第131号 角砂糖大・低温作動のSOFCを開発
Arranged by T. HOMMA
1.国家的施策
2.地方自治体での施策
3.SOFCの開発動向
4.PEFCおよびDMFC要素技術の開発
5.家庭又は業務用PEFCの実証運転
6.FCV最前線
7.FC航空機の開発
8.DCFCの研究
9.改質および水素生成・精製技術の開発
10.水素貯蔵・輸送技術の開発
11.FC・水素関連計測技術の開発と事業展開
12.水素・FC関連技術開発および事業展開
13.企業活動
14.FC市場予測
・A POSTER COLUMN
1.国家的施策
(1)エネルギー基本計画
 政府は3月9日、新たな自動車用燃料としてバイオマス由来燃料の導入促進を盛り込んだ"エネルギー基本計画"の改定を閣議決定した。バイオ燃料の利用を拡大するため、安定供給の確保や経済性の向上、供給施設や制度整備の推進などを示した。他の自動車用燃料としては、GTL、電気自動車用電池、FCVの技術開発の促進を盛り込んだ。又原子力発電は今後も基幹的な電源として位置付け、核燃料サイクルの早期確立のための取り組みを進めていく。ODAを活用し、資源の産出国と戦略的・総合的な関係を構築する方針も表明した。(日刊自動車、東京、中日新聞07年3月10日、日刊建設工業新聞3月13日)

(2)新しい電池の開発
 NEDOは、07年度からEV、HEV、FCVなど次世代自動車に搭載する新しい電池の研究開発に着手する。リチウムイオン電池の高性能化の他、新しい電池の構成材料など要素技術の開発に取り組み、エネルギー密度や出力密度の拡大、使用電力当たりのコスト低減、コンパクト化を目指す。初年度の07年度予算は17億円。(電気新聞07年3月15日)

(3)次世代車燃料懇
 経済産業省は、日本自動車工業会、石油連盟と構成する"次世代自動車燃料懇談会"の専門家ワーキンググループを4月初旬に発足させ、具体的方策の検討に入る。バイオ燃料を始め検討対象となる推進4分野(バイオ燃料、クリーンデイーゼル、電力化・次世代バッテリー、FC・水素)のうち、クリーンデイーゼルを最初のテーマとして採り上げる予定である。(電気新聞07年3月16日)

(4)07年度FC関連予算内訳
 経済産業省の07年度水素・FC開発関連予算は、以下の通りとなっている。次世代蓄電システム実用化戦略技術開発;49億円、定置用(家庭用)FC普及のための大規模実証事業;34億2000万円、水素貯蔵材料先端基盤研究;7億6000万円、SOFC実証研究;7億7000万円などである。(電波新聞07年3月26日)

(5)RPS法改正
 資源エネルギー庁はRPS法(新エネルギー等利用特別措置法)の政令を改正し、4月1日から施行する。FCに使われるバイオマスを原料とするエネルギーが追加される。(電気、日刊工業新聞07年3月27日、フジサンケイビジネスアイ3月29日)

(6)07年PEFC次世代技術開発
 NEDOは07年度PEFC実用化戦略的技術開発/次世代技術開発に関する公募を開始する。公募期間は4月23日から5月28日まで。1件あたりの予算額の上限は2,000万円程度で採択予定数は10〜20件程度。(電波新聞07年4月5日)
2.地方自治体での施策
 山口県と周南市、地元企業などでつくる周南市温暖化対策地域協議会は、コンビナート企業で副生産物として生産された水素を、延長326mのパイプラインで2軒の民家に送り、出力700WPEFCで発電する実験を3月27日に開始した。トクヤマによるソーダ製造の水素を活用する。水素タウンモデル事業の一環。(中国新聞07年3月28日、日経産業新聞4月2日)
3.SOFCの開発動向
 産業技術総合研究所と日本特殊陶業は共同で、小型で高出力のSOFCを開発したと発表した。微細なセラミックス管を用いて、角砂糖とほぼ同じ大きさの立方体形状に集積したSOFCを開発、小型高性能化を実現した。出力性能は動作温度550℃で2W/cm3以上である。ランタンコバルト系セラミックス材料を用いて、直径0.8mm〜2mmの管型マイクロSOFCを、体積1cm3の立方体形状に集積する構造制御技術を確立し、多孔質でも電気抵抗を低くできる構造ができたため、600℃以下の低温でも高性能に動作する。今後はセラミックス管の接続部分の精密作製技術を確立し、衝撃や急速運転にも対応できるようにしたいと語っている。自動車用補助電源や家庭用分散電源などへの応用を見込んでいる。(日本経済、日経産業、日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイ、化学工業日報07年3月30日、電波新聞4月5日)
4.PEFCおよびDMFC要素技術の開発
(1)東海大
 東海大学の庄準教授らは、セパレータ向け新素材を開発した。導電性を高めるためポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にカーボンナノチューブを加えて作られたフッ素系樹脂によって金属板を覆った構造であり、高い導電性を持つと同時に腐食しにくい。PTFEは酸とアルカリの双方に耐性があって腐食に強いが、これ自身は非電導性であるため、カーボンナノチューブを添加することによって導電性を持たせている。(日経産業新聞07年3月6日)

(2)東京理科大
 東京理科大学の早瀬講師のグループは、MEMS技術と理科大独自のメッキ技術を活用して、厚さ250μmの超薄膜セルを開発した。シリコン基板をフッ化水素の中に入れて酸化させると無数の微細な穴が空くが、この多孔質化したシリコン基板を白金などの金属を溶かした水溶液に入れてメッキ加工すると、基板の穴に金属が流れ込んでFCセルの触媒が形成される。触媒をつけたシリコン基板の裏側にプラズマを当てて加工すると、燃料の通り道も作ることができるので、FC電極を一体化成形することができる。(電気新聞07年3月7日、日経産業新聞3月9日)

(3)ニッポン高度紙工業
 ニッポン高度紙工業(高知市)は、ポリビニルアルコール(PVA)と無機酸化物を原料にした電解質膜を開発した。無機酸化物として主にタングステン酸を用い、PVAと分子レベルで結合させた有機・無機複合化合物を製膜した新規材料であり、化学的・熱的安定性に優れ、温度的には150℃程度の高温に十分耐えられる。又ガスバリア性に優れるPVAとの精密な複合構造のため、燃料(メタノール)や酸素の透過防止性も高い。耐久性の評価は今後の課題であるが、炭化水素系電解質膜よりも低コストで生造できると述べている。DMFC向けの展開を目指す。(化学工業日報07年3月8日)

(4)旭硝子
 旭硝子はフッ素系高分子膜と触媒層で、高温・低加湿に対応できるよう化学的耐久性を高めた膜を開発した。MEAの耐久性テストで、120℃の高温、湿度50%の低加湿で5000時間以上運転しても、膜の劣化率を表す電圧低下が2〜3μVに留まることを確認した。触媒の白金量は0.6mg/cm2から0.2mg/cm2に減らしており、膜の厚さも40μmから25μmまで薄くした。大幅のコストダウンが期待される。(日刊工業新聞07年3月28日)

(5)東大他
 東京大学とトヨタ自動車は3月19日、豊田中央研究所、高輝度光科学研究センター大型放射光施設(SPring-8)、高エネルギー加速器研究機構放射光科学研究施設(PF)、鳥取大学と共同で、PEFC触媒のリアルタイム解析に成功したと発表した。FCの作動条件下で、カソード白金ナノ粒子触媒の酸化還元挙動をSPring-8とPFの放射光を用いて捕らえた。これにより電池作動時の電圧変化によって引き起こされるカソード触媒表面の反応メカニズムを明らかにした。この結果、カソード表面の電子移動と白金ナノ触媒の帯電、構造変化間に時間差があり、酸化・還元反応夫々に4つの素過程が存在することを発見した他、開回路電圧よりも電池セルの電圧が増加すると、白金触媒の内部に酸素が入り始め、白金触媒溶出の引き金になることを突き止めた。(電気、日経産業、日刊工業新聞、化学工業日報07年3月20日)
5.家庭又は業務用PEFCの実証運転
(1)新日石
 新日本石油はLPG燃料の家庭用PEFCシステム"ENEOS SCO LP-1"を、名古屋市の瑞穂消防署堀田出張所に設置したと発表した。(日経産業、電気新聞07年3月5日、日刊工業新聞、化学工業日報3月6日、中日新聞3月7日)

(2)NEF
 NEFは3月9日、定置用FC大規模実証事業報告会で、05年度実証事業の第1期分に当たる175台(都市ガス95台、LPG80台)の1kW級PEFCの実証実績を示した。それによると、05年10月から06年9月の運転で、1次エネルギー削減率は全サイト平均で15.3%、火力発電に対するCO2削減率は同28%、CO2削減量は同846kgであることが示された。システム1台当りのコストは、06年度の段階で05年度の平均770万円に対して600万円まで低減していることも報告された。(電気新聞07年3月12日)

(3)三洋電機
 三洋電機は3月23日、家庭用PEFCの開発状況を発表した。耐久性はセルスタックで2万時間弱まで確認、コストは2008年にある程度の量産レベルで1台120万円、最終的には同50万円を目指すとしている。電解質膜には国産のフッ素系材料を、セパレーターにはカーボン系材料を採用しており、当面この材料で開発を進めるが、低コスト化に限界が来た場合に備えて非フッ素系の膜にも注目しており、又金属系セパレーターの研究も行っている。なお、携帯機器向けにはノートパソコン用ハイブリッド電源システムを開発している。(電波新聞、化学工業日報07年3月26日)

(4)出光興産
 出光興産は4月4日、IHIと共同開発した5kW級LPGPEFCシステムが、実証実験において総合効率80%を達成したと発表した。この実証実験は千葉県市原市にある療養施設でスタートし、08年2月まで実施の予定。同療養所は建物の規模が約2,290m2、約30人が居住している。約1ヶ月の連続運転で最大34.3%(LHV)の発電効率を記録した。(電気、日刊工業新聞、フジサンケイビジネスアイ、化学工業日報07年4月5日)
6.FCV最前線
(1)ホンダ
 ホンダは3月8日、アメリカで4日に開催されたロサンゼルスマラソンのオフィシャルカーとして"FCXコンセプト"が先導車を務めたと発表した。又"FCX"をアメリカの女優クオリアンカ・キルヒャーにリース販売で納車したと発表した。リース料は月額500ドル。(日経産業、中日、日刊自動車新聞、フジサンケイビジネスアイ、河北新報07年3月9日、毎日新聞3月10日、朝日新聞3月14日、日経流通新聞MJ3月16日)

(2)DCJ
 ダイムラークライスラー日本(DCJ)は3月12日、JHFC2006年度セミナーにおいて"F-Cell"の走行実証試験の取り組み状況を明らかにした。それによると、総走行距離は3,838km、稼働率は87.0%で、トラブルは見受けられなかった。(化学工業日報07年3月13日)

(3)トヨタ
 トヨタ自動車の広瀬FC開発本部FC開発部主査は、"第4回三重県水素・FCシンポジウムin東京"で、FCスタックの耐久性について、MEAの第3世代品では第2世代品に比べて化学的劣化を低減し、15年・20万kmレベルを達成、出力の劣化も改善して「耐久性は着実に向上している」と語った。引き続き白金触媒の削減、高圧力・高出力密度化、耐久劣化抑制の問題に取り組み、又スタックの最高温度を現在の80℃から95℃、110℃へと段階的に引き上げてラジエーターの小型化を図る計画であること、更にコスト削減については、生産技術の革新で1/10まで低減できれば、量産効果により1/100まで低減できると述べた。(化学工業日報07年3月19日)

(3)バラード
 バラードパワーシステムズは、ダイムラークライスラーとFCバスの実証試験についての契約を08年まで延長した。ハンブルグで9台、アムステルダムで3台走行しており、今回2度目の延長となる。(電気新聞07年4月6日)
7.FC航空機の開発
 ボーイング社は、欧州のパートナー企業と共同で、FCおよび軽量電池のみを動力源とする有人プロペラ機の試験的フライトテストを行う。今回テストするのは、オーストリアのダイヤモンド・エアクラフト・インダストリー社製グライダーを改造したもので、イギリスのインテリジェント・エナジー社製PEFCとフランスのサフト製リチウムイオン電池を搭載したハイブリッド方式である。機体の翼幅は16.3m、時速100kmで飛行が可能と述べている。(日本繊維新聞、化学工業日報07年3月29日)
8.DCFCの研究
 東京工業大学の伊原準教授の研究グループは、スス状になった炭素を燃料とするDCF Cの出力向上に成功した。導電性を高めるために電解質にスカンジウムとジルコニウムの酸化物を使用、プロパンガスを供給して熱分解し、スス状の固体炭素を電極に析出する。プロパンガスを5分間供給したときの最大出力密度は251mW/cm2となり、従来の5倍にまで増大した。20分間プロパンガスを供給すると、150〜220mWの出力で115分発電できると述べている。ノートブック型パソコン向けの実用化を見込んでいる。(日経産業新聞07年3月26日)
9.改質および水素生成・精製技術の開発
(1)東芝
 東芝は軽水炉を熱源としてDMEから低温で水素を取り出す水蒸気改質装置を開発し、反応器からDMEに含まれる水素の90%以上を取り出すことに成功した。反応器は長さ3m、反応速度は1時間当たり2.4m3の規模で、ここに固体酸、銅、亜鉛を混合して最適化した触媒を詰め、DMEと軽水炉から抽出した285℃の蒸気を導入して水蒸気改質によって水素を取り出す。今後はフィールドテストにより、原発設備との接続における安全性などを把握し、実用化を目指す。なお同社はヨウ素と硫酸の化学反応による水分解システムで連続サイクル運転にも成功している。(日刊工業新聞07年3月16日)
 東芝は高純度水素をエタノールから生成する技術を開発した。触媒および独自に開発した"リチウム複合酸化物"を利用してCO2吸収材を組み合わせる手法を開発し、エタノールから99.5%以上の高純度水素を合成することに成功した。なおCO濃度の含有量は0.1%に抑えた。同社は年内にバイオエタノールを使った実証実験を行うことを計画しており、又現在の250mL/分の速度で水素を製造できる装置を、2〜3年以内に大規模装置化するための開発を行う予定である。(日本経済新聞07年3月16日)

(2)ハイドロデバイス
 室蘭工業大学発ベンチャーのハイドロデバイス社は、微細な亀裂(クラック)により活性を高めた活性アルミ微粒子を水と反応させることによって水素とアルミナを発生する技術に取り組んでいる。活性アルミ微粒子は、水中でアルミ粉をμm程度に粉砕して得られ、機械的粉砕でクラックをいれると、それらクラックが自己成長し、水と接触する面積が増大する特性を持つ。微粒子は乾燥させて真空アルミパックに封入する。現状では、アルミ1g当たりの水素発生量は1L前後であるが、理論的には1.3gまで可能とされている。又アルミ微粒子の価格は10g当たり100円と想定しているが、将来は100g当たり200円にまで引き下げることを目指している。07年夏にはモバイルFC用燃料カートリッジ型装置を販売する予定である。(化学工業日報07年4月5日)
10.水素貯蔵・輸送技術の開発
 栗田工業は水素を運搬し易く、保存時の安全性も高めた貯蔵技術を開発した。化学反応を伴わず、温度差と圧力差を利用して水素分子を結晶格子状の物質の中に包み込んだりそこから取り出したりすることができる。開発したこの包接貯蔵技術は、穴が空いたようなつくりをした分子の中に水素分子を決まった組成で入れ、結晶構造をした化合物を作る方法であり、穴の空いた構造の分子はそのままの状態では不安定であるが、水素など他の分子を取り込むと安定した状態を保つ"包摂化合物"の原理を応用している。軽量かつ低圧で保存できるのが特徴で、温度と圧力を上げて水素を結晶格子中に貯蔵し、温度と圧力を下げて水素を放出する。FCV用のみならず携帯機器用FC向けの応用も期待している。(日経産業新聞07年3月14日)
11.FC・水素関連計測技術の開発と事業展開
(1)日本アルカテル・ルーセント
 日本アルカテル・ルーセント真空機器事業部は、水素リークデイテクター"Hydrogen Adixen"の発売を開始した。水素に対する抜群の感度と選択性を有する独自のマイクロエレクトロニクスセンサー技術を採用した装置で、重量が5kg以下のため携帯が容易。(電波新聞07年3月5日)

(2)物質・材料研究機構
 物質・材料研究機構の福島主席研究員らの研究グループは、FCの研究開発向けなどバルク資料の精密分析に対して、高分解能の特性X線分光法を提案する。結晶分光型蛍光X線分析装置と同じであるが、分光結晶を2枚使用して高分解能を実現しており、硫黄やクロム元素の価数の分析などが容易に行える。FC電極における酸化還元反応の化学状態を分析することが可能になるとしている。(化学工業日報07年3月15日)

(3)ミクニ
 ミクニ(東京)は岩手大学と共同でコンポジット膜を使ったFCシステム用水素センサーを開発した。水素センサーには高感度のパラジウムが使われているが、価格が高いため使用量の削減が課題となっている。開発グループはセラミックス中にパラジウムを微細に分散させる技術を開発、セラミックスの保護によって耐久性を高めるとともに、高感度を維持しながらパラジウムの使用量を1/5にまで削減することができると述べている。(化学工業日報07年3月22日)
12.水素・FC関連技術開発および事業展開
(1)三菱マテリアル等
 三菱マテリアル、三菱商事、フルヤ金属の3社は3月8日、石油化学系の廃触媒などスクラップから白金族系の希少金属を回収する技術を共同開発すると発表した。三菱マテリアルの湿式精錬技術とフルヤ金属の白金族金属加工技術を組み合わせ、回収技術を確立する。(日刊工業新聞、化学工業日報07年3月9日)

(2)NOK
 NOKはPEFC向けにFPC(フレキシブル基板)一体化セルシールを開発した。FCセルの内部にある電解質や水素などが漏れないよう密封するフッ素ゴムなど樹脂製のセルシールに、ポリイミド製厚さ100μm以下のFPCを組み込んだ。各発電セルの温度や電圧の監視に利用できるなど、各セルの状況把握が可能になるので、早期に異常を検知してFCの信頼性を向上するのに役立つ。又FPCは柔軟に曲がるため、狭い場所に取り付けられるし、オイルシールとFPCの技術を応用して断線などが起きないように工夫されている。自動車メーカーなどに売り込む。(日経産業新聞07年4月4日)
13.企業活動
(1)BASF
 ドイツのBASF社は日本にFCV向けFCの開発拠点を開設し、自動車メーカーにFCの素材を供給する。06年にドイツのFC開発会社を買収、既にドイツとアメリカに拠点を確保しており、世界規模の研究体制を整備する。9月を目途にBASFジャパンの"グレーター名古屋テクニカルセンター(三重県四日市市)内に設置する予定。(日本経済新聞07年3月30日)

(2)東海物産
 東海物産(名古屋市)アメリカのバイアスペース社と業務提携した。センサーを活用した安全対策や、FCに関するバイアスペースの技術を日本の自動車関連メーカーなどに売り込む。(日刊工業、電波新聞07年4月6日)
14.FC市場予測
 富士経済は、FCシステム全体市場は06年度見込みの73億円から、20年度には1兆2,800億円に拡大するとの見通しをまとめた。現在の主力である家庭用が堅調に伸びる他、自動車分野は20年度に9,000億円の市場規模に達し、又改質器や補機類、評価・解析システムの市場規模も5,000億円に達すると予測している。携帯機器用は06年度の100万円から20年度には145億円となる。(電気新聞07年3月12日、日刊工業新聞、化学工業日報3月16日)

 ―― This edition is made up as of April 6, 2007――

・A POSTER COLUMN

マツダが水素RE車をJARIに納入
 マツダは3月12日、水素ロータリーエンジン車"RX-8ハイドロジェンRE"をJARIに納入した。水素RE車のリースは7台目になる。JARIがNEDOの委託を受けて実施中の"水素社会構築共通基盤整備事業"で活用する。(中国新聞07年3月13日)

次世代自動車用電池研究開発プロジェクトのスタート
 経済産業省は07年度からスタートする5ヵ年計画の次世代自動車用電池研究開発プロジェクトの概要を固めた。将来EVの本格的な普及を見据え、実用化を目指す大型リチウムイオン電池と"現時点では技術的な解のない革新的な電池"の開発が目的で、07年度は約17億円の事業費を確保した。
 実用化する電池は2015年に現在のリチウム電池に対して、性能で1.5倍以上、コストで1/7以下を目標とし、EV以外にプラグインハイブリッド、FCVなどでの活用を目指し、自動車メーカーや電池メーカー、大学や研究機関などの参加を想定している。一方革新的な電池では、2030年に現在のリチウム電池の性能で7倍、コストで1/40が目標となっている。これは現在のリチウム電池では実現できない目標と考えられており、これまでにない新しい技術や手法の研究開発が期待される。1件当たり1,000万ないし2,000万円の研究資金を援助する。2年目に技術評価を行い、3年目以降の研究継続の可否を決める予定である。事業を推進するNEDOは3月20日から、国内の研究者、企業に開発提案を呼びかける公募を始めた。
 実用化する電池のポイントは、エネルギーを蓄える性能とエネルギーの入出力性能を両立して小型化することであり、又車の発進時に高出力が得られる同時に、充電量の多い場合にブレーキによる回生エネルギーを蓄える性能を持たせることである。 (日刊工業、日刊自動車、神奈川新聞07年3月19日)

日産自動車2015年電動車両比率15%を目標
 日産自動車は、2015年販売台数のうち15%をHEV,EVなどの電動車両でカバーすることを目指し、15年に2000年比でCO2排出量を30%減らす中間目標の達成につなげる。HVは本格タイプだけではなく、バッテリーと電気モーターが補助的な役割を果たす簡易型も開発し、普及させる方針である。(日刊自動車新聞07年4月2日)