第113号 DMFC駆動の2輪車のリースが始まる
Arranged by T. HOMMA
1.国家的機関による施策
2.PAFCの事業化
3.SOFCの開発と事業化
4.PEFC要素技術の研究開発
5.家庭用PEFCシステムの開発、実証、事業展開
6.FCV等最前線
7.水素生成、精製、貯蔵および輸送技術の開発
8.非常・災害用水素仕様PEFC発電システム
9.携帯機器用マイクロFCおよび周辺技術の開発
・A POSTER COLUMN
1.国家的機関による施策
(1)環境省
 環境省は、省内に水素燃料の出力2kWPEFC1台を試験導入することにした。PEFCはリースで料金は30万円/月、1kWh当たりの発電コストは約700円程度となるが、水素ボンベから直接水素を供給する方式のため、設備工事が不要で、排熱もほとんどでないのが特徴。(電気新聞、化学工業日報05年8月23日)

(2)経産省
 経済産業省は、内外から40名規模のトップエキスパートを集めた“水素先端科学技術研究センター”(仮称)を設置し、06年度から7年間で、水素脆性に関する基本メカニズムの解明を進めることにした。素材の鉄鋼、アルミ、非鉄金属などに加えて、利用者側から自動車メーカなどの参加を得て、産学官連携でプロジェクトを推進する。水素脆性に関するメカニズムを明らかにすることによって、高い水素耐久性を持つ新合金などの開発につなげることを期待している。(化学工業日報05年9月7日)
 経済産業省と“おおさかFCV推進会議”は11月29、30日の両日、水素・FCの技術講演会と見本市“FC EXPOセミナー in 大阪”を大阪国際会議場で開く。経産省の“FC導入促進戦略広報等事業”の一環。(日刊工業新聞05年9月7日)
 経済産業省は、家庭用PEFCのコストダウンを急ぐため、荏原バラード、三洋電機、東芝FCシステム、富士電機アドバンストテクノロジー、松下電器産業など5社によるPEFC用補器のスペックをオープンする方針を固めた。PEFCシステムのコストの半分は、ポンプやブロワーなどの補器で占められるため、3年後に1台100万円を切る商用化機種を投入するためには、部品共通化にとどまらずスペックを公開し、開発を加速する必要があると判断した。具体的には、企業秘密などに配慮して社名を伏せて公開するとともに、今後はスペックをオープン化する共通部品の範囲を検討することにしている。(化学工業日報05年9月16日)
 
2.PAFCの事業化
 富士電機アドバンスドテクノロジー社は、今後病院の電源や小規模水素ステーションなど新規の大型市場を見込んで、PAFCを100億円事業に育成する方針を固めた。消防法の改正に伴って来年度から病院向け販売を強化する一方、一層のコストダウンを図ることによって競合電源に対抗するほか、将来的には水素インフラ分野への参入も目指す。病院に対しては、都市ガスからLPガスに瞬時の切り替えが可能なシステムを開発すれば、常用と非常用電源の共用ができるなどの利点をセールスポイントにできるし、水素インフラについては、夜間など電力負荷が小さいときなどに、改質器のみを稼動させることによって水素を生成することができる。PAFCは、最近になって下水処理場向けなどの市場が広がり始めている。排熱はバクテリアの培養に利用できるとともに、空調などに使われる吸収式冷凍機にも利用可能であり、総合的な分散型電源システムとして特徴を持っている。又PAFCはRPS(新エネルギー等の利用に関する特別措置法)認定電源になっている。(化学工業日報05年9月16日)
 
3.SOFCの開発と事業化
(1)日本触媒
 日本触媒は、同社姫路製造所内にSOFC用電解質シートの量産設備を導入し、生産能力を年間10万枚から100万枚(5インチサイズ)に拡大した。海外のFCメーカーを中心に引き合いが活発化しているのに加え、国内市場における今後の需要拡大をにらんだためで、量産化体制確立により市場開拓を急ぐことにした。又同社はSOFCセルも開発しており、電解質からセルまでの製造を新規事業として育成する。同社は独自の粉体加工技術やセラミックス焼成技術などを用いて、薄膜ジルコニアシートを開発、01年からスイスのスルザー・ヘキシス(SH)社へ供給を開始していた。SH社は家庭用1kWSOFCシステムで、既に欧州地域を中心に100台以上の納入実績を持っている。又電解質技術を軸に、東邦ガスと共同でSOFCセルの研究開発に着手している。同セルは従来の電解質材料と同等の強度を持ちながら、800〜900℃の温度領域でも優れたイオン導電性を示している。小型SOFCは、2008〜10年を目処に、家庭用、業務用での普及が見込まれており、これに合わせて早期事業化につなげる意向である。(化学工業日報05年8月24日)

(2)ロールスロイス
 ロールスロイス社は、シンガポールのハイテク企業エナック(EnerTek)と提携し、商業ベースで稼動するSOFC発電プラントを今後3年以内に実現する予定である。空気中の酸素が高温・高圧環境下で燃料と反応するSOFCでの発電過程を制御しながら与圧を作り出し、超小型タービンを使って費用対効果に優れた電力を発生する。出力は1,000kWでトラックによる運搬が可能な独立型発電装置である。(日経産業新聞05年8月25日)
4.PEFC要素技術の研究開発
(1)北陸先端科技大学
 北陸先端科技大学院の三宅教授および山田助手は、白金の微粒子において、6〜12nmの範囲で一定の大きさに揃えた立方体を創りだす技術を確立した。同教授らは白金とヨー素の相性に着目し、白金の微粒子を合成する水溶液にヨウ化ナトリウムを加えたところ、白金粒子の一部分だけ成長が早まり、立方体に成長させることができた。水溶液の温度を高くするほど、小さな立方体が得られることも分かった。又正4面体に揃える技術も確立した。白金には理論上反応しやすい大きさや形があるとされており、三宅教授は、最も反応効率の高い粒子の大きさと形状を見極める研究を計画している。(北国新聞05年8月24日)

(2)大阪ガス
 大ガスは98年から開始しているPEFC小型単セルの長期運転試験において、8月に累積発電時間が始めて4万時間を達成した。これにより耐久性確保の条件や劣化要因などの知見を蓄積できたと同社は述べている。4万時間を達成したMEAは5年前の開発品であり、その後に改良したMEAについても運転試験を続けており、最終目標の9万時間達成を目指している。(日刊工業新聞05年8月26日)

(3)宮崎大学
 宮崎大学の木島教授らは、2種類の界面活性剤を利用して新たな白金ナノ構造体の合成に成功した。この構造体の製法は以下の通りである。先ず塩化白金酸(H2PtCl6)に非イオン性界面活性剤であるノナエチレングリコールドデシルエーテル(C12E09)を含む水溶液に60℃の同じく非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(TWEEN60)を加えてから20〜25℃に冷却してペースト状の反応前躯体を作成する。これに還元剤である水素化ホー素酸ナトリウム(SBH)を添加すればナノ構造体が出来上がる。木島教授らはこの白金ナノ構造体をナノグループと名づけた。粒子径は50〜60nm、厚さは3〜5nmのナノシート構造で、幅2.6nm以下の骨格で1nm以下の間隔を持っている。このナノグループを炭素に担持させて電気化学的な特性を調べたところ、酸化還元電流値は0.046mA/cm2であった。通常のPEFC用触媒に比較して、酸化還元活性は2倍以上で、メタノール酸加活性も高く、カソード電極としての利用も期待できると述べている。(化学工業日報05年9月7日)

(4)旭化成
 旭化成は、PEFC用に新規フッ素ポリマー電解質膜を開発した。分子レベルから構造を見直すことによって、スルフォン酸基近傍構造を最適化し、高温での熱安定性や機械特性を大幅に向上させることに成功した。特に熱分解開始温度は393℃となり、従来の膜に比べて76℃高くなっている。具体的には、フッ素系スルホン酸ポリマーの熱安定性は、スルホン酸基の付け根構造に支配されており、CF2ユニットの数を従来の2から4以上に変更することにより飛躍的に熱安定性が改善されることを発見した。又連結基を除いた短い側鎖構造の採用により、機械特性(ガラス転移温度)が改善され、同時に交換基密度が上がることによってプロトン伝導性が向上することが判明した。この結果、CF2のユニット数が4以上でかつ連結基のない短側鎖構造のモノマー合成法を検討し、経済性のある製造技術を開発した。これらの改善により、先に述べた熱分解開始温度の上昇とともに、ガラス転移温度は19℃改善して144℃となり、プロトン伝導度は0.1S/cm2から0.14S/cm2に向上した。(日経産業新聞、化学工業日報05年9月14日) 
5.家庭用PEFCシステムの開発、実証、事業展開
(1)松下電産
 松下電器産業は、家庭用PEFCの本格量産化を目指した“低コスト化プロジェクト”を新設、08年度から1kW級で10年の耐久性と100万円以下の価格を実現することにより、普及を加速する方針を打ち出した。同社は都市ガス改質器からPEFCスタックまでの一貫した開発を行ってきており、この強みを生かして今後はオンオフ回数を3,000回に引き上げる他、6万時間の稼動を確保するとともに、高効率化を狙って作動温度を10℃高めることなどを開発の目標としている。(化学工業日報05年8月23日)

(2)JA全農と出光興産
 JA全農は9月13日、家庭用FCシステムの実用化に向けて、出光興産と共同で実証試験を始めた。FC機種はLPガス使用700WPEFCで、神奈川県平塚市の全農営業・技術センター宿泊棟の設置し、管理人室の電気と給湯に活用する。(日本農業新聞05年9月14日、化学工業日報9月16日)

(3)西部ガス
 西部ガスは10月から家庭用PEFCコージェネレーションシステムの本格的な実証試験に乗り出す。経済産業省の補助事業を使い、異なるメーカーから10台ほどのシステムを導入し、社員宅に設置してデーターを蓄積、メーカー選択の基本情報として活用する。08年からの販売を目指している。(西日本新聞05年9月16日)  
6.FCV等最前線
(1)トヨタ
 トヨタ自動車は9月2日、“トヨタFCV”で燃料タンクから水素が漏れる不具合がアメリカで発生したため、日本およびアメリカでリース販売した14台と愛知万博に貸し出した2台の計16台を調査・修理のため自主回収したことを明らかにした。05年7月からリースした新型車は含まれない。(読売、朝日、日本経済、産経、東京、中日新聞05年9月3日)

(2)新日石
 新日本石油は、トヨタ自動車からのFCVリース購入を継続して、新型の“FCHV”を購入した。トヨタはFCHVを新日石中央技術研究所に納車した。(化学工業日報05年9月5日)

(3)JHFC
 JHFC(事務局はJARI)は、“FCVキャラバン”を開き、国内外のFCV6台が東京(有明)から愛知万博会場(長久手)まで380kmを高速走行し、その途中で試乗会などを実施する。(日刊工業新聞05年9月6日、化学工業日報9月8日、電気新聞9月9日)

(4)ヤマハ発動機
 ヤマハ発動機はFCで走る2輪車“FC−me”1台を9月16日から静岡県にリースすると発表した。燃料はメタノール(54wt%水溶液)でDMFCを動力源に用いている。第1種原動機付自転車の扱いで、性能としては最高時速は40km/h、車両重量は69kg、出力は0.58kWで、タンク容量は3.2L、満タンで約100kmの走行(平地で30km/h)が可能である。ヤマハからポリ容器で供給される燃料の費用や保険料を含めたリース料は10万5,000円/月。ヤマハでは今後、リース期間の延長や台数の増加、更には静岡県以外への貸し出しも検討する。(読売、朝日、毎日、産経、日本経済、日経産業、日刊工業、日刊自動車、東京、中日、静岡新聞、フジサンケイビジネスアイ05年9月13日、化学工業日報9月14日)

(5)フォード
 アメリカのフォード社は、同社の“フォーカスFCV”をカリフォルニア州サクラメント市施設局に実用化検証用として5台納入した。同社はFCVを5都市に合計30台納入するプログラムを進めており、今回はその一環である。(日刊工業新聞05年9月16日)  
7.水素生成、精製、貯蔵および輸送技術の開発
(1)サムテック
 サムテック(大阪府)は、最高充填圧力が70MPaの水素貯蔵容器の量産化に目処をつけた。アルミ製薄肉ライナーに炭素繊維を巻き付けることにより耐圧性を保つ。アメリカ子会社の“サムテックインターナショナル(SII)”がライナーを生産し、サムテックの羽曳野工場内に新設した工場で炭素繊維巻き付けや専用バルブのセットなどを行う。サムテックとSIIは航空宇宙産業向けの軽量高圧容器の設計、製造技術を生かし、超高圧容器の実用化に挑戦してきた。大手自動車会社向けにテスト出荷を開始した。同時にサムテックと協力関係にあるカワサキプレシジョンマシナリ(神戸市)は、電磁弁、減圧弁などを一体化したインタンク方式の70MPa容器用コンビネーションバルブを開発、高圧ガス保安協会(KHK)の70MPa認可を得ている。(日刊工業新聞05年8月22日)

(2)広島大
 広島大学は、FCV用水素貯蔵に有効なグラファイト系材料の開発とマグネシウム系材料の設計に成功した。グラファイト系はナノ複合材料を用いて水素放出温度を低温化し、マグネシウム系では室温下で5wt%以上の水素を1分以内で吸蔵し、真空中160℃で水素を放出できる。広島大学自然科学研究支援開発センターの市川助手らが開発したのは、水素化黒鉛(CHd)と水素化リチウム(LiH)をナノ複合化させたグラファイト系材料で、水素放出温度を300℃と大幅に低温化、8wt%以上の水素を吸蔵する。一方同センターの花田研究員らは水素化マグネシウム(MgH2)と酸化ニオブ(Nb2O5)をナノ複合化し、室温で1分以内に5wt%以上の水素を吸蔵し、真空中160℃で速やかに水素を放出する材料設計に成功した。今後グラファイト系では100℃までの低温化を目指し、マグネシウム系ではタンクを試作して耐久性試験を行う方針である。(化学工業日報05年8月24日)

(3)ビット港国際
 ビット港国際(東京)は水素発生器“HOX−ALL”の新機種を開発し、発売した。製品は全部で41機種をラインナップしており、水素発生量が100mL/秒から最大375m3/時までの仕様をカバーしている。価格は40万〜7,370万円で、同社はユーザーに応じた特別仕様の製作も行う計画である。(電気新聞05年9月21日)
8.非常・災害用水素仕様PEFC発電システム
(1)岩谷産業
 岩谷産業は8月25日、荏原、荏原バラードと共同で、非常・災害用水素仕様PEFCシステムを開発したと発表した。荏原バラード製PEFCに、岩谷産業が開発した軽量高圧水素供給システムを組み合わせた。06年から販売を開始する。発電能力は850W、5台まで並列運転ができるので最大4.2kWの出力が得られる。本体には水素容量約5.2m3のボンベを内臓、約5時間の連続運転が可能である。本体サイズは730mm×890mm×600mm、重量は約70kgである。価格は未定であるが、100万円以下での販売を目指す。(日本経済、日経産業、日刊工業新聞、化学工業日報05年8月26日)

(2)新日本エコ
 新日本エコ・システム(千葉市)は、停電など非常時に補助電源として使えるモノジェネレーション方式の水素燃料FC新型機“mirabo 2”を開発した。劣化するセルの状態を、パソコンのモニターにより常時監視できる通信機能などを追加しており、従来機に比べてメインテナンス性と発電効率を高めた。発電効率は46%、出力2kW型でリース費用は約30万円/月である。第1号機を環境省の合同庁舎に設置した。(日刊工業新聞05年9月5日)

(3)水素エネルギー研究所
 水素エネルギー研究所(長野県茅野市)は9月5日、災害時での緊急電源や携帯電話、ノートパソコンの充電用にポータブルな小型FCを開発したと発表した。実用化に向けて製造を担当する中国企業と合弁会社を設立する方針で、06年秋にも販売を始める予定としている。水素の貯蔵材料として、硼砂と呼ばれる水素化ホウ素ナトリウムの水溶液を用いている。同水溶液は水素含有率が高く、比較的安価であり、カートリッジで補充できるため、長時間での使用が可能である。出力200Wの試作品のサイズは、縦約25cm、横約17cm、幅17cmの箱形で、重さは7kg、1回の燃料充填で連続2時間の運転ができる。携帯機器用の40〜100Wと非常電源用の100W〜1kWの2種類を製品化する考えで、価格は出力100W当たりで10〜20万円を見込んでいる。(中日、信濃毎日新聞05年9月6日、日経産業新聞9月7日、化学工業日報9月9日)  
9.携帯機器用マイクロFCおよび周辺技術の開発
(1)カシオ
 カシオ計算機は07年を目処にデジタルカメラや携帯電話に搭載するFCを開発する。当初ノートパソコンへの搭載を検討していたが、法人向けを除いて生産を中止した。青梅市の拠点にはモバイル機器向けの実用化に必要な信頼性試験設備などを導入した。同社が開発を進めるのは燃料改質型PEFCで、大きさは高さ10.7mm、幅22mm、奥行き21mmである。同社は現在までに触媒燃焼器や蒸発器、CO除去器、センサーなどを一体化した集積型マイクロ改質器を開発している。(日刊工業新聞05年8月22日)

(2)ヤチダ
 ヤチダ(新潟県加茂市)は、接合材を加熱・加圧した上で、原子の拡散を利用して接続する拡散接合技術を用いることにより、超小型のマイクロ熱交換器(50mm×70mm)の開発に成功、発売を開始した。実証実験では150気圧までの耐圧性があり、小さな穴でも目詰まりが発生しなかった。又ろうを使っていないため耐食性もあり、単位体積当たりの熱交換能力はプレート式に比べて5倍にまでアップした。マイクロFCの冷却用に需要があるとみている。又マイクロリアクターや化学実験プラント用に採用されるものと期待している。販売は最低10個単位で価格は10万円/個である。(日刊工業新聞05年9月14日)

(3)東芝
 東芝は9月16日、マイクロDMFCを組み込んだ携帯音楽プレーヤーの試作品を開発したと発表した。ハードデイスク駆動装置(HDD)内臓型とフラッシュメモリー型の2タイプがあり、濃度がほぼ100%のメタノールを注入することにより動作する。HDD型は同社が発売している“ギガビート”の背面にDMFCユニットを組み込んだもので、大きさは横6.5cm、縦12.5cm、厚さ2.7cm、メタノール10mLを注入すると従来のリチウム電池によるギガビートに比べて約4倍長い60時間の再生が可能である。フラッシュメモリー型は、横3.5cm、縦11cm、厚さ2cmで、メタノール3.5mLで約35時間の再生が可能となっている。07年以降での実用化に向けて、更に性能の改良を加える。(日本経済、東京、中日、中国新聞、フジサンケイビジネスアイ05年9月17日、日刊工業、電波新聞9月19日、日経産業、電気新聞、化学工業日報9月20日)

 ―― This edition is made up as of September 23, 2005 ――

・A POSTER COLUMN

エンジン・コジェネ“エコウイル”の販売好調
 エンジンを発電器とする“エコウイル”の販売台数が着実に伸びている。2003年3月に初めてエコウイルを投入した大阪ガスでは、03年度に約3000台であった販売台数が、04年度には7,549台と急増し、05年度は4月から6月までの3ヶ月間で3,232台に達した。価格は70万円と手のとどく水準であることが、1つの理由となっている。予想外の売れ行きに背中を押されるように、東ガスも06年から販売する計画である。東ガスのホームサービスマネージャーは、「これほど売れるとは思っていなかった」と漏らすが、見方を変えれば、電力業界の攻勢にいかに追い込まれているかを示している。(産経新聞05年8月20日)  

次世代型電気自動車(EV)2号車ナンバーを取得、ラリーに出場
 三菱自動車は、次世代型EV技術“MIEV”の実験車両2号車である4輪インホイールモーター駆動車“ランサーエボリューションMIEV”を製作し、8月27、28日に徳島県で開催される“四国EVラリー2005”に出場する。ナンバーを取得して、ラリーを含めて公道上での走行実験を行う。(日刊自動車新聞05年8月25日)
 三菱自動車は来年発売する軽自動車“アイ”を基にしたEV試験車を電力会社や自治体に提供する。富士重工業は軽“スバルR1”をベースにした試作車を05年度内に東京電力に納入の予定。(朝日新聞05年9月5日)  

白金族金属の高効率回収技術開発
 資源エネルギー庁は、06年から4年間の研究開発事業として、白金族金属(PGM)の高効率回収技術の開発に着手する。リサイクルや低品位鉱に適用可能な湿式精錬技術などの要素技術を確立する計画で、初年度は基礎研究および実態調査費用として2億円を概算要求に計上した。現在、乾式法で行われている製錬技術に替わる湿式技術を確立し、既存技術と比較して40%のエネルギー削減を目指すとしている。4年間で約15億円の予算を見込んでいる。
 白金族金属(PGM)とは、地殻中に平均で0.0005ppm以下しか存在しない希少金属。プラチナやパラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどがある。この内プラチナは生産量の94%を南アフリカとロシアの2ヶ国で占めるなど極めて偏在性が高く、日本は供給を全量海外に依存している。そのため国際的な需給のギャップが生じた場合には、深刻な供給不足が起こることが懸念されている。(化学工業日報05年9月8日)