第167号 ガス各社がPVとFCのW発電を推進する
Arranged by T. HOMMA
1.SOFC関連技術開発
2.PEFC、DMFC等要素技術の開発
3.エネファーム事業展開
4.FCVおよびFC移動体最前線
5.水素ステーション事業
6.水素生成・精製技術開発
7.モバイル用DMFCの開発と事業化
8.FCおよび水素関連計測・評価技術と事業展開
9.次世代FCに向けての基礎研究成果
10.FCの新用途開発
・A POSTER COLUMN
1.SOFC関連技術開発
(1)日立金属
 日立金属はSOFC用セパレーター(インターコネクター)の市場に本格参入する。鉄とクロムを主成分とする特殊なステンレス合金を素材とし、耐酸化性や導電性、熱膨張率などセパレーターに求められる高い特性を実現、SOFC向けにサンプル出荷を始めた。セパレーターには高温状態で耐酸化性や導電性の確保のみならず、電解質層と熱膨張差が小さい特性が求められる。これまでは導電性セラミックスが使われてきたが、コストや加工性、軽量・薄型化の点で金属系への注目度が高まっている。しかし、一般的なステンレス鋼板では高温下での耐酸化性が不十分で、耐酸化性を高めたオーステナイト系合金では熱膨張係数が大きいと云う問題が発生、又アルミニウムの添加で耐酸化性を高めた合金では導電性が不十分という問題が生じていた。日立金属では22%のクロムを含み、ジルコニウムとランタンを微量添加したフェライト系合金を開発し、上記の課題をクリア、更にシリコンとアルミニウムを低減させたことで、高温下での酸化を大幅に抑え、導電性を高めることにも成功した。現在子会社の日立金属アドメットで研究開発用途のサンプル品を常備しており、国内の他、欧米の電池メーカーを含め、評価を求めていく。(日刊工業新聞10年3月1日、鉄鋼新聞3月3日)

(2)NEOMAXマテリアル
 日立金属の子会社NEOMAXマテリアル(大阪吹田市)は、SOFC材料向けにクラッド金属材のサンプル出荷を始めた。クラッド材は金属表面に別の金属を機械的に圧着、加熱し、金属拡散を起こして接合を強固にしたものである。銅やステンレスの両面にニッケルを被覆したクラッド材を集電板やセパレーター向けに提案していく。セパレーター材には、ステンレスの両面にニッケルを8対1の割合で被覆し、ステンレスのバネ性とニッケルの低抵抗を満足する特性を1枚の金属で実現した。より抵抗を下げたい集電板には銅の両面にニッケルを3対1の割合で被覆したクラッド材を提案、高温下でもニッケルによる耐食効果の他、更に耐食性に優れ、低抵抗の表面処理も可能としている。(日刊工業新聞10年3月9日)

(3)チノ―
 チノ―はSOFC用のボタン型評価試験装置"FC5300シリーズ"を開発した。従来機は2つのユニットとパソコンで構成されていたが、ホルダーや炉体、加湿器、測定系を一体化して省スペース化に対応し、又セルへのガス供給、蒸気量の高精度制御を実現した。パソコンが標準装備され、全自動運転が可能で耐久試験を容易にできる。高精度で安価なインピーダンス計測器と接続することにより、100kHzまでのインピーダンス測定試験も自動化することができる。価格は700万〜1,000万円、5月以降に電池材料メーカーや大学、研究機関に発売、年30セットの販売を目指す。(日刊工業新聞10年3月8日、日経産業新聞3月9日)

(4)NEF
 NEFはSOFC実証研究の09年度成果報告会を都内で開催した。NEFは実証研究を07〜10年度の4年間の予定で実施、運転データーを計測・分析し、平均的な電力需要のサイトで、CO排出量は約34%削減できるとしている。又大阪ガスは07年度導入機に比べて08年度導入機は、発電電圧の経時劣化が小さく、SOFCの耐久性・信頼性が着実に改善していると報告した。又北海道ガスは寒冷地での実証について、最低気温が−10℃を下回るような環境でも高い省エネ効果が得られることを示した。(電気新聞10年3月9日)

(5)京セラ
 京セラは、家庭用SOFCシステムで発電ユニットを小型化した。従来の奥行き350mmを、高性能断熱材を採用することにより300mmに縮小、又排熱回収効率の改善も行った。09年度開発機は、08年度機に比べて奥行き以外にも高さは60mm、幅は10mm削減、質量も93kgから86kgに軽量化、大阪ガスに12台、東京電力に1台、東北電力に1台の計14台を供給した。SOFCの課題である耐久性については、07年度機から08年度機への改良で発電効率の低下は大幅に抑えられたが、09年度機は更に改善される見通しである。同社は今後更に開発と実証を進め、耐久性やシステムの信頼性を改善する。セル・スタックでは10年・9万時間の耐久性を目指し、製造コストを低減して早期の市場投入を実現したいとしている。(電気新聞10年3月15日)

(6)北大と三菱化学
 北海道大学大学院の本橋教授らの研究グループと三菱化学は、ダブルペロブスカイト型マンガン酸化物が持つ優れた酸素貯蔵性能を発見した。500℃以下の低温で、従来材料の2.8wt%を大幅に上回る3.7wt%の酸素吸収放出性能を確認した。又10秒程度で酸素吸収を完了するなど、吸収速度が既存材料に比べて非常に速い特徴を持つ。自動車排ガスの3元触媒の他SOFCのカソード材料への応用が期待される。近く三菱化学と共同研究を開始する予定で、プロセス最適化による貯蔵機能の向上を図りながら、応用展開を目指す。(化学工業日報10年3月23日)

2.PEFC、DMFC等要素技術の開発
(1)ACALエネルギー
 住友商事が出資するイギリスの"ACALエネルギー"は、白金触媒に替わる安価な金属化合物を触媒に使い、製造コストを下げたPEFCモジュールを試作した。カソードには白金触媒を使わず、特殊な液体を化合物が電池スタック内を循環する触媒システムを用いている。アノード側は白金触媒が必要であるが、白金の使用量を最大9割削減することが可能である。住友商事は同社と事業を共同展開することで合意した。定置型の非常用電源として2年以内の商用化を見込んでいる。(電気新聞10年2月26日、日経産業新聞3月1日)

(2)九大
 九州大学の岸田教授と竹中准教授は、PEFCの性能劣化を防ぐ新技術を開発した。電極の白金触媒を厚さ2〜3nmの安価な2酸化ケイ素膜で覆うと、被膜の働きによって、燃料の水素にCOが混ざっていても、触媒性能を従来の1/8に抑えることができた。アノードにはカーボンナノチューブを使い、直径3nmの白金微粒子を表面に付けた上をSiOで覆った。100ppmのCOを含む水素燃料を使った発電実験では、被膜のない場合、純粋な水素に対して同一電流で電圧が80%低下したが、被膜があるとそれが10〜20%の低下にとどまり、出力は4〜5倍になった。カソードでも白金が溶けだすという問題の解決に、SiOの被膜は有効と云う。(日経産業新聞10年2月26日)

(3)トクヤマ
 トクヤマは11年春までに炭化水素系電解質膜の量産体制を整える。プロトン伝導タイプとアニオン伝導タイプの両タイプで年産1万m2、特にアニオン伝導タイプ(アルカリ膜型FC向け)は触媒にニッケルやコバルトなど白金以外の金属を使用できるので、FCのコストダウンにつながる。アニオン型電解質溶液にイオン伝導性の高いタイプを追加し、09年春からサンプル出荷、更に他社の協力でMEAの試作品を作製した。海外メーカーを中心に引き合いが強く、実証試験も進んでいるため、量産を決めた。(日刊工業新聞10年3月5日)

(4)双日
 双日はガス拡散層(GDL)で、特殊製造技術を持つ台湾メーカー"CeTech"から販売代理権を獲得、国内販売に乗り出す。ロールタイプの供給が可能で、カスタムメード型式で製造することもできる。CeTechのGDLはコスト優位性が高く、耐久性に優れ、又同社はカーボンクロスに加え、このほどカーボンペーパーでもロールタイプ製造技術を確立した。PEFCとDMFCの双方に適合する。(化学工業日報10年3月9日)

(5)ノリタケ
 ノリタケはPEFC用コア・シェル型触媒を開発した。コア材料にニッケルを採用、その外周を白金が覆う構造となっている。白金の使用量を低減でき、コストダウンが可能で、通常の白金触媒に比べて約3倍の活性を示すことを確認している。量産に適用できる水系金属溶液中における還元法で作製した。(化学工業日報10年3月10日)

3.エネファーム事業展開
(1)ワウハウス
 住宅メーカーのワウハウス(福山市)は、水島ガス(同市)と共同で、倉敷市に整備した住宅団地"ワウハウス鶴新田第6団地"を都市ガス仕様のエネファームを標準整備した"エコ団地"とする。水島ガスの試算では、電気料金の約6割が自家発電で賄え、一般家庭(4人家族)で年間5〜6万円程度の光熱費が節約できるとともに、1.2トンCO削減につながると云う。(山陽新聞10年2月26日)

(2)東ガス
 東京ガスは、FCの普及拡大に向けた司令塔組織として4月1日付で"FC事業推進部"を設置する。商品企画、技術支援など全体的な戦略を立案する組織を立ち上げることで、FCの普及拡大を加速させる。FCに関しては、09年5月にエネファームの一般販売を開始しており、ここ数年が市場形成に向けた正念場となる。(電気、日経産業、日刊工業新聞10年3月1日)

(3)テック精密
 テック精密(福岡県)は、日本ケミカル・プラント・コンサルタント(東京)と共同で、家庭用FC改質器用燃焼器を開発した。燃焼器の長さは80mm、円筒部の直径は14mm、厚さ0.8mmのステンレス薄板をプレス加工した部品を使い、価格を従来品の1/6、1本当たり5千円程度に抑えた。2010年度にも量産し、FCメーカーに納入したい考え。(日経産業新聞10年3月3日)

(4)大ガス
 大阪ガスは3月12日、10年度の経営計画を発表、太陽光発電の販売を本格化する。家庭用太陽光発電設備の販売目標を1,800台に、エネファームは2,000台の販売を目指す方針を打ち出した。2010年度は同社サービスチェーンの約200社が家庭に太陽光発電システムを販売し、施行する。シャープ、三洋電機、京セラのPVを扱う。同時にエネファームと組み合わせたW発電の提案も積極的に行う。(読売、毎日、産経、フジサンケイビジネスアイ10年3月13日、日経産業、日刊工業新聞3月15日、電気、日刊工業新聞3月23日)
 大阪ガスは3月18日、エネファームの09年度販売目標1,300台を突破したと発表した。大阪ガスが販売しているのは、東芝FCシステム製で、カタログ値では発電効率は35%以上(LHV)、排熱回収効率が45%以上、総合効率は80%以上、貯湯タンク容量は200Lである。3月1日にはENEOSセルテック製も投入された。価格は税込み325万5千円、最大140万円の公的補助が受けられる。(電気、日刊工業新聞10年3月19日、朝日新聞3月20日、電波新聞3月22日、化学工業日報3月23日)

(5)福岡水素タウン
 福岡県と福岡水素エネルギー戦略会議は、社会実証事業"福岡水素タウン"で、09年3〜9月の省エネルギー効果を取りまとめた。それによると、エネファームを設置した世帯の平均CO削減量は17.1kg/月で、年換算の削減率は14.3%減となった。又エネファーム設置前後の意識変化については、78%が「省エネ意識が高まった」、62%が「こまめに電気を消すようになった」と回答した。(化学工業日報10年3月17日)

(6)広島ガス
 広島ガスは4月、太陽光発電パネルの販売に参入、それとエネファームと組み合わせたセットも提案する。(中国新聞10年3月20日)

4.FCVおよびFC移動体最前線
(1)IHI
 IHIはボーイング社と航空機向けFCシステムの開発で提携したと発表した。ジェットエンジンで発電した電力を有効活用して燃料消費量を抑える。開発するのは航空機内の厨房設備などに使う再生型FCシステム。これは発電機による発電能力余裕分を活用し水の電気分解で水素と酸素を生成・保存、電力不足時にFCで発電するシステムである。11年までに開発し、13年までに航空機に搭載して実証実験を始める。(日本経済新聞10年3月3日、読売、朝日、電気、日経産業、日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイ、化学工業日報3月4日)

(2)上海汽車集団
 中国の上海汽車集団の陳総裁は、自主ブランドのマイルドハイブリッド方式HV車"栄威750"を年内に発売し、又12年には燃費削減率50%のPHV車"栄威550"を発売、EVも市場投入する考えを示した。上海万博会場では、EV,FCVなど約1,000台のクリーンエネルギー車を提供する。(電気、日刊自動車新聞10年3月9日)

(3)GM
 GMは3月17日までに、大きさを従来の自社モデルに比べて半分にしたFCを開発したと発表、2015年までに同電池を搭載したFCVの商業生産が可能になるという。新型FCは従来製品よりも約100kg軽く、白金使用量も1/3で、低コストで大量生産が可能になったとしている。(日刊自動車、日刊工業、電波新聞10年3月19日)

5.水素ステーション事業
(1)JHFC
 JHFCは3月2日、都内でセミナーを開き、FCVと水素ステーションの実用化に向けた09年度の研究成果を発表、FCVに水素を供給する水素ステーションの事業が成立する本格的な商用化時期を25年とする目標を新たに設定した。水素ステーション普及に向けては、建築基準法や高圧ガス保安法など関連規制見直しの課題を整理した。(日刊工業新聞10年3月3日、日刊自動車新聞3月4日、8日)

(2)東邦ガス
 東邦ガスは、70MPaの圧力で水素を充填できるステーションを建設、15日から検証試験を開始した。愛知県東海市の東邦ガス研究所に設けた。投資額は5億円。(電気、日刊工業、北海道新聞10年3月16日、中日新聞3月19日)

6.水素生成・精製技術開発
(1)田中貴金属
 田中貴金属は3月2日、水素(透過)分離膜に用いるパラジウム系圧延箔の超薄膜加工技術を確立し、サンプル出荷を開始すると発表した。圧延法を採用することで緻密な膜が形成され、欠陥の少ないパラジウム膜が製造できる。最小膜厚5μm、最大幅200mmのパラジウム系超薄膜の製造が可能になり、水素透過量が3倍に増加、パラジウム量も削減できるため、水素製造装置などのコストダウンが実現する。家庭用FCで1kWの出力を得るためには、10L/分程度の水素ガスが必要であるが、新透過膜を利用すると面積は73cm2、パラジウム量は0.4gですむ。(日刊工業新聞、化学工業日報10年3月3日)

(2)日本計画機構
 日本計画機構(東京都)が保有するバイオマスからの水素製造技術(ブルータワー技術)を使った水素製造プラントが、福岡県に建設されることが決まった。地元の建設廃材や間伐材など木質バイオマスを熱分解ガス化し、併設の精製装置で高純度の水素を製造する。同社は数年前にドイツからガス化技術を導入、独自の開発を加えてバイオマス利用でネックとなるタール発生を少なくし、水素リッチなガスが生産できるようにした。既に実証プラント2基が設けられているが、今回商用ベースに乗せる本格的なプラントを建設することになった。水素の製造主体は、新出光の子会社"イデックスエコエナジー"で、製造されたバイオ水素は新出光が全量を買い取りユーザーに販売する。試運転を12年度に行う。(西日本新聞10年3月4日、日刊建設工業新聞3月5日)

7.モバイル用DMFCの開発と事業化
(1)東芝
 電圧が東芝は09年10月に、携帯電話やパソコン用マイクロDMFC"デイナリオ"を3,000台限定で発売を始めたが、現在「出荷状況は想定通り推移している」という。(日刊工業新聞10年2月26日)

(2)村田製作所
 村田製作所はモバイル用DMFC向けポンプを開発した。圧電セラミックス製マイクロポンプ"MZPシリーズ"で、厚さは約1.3mm、消費電力は従来比10%程度に抑えているという。サイズは縦24mm、横23mm、6kPa以上の空気自己吸引圧力、35kPa以上の液体吐出圧力を実現している。(電波新聞、化学工業日報10年3月11日、日刊工業新聞3月15日)

8.FCおよび水素関連計測・評価技術と事業展開
(1)JEFテクノリサーチ
 JEFテクノリサーチ(東京都)は3月2日、次世代電池の評価解析を請け負う施設"電池材料解析評価センター(千葉市)"を4月に開設すると発表した。電池の試作から性能試験までを受託し、電池会社や材料メーカーの新製品開発や不具合の原因究明などを支援する。同センターにはスタッフ10人が所属、2次電池や太陽電池、FCなどの開発受託を予定している。(日経産業、日刊工業、鉄鋼新聞、化学工業日報10年3月3日、日刊自動車新聞3月9日)

(2)新コスモス電機
 新コスモス電機(大阪市)は、開発中の車載用高速応答水素センサーモジュールを、自動車メーカーに試験提供していることを明らかにした。FCVで水素の漏れを1秒以内に検知する性能を実現した。又水素を検知する球体の検知素子"マイクロ−CS"は直径が0.2mmとなる小型化に成功した。使用可能環境は―30℃〜85℃、湿度は10〜95%、重量は約80gで、水素を検知するとアナログ信号を発信する。車載性能についての独自試験で、4千km以上走行しても検知性能に劣化のないことを証明、又コンクリート上に12mの高さから落下させても性能に異常はなかった。耐水、耐塩水試験やEMC試験も実施し、繊細な水素検知機能と車載性能の両立に取り組んでいる。(日刊自動車新聞10年3月8日)

9.次世代FCに向けての基礎研究成果
 理化学研究所と高輝度光科学研究センター(JASRI)は3月8日、温度によって3種類の相変化を持つ"マグネリ相チタン酸化物(Ti4O7)"の物性を解明したと発表した。X線光電子分光とレーザー光電子分光を使って観察し、154K以上の高温相では通常の金属とほぼ同じ物性を示し、高温相と低温相(半導体相)との間に挟まれた中間相は、金属でも半導体でもない「奇異で異常な相」であることを発見した。次世代FCの電極などへの利用に向けた重要な指針になると見られる。(日刊工業新聞、化学工業日報10年3月9日)

10.FCの新用途開発
 宮入バルブ製作所は、LED照射およびFCの改質器や火力発電所から回収したCOを供給・連動した野菜栽培用システムを開発した。COは同システムの制御バルブを通じて、植物工場内にある水耕栽培中の野菜に送られ、水耕栽培時の光合成に使われる。又野菜にはLEDが照射される。COの濃度と流量、LEDの照射時間を同時に制御することにより、「COが光合成で全て消費される環境を作り出す」と同社は語っている。野菜の種類でシステムが異なるため、導入価格は決まっていない。水生生物の飼育用途を含め、3月から農業生産法人などに販売する。(日刊工業新聞10年2月26日)

 ――This edition is made up as of March 23, 2010――

・A POSTER COLUMN

スマートハウスの実証実験
 大阪ガスと積水ハウスが京都府木津川市で行っている「太陽電池、天然ガスを用いた家庭用FC、蓄電池の3電池を組み合わせて昼夜を通じて自家発電し、需要の少ない深夜帯には電力を蓄電池にためるなど効率の良い制御法を探る」スマートハウスの実証実験では、4人家族の2階建て住宅(150m2)であれば、最大で年間排出量の8割にあたる約5トンのCO排出削減が可能であることが分かった。この結果をもとに開発を進め、2015年以降の実用化を目指すとしている。
 エアコンや照明、給湯などの機器はコンピューターで一元管理し、目標を上回って電力を使った場合は警告を発して、必要のない機器の電源を遠隔操作できることができるシステムの研究も進めている。  同事業は経済産業省の委託事業の一環で、同省は将来的に住宅全体からでるCOを半減する目標を掲げている。
(朝日新聞10年2月27日)

政府が温暖化基本法で原子力の推進を盛り込む
 政府は3月12日、地球温暖化対策基本法案を閣議決定し、即日国会に提出した。
 鳩山首相が「日本の温室効果ガス排出量を20年までに25%削減、更に50年までに80%削減する」と表明したことを受けて、同法案は原子力を始め「あらゆる政策を総動員する」ことによって目標を達成するため、地球温暖化対策の基本的な方向性を明示した。
 基本的政策の1つとして"原子力に係わる施策等"(第16条)を掲げ、温室効果ガスの少ないエネルギー源への転換を促進するため「特に原子力に係わる施策につては、安全の確保を旨として、国民の理解と信頼を得て推進するものとする」との表現が盛り込まれた。
 "革新的な技術開発の促進等"(第19条)では、1)再生可能エネルギーの利用、2)安全確保を基本とした原子力発電、3)エネルギー使用の合理化、4)FC、5)蓄電池、6)CCS、に関する革新的技術の開発・普及を促進する施策を講じる、としている。
 国内排出量取引制度の創設(施行後1年以内を目途に成案)を謳い、地球温暖化対策税の2011年度からの実施に向けた検討を行うとしている。又太陽光、風力、水力、バイオマスなど再生可能エネルギーの供給目標を、05年実績の5.9%から20年までに10%に高めることを目標に掲げ、再生可能エネルギーから発生電力の全量固定価格買取制度の導入も講ずる、ことを盛り込んだ。
(原子力産業新聞10年3月18日)

経産省の次世代自動車戦略、2020年にEV80万台、HV120万台
 経済産業省は地球温暖化対策を推進するため、EVなど次世代自動車の新車販売に占める割合を引き上げ、2020年に50%、30年に70%を目指す方針を固めた。電気自動車(EV)の年間販売台数を20年に80万台、ハイブリッド車(HV)のそれを120万台程度に増やすことを目標に、充電器の整備や電池の技術開発支援を強化する。
 3月25日に学識者や自動車業界トップらで構成する"次世代自動車研究会"の作業部会を開き、30年までを視野に入れた普及拡大の道筋を示す。4月中旬に正式にまとめ、日本の産業競争力の強化策を示す"産業構造ビジョン"に盛り込む。
 経産省は20年までに温暖化ガスを1990年比25%削減する鳩山政権の目標を達成するには、新車販売に占める次世代自動車の割合を50%以上に引き上げる必要があると判断、自動車メーカー各社の取り組みに加えて、政策的な後押しで普及拡大に弾みを付ける必要があるとしている。
 20年までにEVの保有台数を200万台程度に増やす目標を掲げるとともに、家庭向け充電器の配備目標も200万台に設定する。約15分の充電で80kmの走行が可能になる急速充電器は1台600万円と高価なこともあり、現在は150台程度しかないが、これを5,000台に増やす。設備費用の1/2を国が補助する現行制度などについても、拡充を検討する。
 EVについては、1台400万円を超える価格の高さが普及のネックになっているが、その大半は電池が占めているので、生産コストを下げる技術開発を後押しする。電池の形や性能の評価方法、充電システムなどで国内の規格統一に早期着手し、国際規格づくりを主導できるようにする。家庭で充電できるPHV車の普及にも弾みを付けたいとしている。
(日本経済新聞10年3月25日)

環境省は20年の年間販売目標、EVが約67万5千台、HVが120万台
 環境省の"地球温暖化対策に係わる中長期ロードマップ検討会"が、地球温暖化対策の中長期ロードマップ案を策定した。検討会では自動車など各分野毎にWGを設けて専門的観点から議論し、今後国民各層による議論のたたき台としてまとめている。
 自動車WGでは、ユーザーが通常の車両よりも価格の高い環境車を購入しても、ランニングコストで投資回収が充分に可能で、車両総重量や1日当たりの走行距離などに応じた環境対策車を導入するといった施策を検討、EV、HV、天然ガス車、FCV以外にも、E10(バイオ燃料10%混合ガソリン)の普及を想定している。
 主な対策では、従来車の燃費改善として20年に05年比で約13%の向上を目指し、燃費基準の設定や早期基準達成車の税制優遇などを掲げる。又EVやHVにおける電池の量産化、次世代電池の開発支援、EVカーシェアリングなどの取り組みに加え、エコドライブポイントや優先駐車場のような日常的インセンテイブ付与なども指摘している。
 こうした施策による20年の年間販売台数はEVが約67万5,000台、HVが約120万台と見込み、自動車分野での温室効果ガス排出量は、05年の2億2,500万トンから20年には1億3,500万トン〜1億4,900万トンへの削減を見込んでいる。
(日刊自動車新聞10年3月23日)