第142号 家庭向けマルチ燃料改質装置の開発
Arranged by T. HOMMA
1.国家的施策
2.地方自治体による施策
3.SOFC関連の研究開発と事業展開
4.PEFC要素技術の開発
5.家庭用PEFCの実証と事業展開
6.FCV最前線
7.水素貯蔵および輸送技術の開発
8.DMFCおよびマイクロFCの開発
9.FC周辺機器の開発と事業展開
10.FCの新商品開発と事業
・A POSTER COLUMN
1.国家的施策
(1)経産省
 甘利経済産業相は2月1日の閣議後会見で「7月の北海道洞爺湖サミットに合わせて日本型のゼロエミッション住宅を展示したい」と述べた。このゼロエミッション住宅は、FCで発電し、ヒートポンプで給湯や冷暖房を行い、照明にはLEDを使うなど、省エネ・新エネをふんだんに取り入れたもので、モデルルームの設置場所は、後志管内留寿都村に開設される国際メデイアセンターなどが有力視される。又同相は世界最大級の太陽光発電所の建設を検討する考えを明らかにした。(北海道新聞08年2月1日、電気新聞2月4日)
 経済産業省は2月1日、総合資源エネルギー調査会の部会を開き、太陽光発電やFCなど新エネルギーの普及策を議論した。大規模な太陽光発電所の建設、風力や太陽光発電などクリーン電力の利用拡大など、新エネ導入の具体化に向けた方向性を今後3ヶ月程度で打ち出す方針を確認した。部会では太陽光発電を家庭に普及させるための行程表作成の他、大規模太陽光発電所建設の必要性を協議、バイオ燃料、クリーンエネルギー自動車、新エネルギー法やRPS法の見直しなども含めて、必要に応じ作業部会を設けて検討する。(日本経済新聞08年2月2日、電気新聞、化学工業日報2月4日)

(2)JHFC
 FCVと水素エンジン車の寒冷地実証実験や試乗会、水素充填実験などが、2月4日から8日まで札幌市中央区の"さっぽろ雪祭り会場"などで行われている。JHFCの一環としてJARIおよびエン振協が実施している催しで、7月の洞爺湖サミットへの参加もアピールした。参加したのは、FCVではトヨタのFCHV、日産のX-TRAIL FCV、ホンダのFCX、メルセデス・ベンツのF-Cell、GMのHydroGen3、マツダの水素エンジン自動車RX-8である。(産経、電気、北海道新聞08年2月5日、フジサンケイビジネスアイ2月7日、日刊自動車新聞2月13日)

(3)環境省
 環境省は2月7日、今後の低炭素社会の構築について検討する中央環境審議会に論点整理を提示した。世界のCO2など温暖化ガスの排出量を50年までに半減するという長期目標"クールアース50"を政府が07年5月に提案したことを受け、こうした方針に適合した社会像を検討。産業、行政、国民が一体となって大量生産・大量消費・大量廃棄社会から脱却するという意識を持つことが必要であるという基本理念を掲げた上で、都市や交通、エネルギー供給など各分野について、具体的なイメージを示した。(日刊建設工業新聞08年2月8日)

(4)NEDO
 NEDOは2月14日、ベンチャー企業などで生まれたFCなどの新しいエネルギー技術の研究成果を事業に結びつける"新エネルギーベンチャー技術革新事業"の助成先を公募すると発表した。ベンチャー企業の他、起業を想定している大学なども対象になる。助成総額は08年度が約2億円で、20件前後を募る。期間は1〜3年で、1件当りの助成額は初年度1,000万円以内。応募締め切りは4月14日。(日経産業新聞08年2月15日、電波新聞2月18日、電気新聞2月26日)

2.地方自治体による施策
(1)山梨大と山梨県
 山梨大学と山梨県は2月4日までに、FCの性能や信頼性の向上、製造コストの低減など実用化に向けた研究開発を目的に、"ナノマテリアル研究センター(仮称)"を共同で整備する方針を固めた。県は用地として、廃止を決めている旧知事公舎などの敷地建物を大学側に無償貸与し、山梨大はNEDOの研究プロジェクトを活用して施設整備を進める。山梨大の構想では教授や准教授、研究員35名程度が常勤する他、国内外の研究者を招き、共同で研究に取り組む。(山梨日日新聞08年2月5日)

(2)産総研、九大、福岡県
 福岡県では既に、水素と材料に関する種々の現象を科学的に解明することを目的に、産業技術総合研究所"水素材料先端科学研究センター"が九州大学伊都キャンパスに設立されているが、同県はこれを核に人材育成講座の開講などで水素研究開発の拠点化に努めている。08年度からは、電気照明やコンロなどに使う燃料の4割強を水素エネルギーで賄う100〜200世帯規模の水素タウンづくりを、県内の一戸建て住宅地で進める。福岡、北九州両市に水素供給施設を設置し、両市間の公道でFCVの走行試験を行う水素ハイウエイにも着手する。(日刊工業、西日本新聞08年2月6日)
 福岡県の麻生知事は2月26日、新日本石油と西部ガスエネルギーの協力を得て、"水素タウン"を同県前原市の南風台団地と美咲が丘団地に計約150戸整備すると発表した。対象世帯にFCをリースし、3年間省エネ効果を測定する。県は新年度に説明会を開いて設置希望者を募り、10月から実施したい意向である。福岡水素戦略(Hy-Life プロジェクト)の第1弾。(西日本新聞08年2月26日、電気、日経産業、日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイ、化学工業日報2月27日)
 九州大学は、水素エネルギー技術を専門に研究する大学院を08年4月"伊都新キャンパス"内に開校する。修士課程"水素工学コース"は工学府機械科学専攻内に設置、4月から水素エネルギーやFCの開発などについて講義を始め、約10人の学生を見込んでいる。大学院では基礎研究からFCVの実用実験まで幅広い研究を行う。(日本経済新聞08年2月22日)

3.SOFC関連の研究開発と事業展開
(1)東工大
 東京工業大学総合理工学研究科の八島准教授らは、九大石原教授や物質・材料研究機構の泉特別研究員ら共同で、SOFCの電極などに使うプラセオジム、ニッケル、酸素で構成するプラセオジムニッケル酸化物中において、酸素イオン分布を初めて可視化することに成功した。高性能な酸化物のデザインに役立つほか、SOFCの性能向上や開発期間の短縮につながると期待している。同酸化物中に酸素透過性と熱安定性に優れるランタン、銅、ガリウムを添加した試料を使って実験した。X線の代わりに高温中性子回析で試料を測定し、電子による乱れを避けて原子核の分布をとらえた。常温では分布が見えないため、1000oC前後の高温状態にまで加熱した。実験の結果、同酸化物中で酸素イオンが拡散する経路が明らかになった。温度依存性も調べ、約600oCで局在していた酸化物イオンを1015oC程度まで加熱すると、広範囲にわたって連続的に分布する様子が分る。なお同酸化物は酸素透過膜の材料としても有望視されている。(日刊工業新聞08年2月6日)

(2)大ガス
 大阪ガスは08年度、出力700WSOFCコージェネレーションシステムを一般家庭に設置し、それらによる実証研究を信頼性向上に役立てて市場導入を図る。将来的にはガスエンジンのエコウイル、PEFCと合わせて3種類のシステムを用意し、電気・熱の需要パターンが異なる様々な家庭のニーズに合わせる。大阪ガスはSOFCシステムを京セラ、長府製作所と商品化に向けた共同開発を続けているが、目標とする発電効率45%(LHV)、排熱回収効率30%(LHV)については目途がたった。運転方式は24時間運転を想定しているが、07年3月から2ヶ月間の自社フィールド試験では優れた負荷追従性を確認、家庭の1日当たり使用電力を7割以上賄い、CO2排出削減率は4割に達したという。更に集合住宅への設置も見据えて個別機器の仕様や配置を見直し、最新型では発電ユニットの奥行きが35cm、排熱利用ユニットでは30cmまで薄くなった。又ユニット前面からメンテナンスを行えるようにした。
 商品化に向けた課題は、耐久性・信頼性の確保であるが最終的には寿命10年を目指す。価格面については、高価な触媒が不要で、しかも比較的部品数が少ないことが有利な条件である。07年度NEFによる実証研究事業では、全国で設置される29台のうち20台を運転試験するなど、大ガスは意欲的に技術開発を進めている。 (電気新聞08年2月14日)

(3)シンガポール
 シンガポール経済開発庁(EDB)は、イギリスのロールスロイス社、テマセックグループ、科学技術庁(ASTAR)などによるSOFC開発プロジェクトにおいて、kW級試験設備でビルなどのコージェネレーション向け実証試験が、本格化していることを明らかにした。コンソーシアム形式で研究チームを設け、最終的に1MW級SOFCシステムを開発するのが目標である。ロールスロイス社は、シンガポールに開発拠点を設け、05年からSOFCシステムの本格的な研究に着手していた。EDBのクリーンエナジーグループによれば、ロ社を中心に政府系テマセック、特殊セラミックスメーカー、Accuronテクノロジーズの研究コンソーシアムが、実証機の実験を本格化させている。(化学工業日報08年2月27日)

4.PEFC要素技術の開発
(1)兵庫県立大
 兵庫県立大学の杉江他曽宏教授の研究グループは、自動車用PEFCにおけるセパレーターをステンレス板で安く作る技術を開発した。エポキシ樹脂やフェノール樹脂を焼いて作る従来品に比べて安く、電池全体の価格を抑えられる。新しい製造法は1.5cm角のステンレス板を真空容器に入れ、アセチレンなどのガスを吹き付けつつ板の表面に炭素原子を約1μmの厚さで積み上げる方式で、炭素の膜を作ることによってセパレーターの導電性を高め、又10cm角のものを200円以下で量産できるという。又ステンレス製セパレーターは樹脂を焼き固めたものよりも強度が高くかつ薄くできるので、FCを小型化できる利点もある。(日経産業新聞08年2月25日)

(2)クラレ
 クラレは耐熱性の高い炭化水素系ポリマーを使った電解質膜を開発した。同社が開発した高耐熱型電解質膜は、耐熱性を示す"ガラス転移温度"が225℃で、通常のフッ素系の膜よりも100oC以上高いのが特徴である。膜の耐熱性が向上したことで、高温動作が可能になる。同社は同時にMEAを開発、自動車向け参入を視野に、ハロゲン物質を使わないハロゲンフリーのMEAを投入する予定である。電極の触媒層に炭化水素系電解質を採用、通常のフッ素系製品と同等の出力を確保した上で、フッ素を使わずにハロゲンフリーを実現した。クラレは今回の新規開発を弾みにして、自動車向け以外に住宅向け定置式PEFCの部材供給し、更に携帯電話向けFCの電解質膜については、早ければ08年度中の事業化を目指す。1年前に開発した従来品よりも出力を1.4倍に高めた改良品をサンプル出荷する。(日経産業新聞08年2月27日)

(3)カサタニ
 カサタニ(大阪市)はマグネシウム合金でセパレーターを製造する技術を開発した。同社はマグネシウムが軽量で加工しやすい点に着目し、プレス加工で流路を表面に刻み、歩留まり率の向上と量産を可能にした。表面に複数層のメッキを施すことにより酸に弱いマグネシウムの欠点を克服している。プレスによる表面加工により、製造コストを従来の炭素素材と比べて1/10以下に抑えられるという。価格については、マグネシウム合金のセパレーターで約1000円/枚、又厚みも従来の1/5となるので、FCの小型化を実現することができる。08年中に国内の自動車メーカー向けにサンプル出荷を始める。(日経産業新聞08年2月27日)

5.家庭用PEFCの実証と事業展開
 (1)出光興産とコロナ
 出光興産とコロナは2月4日、東芝FCシステム社への技術協力を開始すると発表した。出光とコロナの両社が共同開発した燃料処理(改質)装置を東芝FCシステムが09年度以降に生産する"市販灯油型PEFCシステム"に搭載する。出光とコロナは燃料処理装置の商業化を目指しており、東芝FCシステム以外にも同装置の採用を広く働きかける。同燃料処理装置は、灯油から硫黄を除去する脱硫器および改質器で構成される。出光は市販灯油から水素を生成する技術、コロナは灯油バーナー技術と量産技術を有しており、両社は双方の強みを生かして04年度から共同開発を実施している。出光とコロナは、燃料処理装置について共有化の範囲を広げ、同時に同装置の採用を広く働きかけることにより、システムの一層のコストダウンを実現したい意向である。(電気、日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイ、化学工業日報、新潟日報08年2月5日、日経産業、電波新聞2月7日)
 出光興産とコロナは2月25日、都市ガス、LPガス、灯油の各燃料から水素を生成する"マルチ燃料型改質器"を開発したと発表した。各種燃料を同一の触媒で改質する出光興産の技術と、コロナの燃焼バーナー技術を組み合わせることで、同一機器での安定的な水素精製を可能にした。(読売、電気、日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイ、新潟日報08年2月26日、電波新聞、化学工業日報2月27日)

(2)東ガス
 東京ガスは2008年度家庭用FCコージェネレーションシステム"LIFUEL"の設置希望者募集を2月から開始した。募集台数は100台、消費エネルギーやCO2排出削減効果が期待できるユーザに対し、8月から順次設置作業を行う。設置に際しては、システムの利用や運転データの提供などについて定めた「平成20年度新FCパートナーシップ契約」をユーザとの間で締結し、ユーザはメンテナンス費用の1部として4年間で40万円の契約料を負担する。(電波新聞08年2月5日、電気新聞2月22日)

(3)大ガス
 大阪ガスは停電などで電力会社からの電力供給が切断されても、複数の家庭用コージェネレーションシステムの電力融通を継続稼動できる技術を、大阪大学大学院工学研究科の伊瀬教授らと共同で開発した。一般に家庭用コージェネシステムでは、発電の不足分を電力系統からの買電で賄っているので、システム間で電力を融通する場合、個々のシステムは基準となる電力系統の周波数60Hzに合わせて発電している。したがって系統が切断されると運転を継続することができない。そこで本システムでは直流を使用し、停電時でも連続的な融通を可能にした。具体的には、集合住宅毎に設置したコージェネシステムについては、電力を交流に変換せずシステム間の電力を直流化することにより、交流使用時に電力融通の妨げとなる周波数調整を不要とした。又既存の電力系統については整流器などで交流から直流に変換、電力が余剰のときはコンデンサーに充電、不足時には放電により融通時の需給バランスを調整する。それにより停電後の自立運転でもコンデンサーの併用により、安定した直流を供給できる。融通運転を継続することにより、戸別ごとの利用に比べて1次エネルギーを5%削減できる。大ガスは機器の小型化や低コスト化などによりこの方式の実用化を進める方針である。一方、家電製品には交流を直流に変換している機種もあり、今回の技術確立で変換を行わずに直流で製品を動かせば、エネルギーロスの大幅削減も見込めると考えている。(日刊工業新聞08年2月13日)

(4)富士電機
 富士電機ホールデイングス(HD)は都市ガス仕様出力1kW家庭用PEFCシステム(改質器と発電セルスタック)を開発していることを明らかにした。同社千葉事業所で2台を実証試験中で、これまでに合計5台の試作機を運転していきた。運転寿命4万時間超を目指して開発を進め、2012年以降に商用化する方針である。05〜07年に実証運転を行った3台の試作機(3次型)は順調に実証を終えた。その内、三重県のコンビニエンスストアに設置した試作機は、15,000時間運転した結果、発電効率35.5%(LHV)、排熱回収効率48.6%(同)を達成、主要機器のトラブルも少なかった。効率面の初期目標は達成したが、長期運転によるセルの電圧低下率が目標値に届かなかったため、4次型を開発して06年11月に運転を開始、セルの電圧低下を大幅に抑えることができた。千葉事業所では2台の新型試作機が稼働中で、1台目は1日3回の起動・停止を繰り返すDSS運転を行うことで耐久性などを評価、08年1月に設置した2台目は24時間の連続運転を行っている。(電気新聞08年2月18日)

(5)東邦ガス
 東邦ガスが顧客宅に06年度に設置した家庭用PEFCシステムのモニター試験で、LNGや石油などの1次エネルギー消費量については平均で17.5%、CO2排出量では平均33.5%の削減効果があり、05年度設置分に比べて数値を向上させた。同社は愛知、岐阜、三重各県を対象に1kW級システムを05年度に12台、06年度に40台、07年度に38台設置した。荏原製作所製のみであった05年度の12台と、トヨタ自動車と松下電器産業製を追加した06年度の40台について、07年3〜9月の運転状況を比べると、1次エネルギー消費量の削減率は0.6%向上した。火力発電所による電力で賄った場合に比べたCO2排出量でも、わずかながらも0.3%アップした。08年度に予定する試験では、トヨタ製など40台の設置に向けてモニター家庭を募集している。機器の耐久性などの検証を続ける他、目標が1台当たり45万円以下とされるFCのコストダウンを図り、10年の商品化を目指す。(中日新聞08年2月22日)

6.FCV最前線
(1)トヨタ
 トヨタはFCVの航続距離についての技術的な取り組みを"EVSフォーラム2008"で明らかにした。水素貯蔵技術の改良に加えて燃費を25%向上、ガソリン車に競合可能なレベルにまで改善している。最新モデルの改良型FCHV(05年モデル)が持つ220kmに比べて、2倍以上となる530kmに延ばした。水素貯蔵タンクの水素ガス圧を70MPaに上昇するとともに、外形サイズをFCHVの居室・荷室を犠牲にしない範囲で拡大することにより、水素貯蔵量は約1.9倍に拡大した。燃費向上は細かな技術の改善を積み上げた。カソードの運転圧力を20KPa低圧化し、エアコンプレッサーの電力損失とFCスタックの熱損失を約12%減少させることで燃費を5%向上、3回路の高圧コンバーターでパワーが低いときには、単回路駆動に切り替える機構を採用して損失を低減、それにより燃費を約3%向上させている。しかし70MPaタンクは高コストであることから、同社は引き続き新規水素貯蔵材料の研究に取り組む。(化学工業日報08年2月12日)

(2)洞爺湖サミットでFCV
 7月の洞爺湖サミットで、会場での人員輸送にFCVが導入されることになった。各国首脳や報道陣に日本の省エネ・環境技術をアピールするのが狙いで、政府は国内メーカーと調整を進めている。(東京新聞08年2月14日)

(3)カナダ
 ハイブリッドFCバス(FCB)20台を定期運行させる実証プロジェクトが、09年からカナダのブリテイッシュ・コロンビア州で始まる。1日に1000kgの水素を供給できるステーションを建設し、ウイスラー市内を15年間運行させる計画である。同構想の中心的な役割を担う全国規模の業界団体"ハイドロジェン&フュエルセルズ・カナダ"のジョン・タック代表兼CEOは2月26日、カナダ大使館で共同インタービューに応じ「水素ハイウエイ構想における最大の成果」と商用化の歩みに自信を示した。これまでの5年間に計30台のFCBをイギリスやオランダなどに分散して走行試験を行ってきた。今回はハイブリッド技術を活用し、1ヶ所で長期間運行させるのがポイントである。この計画に合わせて、水素ステーションも整備する。水素ハイウエイ構想では、バンクーバー北部の塩素アルカリ工場から排出される廃水素を捕獲・再生する"統合廃棄水素利用プロジェクト"なども進めている。(電気新聞08年2月28日)

7.水素貯蔵および輸送技術の開発
(1)東京理科大
 東京理科大学の斉藤泰和教授、庄野厚講師らのグループは、自動車に積載可能な小型水素発生装置を開発した。有機ハイドライドの水素貯蔵材料から水素を取り出す反応器で、300oCの比較的低い温度で脱水素反応が起こるのが特徴であり、車上で熱を加えて水素を取り出すことができる。縦20cm、横10cm、高さ12cmのステンレス製反応器を試作した。底に白金触媒を固着させた活性炭織布を設置、有機ハイドライドを反応器内に供給し、熱を加えて触媒表面で脱水素反応を起こす。その後、トルエンや未反応の有機ハイドライドから水素を分離する。有機ハイドライドは水素の輸送や貯蔵に適した材料で、新技術は低い温度で脱水素反応を起こさせるため、低エネルギーで水素生成が可能になる。285oCでも8割以上の反応が起こることを確認した。開発した反応器はFCVではなく、デイーゼル車への搭載を考えており、車載時にはエンジン排熱を利用することもできる。デイーゼル燃料と水素を混合燃焼させれば、燃費の向上に繋がる。(日経産業新聞08年2月15日)

(2)日本製鋼所と東北大
 日本製鋼所と東北大学の折茂慎一准教授、池田一貴助教らは、マッチ箱ほどの小型水素貯蔵タンクを開発した。水素をアルミ水素化物として蓄える交換型のタンクで、ノートパソコンなどの携帯機器用マイクロ水素FCでの利用を目指している。開発したタンクは、幅4cm、長さ6cm、厚さ5.5mmのアルミ容器にアルミ水素化物の微粒子を詰め込んだ構造である。アルミ水素化物は日本製鋼と東北大が合成技術を開発した独自の水素貯蔵材料で、80oC以上で水素ガスを放出する。アルミ水素化物は1度水素を吐き出すとアルミになり元に戻せないので、実用化においてはタンクを取り換えて使うことになる。実験では9.3Lの水素ガスを取り出すことに成功した。アルミ水素化物を更に改良して、携帯機器の放熱を利用できる60oCで水素を放出できるようにし、早くて3年後の実用化を目指す。なお、日本製鋼は、FCV用での開発も目指している。35MPa水素ガスタンクと比較すれば3.5倍の水素を貯蔵でき、又水素吸蔵合金に比較して軽量である。90Lタンク1本の重さは100kgにまで軽くできるとみており、それで650km走行できる計算になる。(日本経済新聞08年2月15日)

(3)広島大と太平洋セメント
 広島大と太平洋セメントは2月25日、水素吸蔵合金による水素貯蔵方式で、従来よりも約4割水素を多く取り出せる新技術を開発したと発表した。マグネシウムと窒素、水素の化合物"マグネシウムアミド"と、リチウムと水素の化合物"水素化リチウム"を3対8の割合で混合した水素貯蔵材料で、容器内に鉄製の玉(直径7〜10mm)数十個を入れて約10気圧で攪拌、鉄製の玉で化合物を直径約10nmにまで細かく砕くことにより、水素を放出する効率を高めている。温度150oCで、化合物の重さに対して5.5%の水素を取り出すことに成功した。太平洋セメントは、反応速度の向上と低温化を実現し、FCVや水素ステーションの部材として事業化を狙う。(日本経済、中国新聞、化学工業日報08年2月26日)

(4)バイオコーク技研
 バイオコーク技研(横浜市)は、北海道大学秋山教授と共同で、水素貯蔵に有効な水素化マグネシウムの量産技術を開発した。水素化マグネシウムは75oC以上の温度で水と反応し、1gから最大1.9Lの水素を発生する。マグネシウムを微細に粉砕してから水素と共に高温高圧の炉内に入れて量産する方法で、埼玉研究所内に建設したプラントでは、2日間連続の反応で5kgを生産できる。数トン規模で製造すれば、製造コストは10円/g程度にまで下がると見ている。水素化マグネシウムを使うFC駆動電動車椅子やカートの実験を早稲田大学と共同で開始する。(日経産業、日刊工業新聞08年2月26日)

8.DMFCおよびマイクロFCの開発
(1)SII
 セイコーインスツルーメント(SII)は、水素化ホウ素ナトリウム(SBH)を利用した小型PEFCを09年度にも実用化する。SBH燃料カートリッジの航空機旅客内への持込が09年1月1日から解禁される見通しとなったことから開発を加速するもので、SIIは安全性、信頼性の実証試験を進めながらビジネスモデルの構築に取り組む意向である。同社が開発したPEFCは、リンゴ酸水溶液を触媒に用いてSBHから水素を取り出して発電するパッシブ型で、水素発生ボックス、発電セル、昇圧・制御回路で構成される。DMFCに比べて出力電圧が高く、常温時の動作性に優れ、ポンプやヒーターなどの補機が不要、CO2の発生もない。07年には10セルをスタックとし、サイズは210×120×170mm、出力50W、出力電圧16Vのシステムを試作している。又カートリッジ1本で100Whの容量を持つ。同社はPEFCモジュールをセットメーカーに供給するビジネスモデルを想定しており、SBHカートリッジの流通ネットワークの構築も検討する。既に電解質膜はフッ素系、セパレーターはステンレス系を採用することを固めているが、年内にも材料の選定や性能を含めた具体的な仕様を詰めることにしている。(化学工業日報08年2月1日)

(2)トクヤマと旭化成ケミカルズ
 トクヤマと旭化成ケミカルズは2月18日、携帯機器用DMFC向けに、高出力タイプと低メタノール透過タイプとなる2種類の新しい炭化水素系高分子膜を開発したと発表した。高出力タイプは、高分子設計を工夫して膜強度を高め、膜の厚さを10μm以下に制御、水素イオンの伝導性を従来のフッ素系高分子膜に比べて5倍以上に高めた。60oCの運転温度では出力は3割程向上、耐久性も1000時間以上を実現した。他方低メタノール透過タイプは、ミクロ構造制御と改質技術により、メタノール透過率をフッ素系膜に比べて1/20以下に低減し、3000時間以上の耐久性を確認している。30%以上の高濃度メタノール水溶液の使用も可能で、それはメタノール利用率と出力の向上に寄与する。トクヤマなどは、当面メーカーの要求に応じて2種類の膜を供給していく方針であるが、将来は両素材の特性を併せ持つ新しい膜を実現したいと考えている。又より一層の性能向上にも取り組み、2010〜15年に向けてビジネスモデルを固める意向である。(日経産業、日刊工業、中国新聞、化学工業日報08年2月19日)

(3)ナノフュージョン
 ナノフュージョン(目黒区)は、韓国サムソンSDI,サムソン総合技術院と共同で、ノートパソコンなどに組み込まれるDMFC用水循環ポンプを開発した。電極反応で生じる水を集めて燃料のメタノールを薄める希釈用に戻す。従来のポンプは傾くと水がこぼれて再利用できなかったが、水吸収材料を使うことで解決した。縦、横、高さとも約3cmで、最大1mL/minの水を送ることができる。カソードで発生した水をポンプに戻す際、数十μmの孔のある多孔質セラミックスが水だけを吸い取ってメタノール側に戻す構造で、水と一緒に回収される未反応の空気を分けて循環利用する機能を持つ。(日経産業新聞08年2月25日)

(4)フジクラ
 フジクラはモバイル機器用DMFCを開発した。ヒートパイプ技術を応用した燃料輸送システムを採用しており、蒸発と凝縮による潜熱移動により高速に熱を伝達できる。又内部に設けたウイックの毛細管力によって液体を還流させることができる。試作したスタックのサイズは110×80×10mmで、出力は2.5W、出力密度50mW/cm2を実現した。09年度中にもサンプルの供給を開始する。金属加工の自社技術を駆使し、更にシンプルで低コストのパッシブ型輸送システムを開発できるとみており、早期事業化を目指す意向である。(化学工業日報08年2月26日、鉄鋼新聞2月28日)

9.FC周辺機器の開発と事業展開
(1)ケー・エヌ・エフ・ジャパン
 ケー・エヌ・エフ・ジャパン(東京都)は、気密性の高い2重ダイヤフラムを採用した家庭用FC向けダブルダイヤフラムポンプを発売した。ダイヤフラムはゴム膜の上下運動を利用してガスを送り出す。価格は最大流量4.4L/分の製品で12〜15万円。初年度300台の販売を見込む。(日刊工業新聞08年2月8日)

(2)オムロン
 オムロンはMEMS技術を応用し、FCシステム向けの流量センサーを開発した。開発したセンサーは幅3cm、奥行き8.5cm、厚さ3cmで、心臓部のセンサー素子は、半導体の製造プロセスを応用したMEMSにより、縦横1.55mm、厚さ0.4mmにまで小さく抑えた。都市ガスや液化石油ガス、空気の流量をプラスマイナス3%の誤差で高精度に測定する。FCに取り付ける部分も従来のねじ型から留め金型に変え、組み立て工数を1/8に減らした。価格はオープン。(京都新聞08年2月21日、電波新聞2月22日、化学工業日報2月26日)
 オムロンは上記流量センサー"形D6F・MEMSフローセンサ"を4月1日に発売する。(日刊工業新聞08年2月25日)

(3)新コスモス電機
 新コスモス電機は起動や応答速度が速い水素センサーを開発、サンプル出荷を始める。ガスが触媒反応で温度が上昇するのを検知する"接触燃焼式"で、ヒーターを兼ねた白金線コイルに、貴金属触媒を加えたアルミ系セラミックスを球状に塗布して焼結させた構造である。水素の触媒燃焼に伴う反応熱を電気抵抗値の変化として捉える方式で、水素濃度が0.1%から4%までの広範囲で検知できる。ガスに反応する感応部を小型化することで、起動時間や水素への応答時間を1秒以下に短縮、開発品は感応部を体積比で1/45にまで小型化し、消費電力も1/4以下に抑えた。又周囲の環境変化の影響も受けにくく、−30oCから100oCの範囲で使用できるという。FCVなどのわずかな水素漏れを検出するセンサーとして実用化を目指す。センサー単体の他、車載用モジュールとしても供給する。(日刊工業新聞08年2月25日)

10.FCの新商品開発と事業
(1)FC−R&D
 FC−R&D(相模原市)は携帯型災害時用非常照明を6月に発売する。キョウーシン(徳島県吉野川市)と共同開発した。主に自治体向けに発売し、価格は20万円を予定。アルミケースにFCや水素タンク以外にバッテリーを内臓しており、発生した電気を蓄える。バッテリーの出力はAC100V、DC5V、DC12Vの3種類、ケースに発光ダイオード(LED)を収納しており、バッテリーに接続して被災時などに非常用電源として使用できる。水素タンクは使い切りタイプで、96時間連続発電が可能である。現在1000時間連続運転が可能な水素タンクを開発中で、筒状製品の発売を予定している。(日刊工業新聞08年2月6日)

(2)さがみはら産業創造センター
 さがみはら産業総合センターのFC研究会は、監視カメラを搭載した"小型可搬型FCシステム"の試作機を完成した。2年程度での実用化を目指す。同システムはFCで監視カメラを駆動し、電源のない地域での犯罪や災害などを防止するために有効である。FCや使い切りタイプの水素タンクはFC−R&Dが、監視カメラはキャロットシステムズがそれぞれ中心になり開発した。今後FCの小型化や遠隔地からの監視カメラデータの送信などに取り組む。(日刊工業新聞08年2月21日)

(3)バンテック
 バンテック(栃木県)は、FCとキャパシターを組み合わせた駆動装置"PMS"を開発した。同装置を搭載したカートは重さ200kgで時速は30km/h、瞬時に大きな出力をだせるキャパシターを使っているので、重量物を持ち上げたり、急発進や加速が可能である。標準モデルは、出力500WのFCに電圧70Vのキャパシターを使い、独自の設計回路によって3相交流モーターの出力を制御するシステムであり、カートの他、電動車イスなど用途に応じて容量を設定できる。(日刊工業新聞08年2月25日)

(4)ホライゾン・フユーエルセル・テクノロジーズ
 シンガポールのFCメーカー"ホライゾン・フユーエルセル・テクノロジーズ"は、水をカートリッジに注入するだけで瞬時に発電が可能な可搬型カートリッジ式FC"ハイドロパック"を日本で発売すると発表、マウビック(浜松市)と共同で日本代理店"ホライゾン・フユーエルセル・ジャパンを設立した。高さ22cm、幅21cm、奥行き10cm、別売りの燃料カートリッジは1.5Lのペットボトルサイズで、水を注げば1本当たり270Wh発電、同社は「火災時などの緊急用途に適している」と語っている。カートリッジ内の燃料には、長期間保存できて環境に優しい無機化合物が使われており、燃料カートリッジに消費期限はない。日本市場向け価格は未定であるが、アメリカでも発売する計画で、製品本体が約400ドル、燃料カートリッジは1本約20ドルの予定である。(電気、日刊自動車、日刊建設工業新聞、化学工業日報08年2月26日、日経産業新聞2月28日)

 ―― This edition is made up as of February 29, 2008 ―――

A POSTER COLUMN

バイオ燃料粗悪品防止
 総合資源エネルギー調査会の石油分科会は2月4日の会合で、バイオ燃料の流通促進に向けた揮発油品質確保法の改正を盛り込んだ小委員会報告を了承した。政府は改正案を今国会に提出する。
 改正案では、ガソリンにバイオエタノールを混合する業者を事前登録制とし、品質確保を義務付ける制度を創設、不適正に混合された粗悪品が市場に出回るのを防ぐ。政府は京都議定書の目標達成計画で、2010年に50万kL(石油換算)を導入する目標を掲げている。
 ただ、報告書は10年以降の中長期的な目標設定は見送った。又バイオ燃料の導入を拡大した場合、森林破壊や食糧価格の高騰が懸念されると指摘、食糧と競合しない稲わらや建築廃材などを原料とする技術開発が重要であるとしている。
(北海道新聞08年2月5日)

イギリス航空大手がバイオ燃料で初飛行
 イギリス航空大手ヴァージン・アトランテイック航空は2月24日、アマゾン川流域に育成する植物の種子から取り出したバイオ燃料を利用した航空機の試験飛行に成功した。利用したバイオ燃料は、ヤシ科のババスと、ココナツの種子から抽出される燃料で、この燃料とジェット燃料の混合燃料を使用した。4基のエンジンの内、1基をバイオ燃料タンクにつなげ、飛行に費やした燃料の1/4をバイオ燃料で賄った。
 同社はボーイングおよびGE社との共同でバイオ燃料を活用する試験機作りを進めてきた。ヴァージン・グループを率いるリチャード・ブランソン氏は「画期的な技術だ」と強調、今後はバイオ燃料の比率を高めたり、安定性の向上策などの研究を急ぐ方針を示した。今後10年以内に実用化を目指すとしている。
 他方、エアバスは2月20日、油圧回路などにFCを搭載した旅客機を開発したと発表した。
(日本経済新聞08年2月21日、2月25日、日経産業新聞2月26日)

プラグインハイブリッド車の販売計画
 トヨタは08年1月にプラグインハイブリッド車を発表したが、2010年までにレンタカー、タクシーなどの運輸業界や官公庁向けに販売する計画である。従来のニッケル水素電池よりも大容量化が可能なリチウムイオン電池を搭載、松下電器と量産化を計画中である。(エコノミスト86巻8号08年2月11日)

電気自動車(EV)が来年にも実用化
 2009年のEV実用化を目指す三菱自動車は、08年2月から軽自動車タイプのEV"アイミーブ"について、高速道路を含む公道での実証運転を始めた。富士重工業も09年の販売開始を目標としている。各社EVの性能を下表に記す。

車種(メーカー名)                 R1e(富士重工業)         アイミーブ(三菱自動車)
1回の充電で可能な走行距離             約80km              約160km
最高速度                         約100km/h            約130km/h
充電時間(100V家庭用充電)             約8時間              約14時間
充電時間(急速充電で80%充電)            約15分              約30分
電気代(同一距離走行でガソリン車との比較)      約1/9               約1/9
車両重量                           920kg              1080kg

 価格について、富士重工業は当初、軽タイプを300万円で発売する方針であるが、電気代がガソリン代の1/9であっても、この価格では車体価格の元は取りにくいとしており、同社の森社長は記者会見で「10年代半ばには150万円以下に下げたい」と述べている。
 日産自動車とフランスのルノーは、自動車の走行距離が短いイスラエルでEVを実用化したいと表明している。 (東京、中日新聞08年2月13日)

微生物燃料電池
 生物は微弱ながらも細胞から電気を発生している。生物の体内では、ブドウ糖がCO2に変化する過程で、酵素の働きにより電子を切り離すが、この電子の受け渡しをする経路の途中で、メデイエーター、すなわち仲介者が電子を捕獲する役割を果たしている。その仲介者として幾つかの化学物質が存在する。
 広島大学大学院の柿薗准教授は、金魚の白点病治療に使うメチレンブルーが高効率で電子を捕獲する性能を持つことを確かめ、この性能を微生物利用システムに適応することにより微生物FCを開発した。08年廃水処理で実用化試験を実施する。
 デンプンやセルロースを持つ稲わらなどを"餌"にした微生物FCが可能であり、同准教授は「農業残渣はまだ実験室規模での研究しかないが、その存在量から机上計算すると、原子力発電所並の発電量になる」と話している。
(日本農業新聞08年2月28日)

新日石が三洋電機と提携して太陽電池を販売
 新日本石油は、三洋電機と提携して太陽電池を仕入れ、家庭用太陽電池の販売に参入する。灯油やLPGなど石油製品の全国販売網を通じて08年度にも3kW級太陽電池(価格は200万円程度)を発売する予定である。ガソリンなど石油製品市場が縮小する中、環境負荷が小さい新エネルギー事業の2本柱として太陽電池とFCを育成する意向。
 新日石は次世代型の低価格太陽電池を独自に開発しており、15年の実用化を目指しているが、当面は三洋の製品を扱い、急成長する太陽電池市場で攻勢をかける意向である。一方太陽電池国内2位の三洋電機は新日石と組んで販路を広げる作戦である。
(日本経済新聞08年2月28日)