第184号 FC・太陽電池・蓄電池のセットが普及
Arranged by T. HOMMA
1.国家的施策
2.地方自治体による施策
3.FC要素技術の開発
4.PAFC事業展開
5.SOFC開発および事業展開
6.エネファーム事業展開
7.FCV&EV最前線
8.水素生成精製技術開発と事業展開
9.FC&水素関連計測・観測技術の開発
・A POSTER COLUMN
1.国家的施策
(1)国交省
 国土交通省は8月1日、7月に行われた国際海事機関(IMO)第55回防火小委員会の結果を公表した。環境負荷の小さい自動車として自動車業界で開発が進んでいる水素燃料FCVや天然ガス自動車(NGV)の安全な海上輸送のためのルール整備が具体案をまとめるところまで進んだが、自動車専用船(PCC)とフェリーでの輸送頻度の違いを要因に最終化が見送られている。水素FCV、NGVで燃料に使用される水素などのガスは空気よりも軽く、日本船舶技術研究協会を中心とした検討結果を通じ、IMO海上安全委員会では既存のガソリン自動車、デイーゼル自動車の輸送安全基準に追加した基準を策定する方針が合意されている。今回の会合では、∇着火源排除のための電気機器を防爆型にする、∇COを用いた消化装置を設置する場合にはCO容量を倍増させる、∇船内に携帯型ガス検知器を搭載する、などのルール整備がおおむね合意されたが、PCCに比べてFCVなど次世代型自動車の輸送頻度は低いとの指摘から最終化には至らず、次回会合で引き続き審議することが決まった。(日本海事新聞11年8月2日)

(2)経産省
 経済産業省は8月8日、革新的低炭素技術集約産業国内立地推進事業の採択結果を発表した。革新的技術の活用で大幅なCO削減効果が見込まれる低炭素製品の国内立地を支援するもの。同事業は産業空洞化を回避するとともに、低炭素産業の成長を促進するのが狙い。グリーン技術分野で革新的技術を初めて導入する1号ラインへの投資が対象で、15億円を上限に、大企業は1/3、中小企業は1/2を補助する。応募48件から22件を採択した。22件のうち中小企業の案件は4件、分野別ではエコカー部品、太陽電池関連、リチウムイオン電池(LIB)関連、省エネ型情報機器関連が各4件、戸田工業と関西触媒化学のLIB関連部材、SUMCOの太陽電池関連部材、日本ケミコンのキャパシター、東芝FCシステム・東芝ファイナンスのFC分野案件が採択された。(化学工業日報11年8月9日)

(3)科学技術基本計画
 政府は8月19日、2011年度から15年度までを対象とする第4期科学技術基本計画を閣議決定した。東日本大震災からの復興を遂げて持続的な成長を実現するため、科学技術イノベーション政策を重視、テーマは1)被災からの復興・再生の実現、2) 環境・エネルギーが対象のグリーンイノベーション、3)医療・介護・健康が対象のライフイノベーションに分けて論じている。特にグリーンイノベーションでは、再生可能エネについて、既存技術を飛躍的に向上させるほか、宇宙太陽発電や藻類バイオマスなどの革新的技術の獲得、分散エネについては、FCや蓄電池に加え、水素供給システムと超電導送電、スマートグリッドの研究開発を促進、そして基幹エネルギー源の高効率化と低炭素化に向け、石炭ガス化複合発電(IGCC)とCO回収貯留(CCS)を組み合わせたゼロエミッション火力発電の研究開発を促進することを謳っている。原子力の研究開発については、東電福島第1原子力発電所の検証を踏まえてから実施するが、原子力の防災研究や放射線計測、汚染水処理などの技術開発は強化する。(電気新聞11年8月22日)

2.地方自治体による施策
(1)大阪府
 大阪府などでつくる官民の協議会"大阪エコカー協働普及サポートネット"は、エコカーの普及に向けた啓発活動や情報発信を強化する。イベントなどでEVを始めとするエコカーの展示や試乗会を行うほか、ホームページやメールマガジンなどで府民や企業へエコカーの情報を提供し、2020年までに府内自動車の約半数にあたる180万台のエコカー導入につなげるのが目標である。エコカーはEV、HV、天然ガス自動車、クリーンデイーゼル車、FCVなどが対象。(日刊工業新聞11年7月27日)

(2)東京都
 東京都は7月29日、住宅用ガス発電給湯器とFCの購入費用を補助する事業の申請受付を始める。出力1kW当たり10万円を支給する。両システムの普及により、震災後不足する電力の確保につなげる。ガス発電給湯器は標準的な出力1kWの設備で1万件、FCは標準的な出力0.75kWの設備で2000件の申請を見込む。事業費は2011年から2年間で11億5000万円。(日本経済新聞11年7月29日、日刊建設工業新聞8月5日、電波新聞8月19日)

(3)岐阜県
 岐阜県は次世代エネルギー振興特区(仮称)の申請に向け、次世代エネルギーの導入・促進に関する規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置などについて、アイデアを募集する。次世代エネルギーとは、太陽光や風力、小水力などの新エネと、FCや蓄電池など革新的技術、EVやPHVなどの次世代自動車を含む。県は6月29日に総合特別区域法が公布されたことを受け、今秋に同法に基づく次世代エネルギー振興特区の指定申請を行う予定。(建設通信新聞11年8月2日)
 岐阜県はEVやPHVの普及に向け、自動車メーカー3社や県内5市などと"次世代自動車推進協議会"を発足させる。県は168台に(3月末)にとどまる県内の次世代自動車を2013年に1500台、20年に15万6千台に増やす目標を掲げている。(岐阜新聞11年8月17日)

(4)北陸グリーンエネ研
 北陸グリーンエネルギー研究会は8月1日、東京文京区の区営春日自転車駐車場で、廃棄アルミ発電機の出張充電を始めた。区が貸与する電動アシスト自転車向けで、高純度アルミ60gで100WFCを1時間稼働できる。8月いっぱい実施する。(北日本、福井、北国、富山新聞11年8月2日、日経産業新聞8月16日)

3.FC要素技術の開発
(1)信州大
 信州大学工学部機械システム工学科の中山准教授は、チタン粉末に気相法炭素繊維(VGCF)を添加した混合粉末使用のFC用セパレーター材料を開発した。製造法として常温圧縮せん断法を採用、硬さでチタン圧延材の約2倍、接触抵抗で約75%の減少を達成している。中山准教授は、プレス成形により流路の成形や肉薄化が可能で、軽量性にも優れる新たなチタン系に着目。導電性に優れるVGCFを用い、チタンとの複合材料を開発したことで、チタン系の弱点とされる導電性を改善した。今後研究開発を加速し、FC技術を保有する企業との共同研究にも着手したいとしている。2〜3年後の実用化を目指す。(化学工業日報11年8月12日、日経産業新聞8月18日)

(2)東大
 東京大学の中村教授らと産業技術総合研究所の研究チームは、鉄原子が化学反応を促進する様子を電子顕微鏡で直接観察することに成功した。1個の金属原子があれば触媒作用が進むことを明らかにした。白金触媒にこの手法を応用すれば、FCの反応などに生かせる。(日刊工業新聞11年8月23日)

4.PAFC事業展開
 富士電機は東北福祉大学国見ヶ丘キャンパス(仙台市)にPAFC"FP−100i"を寄贈した。出力は100kW、同キャンパスにはガス発電機や太陽電池も設置されており、今回のFCと併せて自家発電能力は850kWと、同キャンパスで使う電力の8〜9割を賄える。同キャンパスには付属老人福祉施設があり、非常時の電力確保が必要なことを考慮し、富士電機の東日本大震災被災地支援の一環として寄贈した。(日刊工業新聞11年8月10日)

5.SOFC開発および事業展開
(1)JXエネ
 JX日鉱日石エネルギーは7月28日、東日本大震災で被災した仙台製油所(仙台市)の復興計画を発表した。来夏としていた生産再開を来年3月末に前倒しするほか、津波被害を受けた出荷用設備を製油所内の高台に移設する。あわせて事務所内に出力30kWの太陽光発電施設、出力0.7kWのSOFCを3台、容量50kWhの蓄電池を導入、これでパソコン、照明などの使用電力の半分を確保できるという。又非常時の電源確保と平時の新エネルギーシステムの実証にも役立てる。復興にかかる投資総額は約500億円の見込。又出荷用設備の移設で空き地ができる西地区には1MW級メガソーラーの導入を検討する。(朝日、日経産業、日刊工業、電気、北海道新聞、河北新報、岩手日報11年7月29日)

(2)住友精密
 住友精密工業(尼崎市)は11年度中に、都市ガスを燃料とする発電出力5kW級の業務用SOFCシステムの事業化に乗り出す。本社工場に数十億円を投じ、2013年度から量産を開始、同時に現在開発中の100kW級も量産ラインに乗せるほか、相手先ブランド(OEM)供給で家庭向けも展開し、15年度には売上高100億円規模はと拡大させる。同社は01年からFCの開発を始め、07年からはNTTや東邦ガスと共同開発に取り組んできた。住友精密は心臓部となる発電ユニットの設計製造を担当した。平板型セルを数十段積み重ねた機器などで構成し、この共同開発で世界最高レベルの発電効率を実現した。(神戸新聞11年7月30日)

(3)日立金属
 日立金属は、耐酸化性と強度を向上させたSOFC用素材"金属インターコネクター材"を開発した。インターコネクター(セパレータを含む)には、作動温度での長時間耐酸化性、良好な電導性、電解質(ジルコニア系セラミックス)に近い熱膨張係数等の性能が要求される。一般のステンレス鋼は耐酸化性が不足し、耐酸化性の優れたニッケル基合金は熱膨張係数が大きく、耐酸化性に優れたアルミ添加合金は酸化被膜の導電性が不十分、などの課題があった。同社はこれらの要求特性を満たすインターコネクター材の開発に取り組み、05年秋に鉄とクロムが主成分のフェライト系ステンレス鋼"ZMG232L"を開発、今回更に導電性、耐酸化性および強度を向上させたインターコネクター材"ZMG232J3" "ZMG232G10"を開発した。(電波新聞11年8月11日)

6.エネファーム事業展開
(1)北海道ガス
 北海道ガスは8月中に、道内の都市ガス事業者としては初めて、都市ガス仕様のエネファームを発売する。大震災以降、電気に依存し過ぎる生活を見直そうとする機運を捉え、オール電化に対抗し、2年間で150台の販売を目指す。(北海道新聞11年7月27日)

(2)積水ハウス
 電力不足への懸念が高まる中、積水ハウスは8月8日、FC、太陽電池、蓄電池の3つを組み合わせた環境配慮型住宅商品"グリーンファーストハイブリッド"を発売した。電力容量8.96kWhの大型鉛蓄電池を搭載しており、停電時でも入浴が可能で、かつ出力200Wの冷蔵庫、150Wの液晶テレビ、100Wの照明、600Wのエアコンなら、同時に8時間継続して使うことができる。一般住宅と比べ、年間の光熱費を約26万円減らせると云う。住宅本体を除く3電池の価格は、蓄電池は200万円、FCは240万円、太陽光発電は44万8000円/kW、国や自治体の太陽光発電補助金制度を活用し、出力3.5kWの太陽電池を使えば計470万円となる。3ヶ月で150棟の販売を目指す。(読売、朝日、毎日、産経、日本経済、日経産業、日刊工業、大阪日日、中日新聞11年8月9日、中国新聞8月11日、北海道新聞、住宅新報8月16日、河北新報8月19日)

(3)FCA
 FC普及促進協会がまとめた11年度"エネファーム"導入支援補助金申し込み受け付け停止日(7月7日)までの申し込み受理台数(11年度累計)は、8133台(都市ガス仕様6959台、LPガス仕様1174台)となった。建物区分は新築が65%、既築が35%、戸建て住宅が98.3%を占めた。受理台数500台以上は、東京都:1540台、神奈川県:1256台、愛知県:773台、大阪府:711台、兵庫県:581台。同補助金制度は09年度から実施しており、11年度は導入のための補助金を10年度より28%多い86.7億円を計上、1件当たりの上限額は105万円であった。(電波新聞11年8月10日)

(4)日本ガス協会
 日本ガス協会が8月9日に発表した「2010年度の都市ガスコージェネレーションシステムの累計設置容量」は、前年度比1%増の453万2千kWとなった。10年度単年度では4万6千kWの増加。医療施設や民生用で新規需要の開拓が進んだ他、エネファームなど家庭用も堅調であった。ガス協会では「11年度は大幅に増えるのではないか」とみている。(電気新聞11年8月10日、日経産業新聞8月11日)

(5)東ガスと大ガス
 東京ガスと大阪ガスは8月23日、停電時に自動停止するエネファームを停電時でも使えるよう改良する方針を明らかにした。停電時の弱点を改良することで普及につなげる。具体的な改良点としては、東ガスは起動用電源として外付けの蓄電池を採用することなどを検討、ただ現状では価格が100万円以上する可能性があり、コスト低減が課題となる。 東ガスや今年度中に発売することを計画している。大ガスは蓄電池方式の採用を検討する一方、電圧の制御技術を高めて、起動後なら外部電源が止まっても安定的に発電が続けられる仕組みを研究している。来年夏までに改良する。(毎日新聞11年8月24日)

(6)大昇
 大昇(大阪市)はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)機能を持つHEMSを搭載した戸建て分譲住宅"リンクスが―デン"の販売に乗り出す。太陽光発電やEV対応家庭用充電器、エネファーム、電気・ガス・水の使用量を「見える化」するシステムを標準搭載している。(日刊工業新聞11年8月24日)

7.FCV&EV最前線
(1)LG化学
 韓国のLG化学はアメリカの先進バッテリー・コンソシアム(USABC)から、EV用次世代バッテリー技術開発プロジェクトを受注したと発表した。契約額は9億6200万ドル、USABCの他DOEも一部資金を供与する。USABCはアメリカ自動車調査協議会(USCAR)傘下の業界団体で、HV、EV、FCV用バッテリー開発を推進している。(電波新聞11年8月3日)
 GMとLGグループは、EVの設計・開発を共同で行うことで合意した。GMのアンカーソンCEOはEVの開発を最優先課題に掲げている。(フジサンケイビジネスアイ11年8月27日)

(2)スズキ
 スズキは9月13日からドイツで開催される"フランクフルトモーターショウ"の出品概要をまとめた。欧州で公道実験しているFCスクーターなど計24台を出品する。(日経産業新聞11年8月16日)

8.水素生成精製技術開発と事業展開
(1)BMW
 独BMWはこのほど、アメリカ・サウスカロライナ州で、埋め立て地ガスを水素に変換するための研究プログラムを開始すると発表した。FCなど向けに供給する水素の効率的な生産を目指す。州政府や現地研究機関と共同で、メタンやCOなどで構成されるガスから効率的に水素を取り出す研究を進める。BMWは同州に北米地域の生産拠点を置いており、昨年には工場内に水素貯蔵、分配システムを構築し、FCにより電力供給に活用している。同社では「今回のプロジェクトが成功すれば、世界最大規模の地産地消水素エネルギーシステムに切り替えられる」としている。なお同社はアメリカDOEと共同でFCV実用化に向けて水素を効率的に格納するための技術開発プロジェクトも進めている。(電気新聞11年8月8日)

(2)宮崎大学と新潟大学
 宮崎県と宮崎、新潟両大学、光学機器メーカーの三鷹光器(東京)の産官学が連携し、太陽熱を利用して水から水素を精製するシステム研究に乗り出す。水素を製造する技術を今後10年かけて確立し、FCVやFCなどへの活用を目指す。宮崎県によると、5千万円の費用を県が負担して、宮崎市の宮崎大キャンパス内に、三鷹光器が開発したビームダウン式集光装置を2011年度中に設置する。地上に並べた多数の平面鏡で集めた太陽光を、高さ十数メートルのタワー上部にあるドーム形の鏡に照射し、反射光を真下の装置で集める仕組みで、約1500℃に達する太陽熱を使って、新潟大が開発した水を分解する技術で水素を精製する。又集光装置では通常の約500倍の太陽光を集められることから、発電効率の高い太陽電池の研究開発も行う。年間の快晴日数や日照時間が全国上位の宮崎県は09年に"ソーラーフロンテイア構想"を策定し、メガソーラーの誘致や太陽光発電関連産業の育成などに取り組んできた。(日本経済新聞、新潟日報11年8月22日)

9.FC&水素関連計測・観測技術の開発
 パルメソ(長岡市)は、福井大学の岩井教授と、ダイアモンドライクカーボン(DLC)など硬質薄膜材料表面の強さを評価する"MSE(マイクロスラリージェットエロージョン)試験装置"を共同開発した。セラミックス微粒子を材料にぶつけ、同微粒子の摩耗度合いを計測、摩耗率という尺度で評価する。松原社長は「新材料の開発や品質評価に利用できる」としている。水と直径1μmのセラミックスをスラリー状に混合し、数億個のセラミックス粒子を含んだスラリーを、圧縮空気を使って100m/秒の速さで材料表面に投射し、摩耗率で材料毎の表面強さを表す。摩耗率が低いほど表面強さが大きく、ダイアモンド焼結材では0.0002、シリコン材では6.3程度の値で示す。材料表面の粒子摩擦の大きさに比例して、摩耗度合いが変化する現象を利用した。同社では「単層多層両方の偏光フィルムやリチウムイオン電池、FCに使われる薄膜の強さを数値で出力評価できる」とみている。(日刊工業新聞11年8月26日)

 ――This edition is made up as of August 26, 2011――

・A POSTER COLUMN

11年度新エネルギー予算の現状
 自民党は8月11日に開いた地球温暖化対策特別員会と"日本の明るい未来のための創エネ・省エネを進める議運"の会合で、11年度新エネルギー予算の現状を関係省庁から聴取した。
 それによると、経済産業省の取りまとめでは、導入普及促進に514億円、技術開発に292億円、実証に9億円で、計815億円の予算措置をしている。全体の予算815億円の中、太陽光だけで430億円と過半を占めていることが明らかになった。(表参照)
 環境省は、地球温暖化対策技術開発等事業(競争的資金)で62億円を用意。交通や住宅・オフィスの低炭素化技術開発を対象分野にしている。
 加えて五島列島における洋上風力発電に6億円、バイオ燃料導入加速化事業に24億円、温泉エネルギー活用加速化事業に5億円、小水力発電や太陽光を動力に使わず屋内照明に利用する、地中熱利用やFCなど小規模地公体対策技術率先導入補助事業に5億円を計上した。
(金融経済新聞11年8月22日)

効率60%とCOゼロを目指すIGCCとCCSハイブリッドシステム
 北九州市にあるJパワーの若松研究所は、石炭ガス化複合発電(IGCC: Integrated Coal Gasification Combined Cycle)とCO分離回収(CCS: Carbon Dioxide Capture and Storage)という最先端の技術開発拠点となっている。プロジェクト名はEAGLE(Coal Energy Application for Gas, Liquid and Electricity)で、高さ20m、直径3mの石炭ガス化炉圧力容器を起点にガス精製装置、出力8千kWのガスタービン発電機などが配置されている。
 石炭火力発電所は国内の発電量の約1/4を占める。同研究所の大園所長代理は「電力を安定供給するためには、これからも一部は石炭に頼らざるを得ない。出来るだけ効率を進めなければ」と話す。
 石炭火力の発電効率は国内平均で約40%、更にOGCCで50%超えに、更にSOFCの併用で60%超にすることを目指す。CO回収に数%程度の電力を使っているため、発電所全体の効率は少し落ちる。
(産経新聞11年8月23日)


表 11年度新エネルギー対策予算の全体像

技術開発 292億円

  太陽光 革新型太陽電池国際研究拠点の整備 21億円
太陽光発電システム次世代高性能技術の開発 60
  バイオマス バイオエネルギー等高効率転換技術開発 26
セルロース系エタノール革新的生産システム開発 24
戦略的次世代バイオエネルギー利用技術開発 16
  風 力 次世代風力発電技術研究開発
洋上風力発電等技術研究開発 37
  海 洋 海洋エネルギー技術研究開発 10
  蓄電池 次世代蓄電システム実用化戦略的技術開発 25
革新型蓄電池先端科学基礎研究事業 30
新エネルギー系統対策蓄電システム技術開発 20


導入普及促進 514億円

    住宅用太陽光発電導入支援対策費 349億円
    新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金 130
    再生可能エネルギー熱利用加速化支援対策補助金 35