は理論上8,000時間の持続運転が可能と伝えれれている回同社は来年11月に出力1kW級 の製品を、又2000年にはアウトドアでのレジャー用300W 級の製品を発売する予定である。(電気新聞96年7月17日)


6.DMFC
・改質器が不要で且つ110℃以下の低温で動作可能なDMFCは、交通機関の動力源や可搬 式電源として極めて魅力あるデバイスである。Newcast1e大学に於ける過去2年問に亘る研究 成果は、出力密度が300mW/p2にも達するDMFCの出現を示唆している。このような高密 度化は、触媒層を付着したNafion TMの適用によって可能となった。電極面積が9cm2の小型セ ルによる実験研究段階を経て、今や300cm2の大型セルが試作され、熱処理やダイナミック な応答性等のスケールアップに伴う性能の評価試験が行われようとしている。電解膜でのイオ ン伝導性や抵抗値、メタノールのクロスオーパー効果、水分や熱管理等、性能や運転条件を把 握するためには、数学的モデルが有効である。近い将来、25個のセルからなる出力0.5kW のDMFCスタックが試作される予定となっている。(EPSRC;UK Newsletter,May1996,PROGRESS WITH THE DMFC-UNIVERSITY OF NEWCASTLE by Prof.Keith Scott)


7.その他
・RITEは食品工場からの廃棄物、生ゴミ、下水汚泥等から微生物の働きによって水素を生 成する研究を91年度から開始しているが、本プロセスで得られる水素を燃料電池によって電 力と熱に変換するシステムの実現が期待されている。(化学工業日報96年6月4日) ・金属技研は同杜茨城工場に、燃料電池用セパレータを量産するための燃料電池開発工場を新 設し、6月19日に完工式を挙行した。生産されたセパレータは日立製作所に納入される予定。 (日刊工業新聞96年6月20日)

・1995年に於ける日本の白金需要は、自動車触媒用では減少したものの、宝飾、工業、投 資の分野では増加し、94年に比べて約4%の増加、需要量の合計は69トンとなった。南ア フリカの生産量は約105トンで、ロシアからの輸出量は27%増えて約40トンとなった。 その結果世界の需要バランスは6トンの供給過剰となった。ドル建て相場は94年に比べて約 20ドル上昇したが、国内相場は円高により約50円低下、小売価格の年平均は1g当たり1, 341円(年間最安値1,219円)で推移した。(プラチナ情報No20;遠藤プラチナム)

・アメリカCARB(The California Air Quality Board〕は、自動車の排気に対する新たな規制 EZEV(Equiva1enttoaZeroEmission Vehicle〕を提案し、これについてのワークショップ を7月2日にカリフォルニア州ElMonteにおいて開催する。これはZEV規制に相当するもの で、自動車からの排気、燃料からの蒸発ガス、燃料補給時における排出ガスに対して適用され る。走行5万マイル検定基準150,000mile certification standard〕の規制値は以下のようにな つている。 非メタン有機ガス:NMOG(Nooethane Organic Gases〕O.0049/mi1e, NOXガスO.029/mile 微粒子:PMlParticulateMatter〕O.O049/mile COガス0.179/mi1e (MEMORANDUM by Bob Rose,June 11.1996)

This Version is made up as of July17.1996一

* APOSTER COLUMN
特集「最近の燃料電池システム」雑誌OHM1996年7月号(オーム社)

・最近の燃料電池の動向-本間琢也
・燃料電池とは-太田健一郎
・リン酸型燃料電池-木村 正
・溶融炭酸塩型燃料電池-加茂友一
・固体酸化物型燃料電池-小関和雄
・固体高分子型燃料電池-光田憲朗