第104号 都市ガス・LPGによる家庭用FC登場
Arranged by T. HOMMA
1.国家的施策
2.地方自治体による施策
3.MCFCシステムの開発研究
4.SOFCの研究開発と企業活動
5.業務・産業用定置式PEFCプラントの稼動
6.家庭用PEFCシステムの開発と事業展開
7.改質および水素生成技術開発
8.FCV最前線
9.マイクロFCの開発
10.FCおよび水素関連計測器
11.新しいFCシステムの活用
・A POSTER COLUMN
1.国家的施策
(1)経産省
 経済産業省が明らかにした2005年予算内示の概要によれば、同省の05年度当初内示額は、一般および特別会計の合計で1兆8,300億円となり、04年度に比べて1,077億円の減額(−5.6%)となった。内容としては、FCやロボット、ナノテクなどの“新産業創造戦略”を柱としたプロジェクトに予算が重点配分されており、FC関連では、自動車用、家庭・業務用などに利用されるPEFCの実用化に向けた開発に新規で55億円が配分されている。(電波新聞04年12月22日)

(2)NEDO
 NEDOはFCの「先導的基礎技術研究開発」に関する研究テーマおよび委託先を決定した。同事業はPEFCの実用化に向け、基礎・基盤的研究開発を実施するもので、25テーマの研究を大学などに委託した。委託先は大阪大学、北九州大学、京都大学、神戸大学、信州大学、群馬大学など19大学で、テーマは電解質膜の他、触媒の高性能化など基礎技術関連である。(化学工業日報04年12月8日、電気、日経産業、日刊工業、日刊自動車新聞12月9日)
2.地方自治体による施策
(1)山口県
 山口県の産・官・学連携で開発している“ソーダ工場で発生する水素を燃料としたFCの実証実験”が12月22日トクヤマ徳山製造所で始まった。山口県では試験結果を見て、工場周辺のモデル住宅で実験を拡大する。(産経新聞04年12月23日)

(2)三重県
 三重県はFCの実証試験を拡大する。継続中の03年度分2件に加えて、04年度の補助事業として6件を採択、構造改革特区認定を取得した四日市市と鈴鹿市で05年中に10社以上が実証試験を実施する。県は企業との実証試験や共同研究を通じてFC産業の集積拠点作りを目指す。これらの会社は、ジーエス・ユアサコーポレーション(京都市)による農家での実証実験、コスモ石油のLPG駆動PEFC、富士電機アドバンストテクノロジーによる2件、昭和シェル石油、出光興産などで、6件の総事業費は合計で約2億6,000万円となり、半額を県が補助する。県科学技術振興センターや三重大学も参加する。(日経産業新聞04年12月24日)
 三重県は補助事業として進めているFC実証試験事業について、新たに栗田工業とシャープの両社から提案を受けた。栗田工業は水素分離膜を使ったPEFCコージェネレーションシステムの実証試験で、シャープは災害時の非常用電源として、太陽光発電とFCのハイブリッドシステムの実証を提案している。(日刊工業新聞04年12月24日)
3.MCFCシステムの開発研究
(1)電力中研とオカドラ
 電力中央研究所と廃棄物処理プラントメーカーのオカドラ(横浜市)が共同で実証実験を進めている廃棄物の炭化・溶融・ガス化発電システムが順調に稼動を重ね、05年半ばには実用化ができる見通しが得られた。オカドラが商品のラインアップを整え、先ず地方自治体向けに販売する。他方、電中研は05年以降、このシステムとMCFCを連携させた分散型電源システムの開発を行う意向である。(電気新聞04年12月6日)

(2)丸紅
 丸紅が韓国鉄鋼大手のポスコと、FCE製出力250kWMCFC3台の納入契約を結んだ。価格は約1億5,000万円。両社は今回の契約を機にアジア仕様のMCFCの共同開発も視野に入れており、日韓の環境ビジネス拡大に向けて協力関係を強化する意向である。なお、丸紅は2001年にFCEと業務提携し、同機のアジアでの販売権を握っており、日本国内では5基の納入実績がある。又FCEの技術協力を受け、04年9月から川崎重工業とも提携して独自のFC開発に着手、3年以内に価格を半分程度に抑えたMCFCを販売し、アジア各国に本格的な普及を図る計画である。(産経新聞04年12月20日)  
4.SOFCの研究開発と企業活動
(1)セイケミカル
 セイミケミカル(神奈川県)は、リチウムイオン電池の正極材料に続く新規事業を積極的に育成する方針であり、特にSOFC向け材料は独自プロセスによる高品質が評価されていることを踏まえて、需要家の開発段階に対応して供給能力の拡充を図る。SOFCについては、電解質、空気極、燃料極、インターコネクターとあらゆる複合酸化物を提供することができる。同社のクエン酸合成法は品質が均一であり、排水処理が不要な点において特徴があり、月産2トンの試作設備が稼動しているが、05年にも月10〜15トンの設備を導入して、SOFCの実用化を後押しする。(化学工業日報04年12月15日)

(2)日本触媒
 日本触媒は、SOFCの電解質に使うセラミックスシートの生産能力を現在の10倍に拡大する。触媒技術で培った粉体加工技術を応用して、ジルコニア粉体をシート状に加工する。年間100万枚を製造できる実証試験プラントを姫路製作所に新設し、05年6月にも稼動させる予定である。投資額は10億円弱と思われる。家庭用SOFCシステムが実用化段階となり、国内外のメーカーからの需要が拡大すると判断した。なお日本触媒はスイスのスルザーヘキシスと提携し、2000年から同社にシートの供給を開始しており、又国内では住友精密ともSOFCを共同開発中である。(日経産業新聞04年12月22日)  
5.業務・産業用定置式PEFCプラントの稼動
 ダウ・ケミカルとGMは、11月29日、両社共同の定置式PEFCプロジェクトが第2段階に進んだと発表した。このプロジェクトはダウのフリーポート石化コンビナート内に設立されており、ダウの工場から副生される水素をPEFCに供給して発電するパイロットプラントである。第2段階では、発電した電力が、ダウの電力供給施設および水素浄化パイプラン設備を介して同社の化学品やプラスチック生産設備に送られる。実証実験の目的は、分散型発電におけるFCの信頼性の立証、信頼性向上と最適化、廃熱回収の可能性、水素の純度などの調査・検証となっている。2007年までに第3段階へ進み、その後大規模な商用段階に移行、最終的には35MWを発電する400ユニットのPEFCが設置される。(日刊工業新聞、化学工業日報04年12月1日、日経産業新聞12月2日、日刊自動車新聞12月3日、東京新聞12月7日)  
6.家庭用PEFCシステムの開発と事業展開
(1)東ガス
 東京ガスは12月6日、家庭用コージェネレーションPEFCシステムを、05年2月8日に市場投入すると発表した。システムは松下電器産業と荏原バラードの2社が製造する。同システムは発電・熱回収装置(高さ約1m、幅約80cm)および貯湯槽(高さ約2m、幅約80cm)によって構成される。発電容量は1kW、モデル家庭(4人)の電力の約40%を賄い、年間の光熱水料については、都市ガスの使用量は約1.5倍に増えるが、購入電力量は約40%減るので、年間約3万円の節約になる計算である。新設するFC特別料金を適用すると、更に3万円安くなると同社は述べている。06年3月までに200台リースし、利用者は10年間のリース料として100万円を支払うほか、3年間データ収集などに協力する。対象は、東ガスの供給地域の内、メンテナンス体制が整っている東京都、千葉、神奈川県、および埼玉県の1部。(読売、朝日、毎日、日本経済、産経、日経産業、電気、電波、日刊工業、日刊建設工業、建設通信、東京、中日、中国、北海道新聞、フジサンケイビジネスアイ、化学工業日報、河北新報04年12月7日)

(2)都市再生機構
 (独)都市再生機構は、12月15日、供給する賃貸住宅に家庭用出力750W都市ガス燃料PEFC(三洋電機)を導入すると発表した。第1号として05年3月に第1次入居開始のアーベインなんばウエスト(大阪市)の1部住戸(252戸の内の26戸)に設置、続いて05年冬に入居予定のサンヴァリエ桜堤(武蔵野市)の1部(85戸の内の17戸)にも入れる。大きさはエアコン室外機程度でベランダに設置、標準所帯(床面積70m2)では電力需要の74%、給湯の92%を満たし、光熱費が年間2万円安くなると予測している。設置の有無で家賃に差はないが、設置所帯には3年間、モニターとしてデータを提供してもらう。(読売、毎日、日本経済、産経、電気、中国、日刊建設工業、建設通信新聞、フジサンケイビジネスアイ04年12月16日、朝日、日経産業新聞12月20日、住宅新報12月28日)

(3)ミサワホーム
 ミサワホームは東京ガスと提携し、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉南部)の戸建て住宅の契約者向けに、家庭用PEFCの販売を05年2月8日から始める。契約期間は10年間、施工費と維持管理を含めた契約料は100万円、設置当初から3年間は、モニターとしてデータの提供やアンケートに協力することが求められる。(日本経済新聞、フジサンケイビジネスアイ04年12月18日、日経産業、日刊工業新聞12月20日、住宅新報12月28日)

(4)新日石
 新日本石油は12月20日、LPガスを使った750W家庭用PEFCシステムを、05年3月1日に商品化すると発表した。商品名は“ENEOS ECO LP-1”で三洋電機に生産委託する。発電ユニットは幅1m、高さ1m、奥行き0.45m、重量は200kg、他方貯湯ユニットは容量200Lで、幅0.75m、高さ1.9m、奥行き0.44m、重量120kg、貯湯温度は65℃と発表されている。モデル世帯電力の約6割を賄うことができる。05年度は関東圏(1都10県)で150台をレンタル方式で販売、06年度以降に全国展開し、13年頃には年間10万台の普及を目指す。当初3年間はレンタルとし、料金は年間6万円に抑えた。(読売、朝日、日本経済、産経、電気、日経産業、日刊工業、西日本、中国、東京、中日、北海道、日刊建設工業、建設通信新聞、化学工業日報、フジサンケイビジネスアイ、河北新報04年12月21日)  
7.改質および水素生成技術開発
(1)産総研
 産業技術総合研究所はガソリン改質に有効な触媒を発見した。この触媒は、ニッケル、レニウム、ストロンチウム、ジルコニアの4種類の金属を組み合わせたもので、ニッケルは触媒の安定性を高めるために、又ストロンチウムは硫黄分のへの耐性を高めるために導入されている。従来の装置に比べて反応温度が200℃以上低い580℃でガソリンと反応させたところ、水素を取り出すことができた。今後改良を進めて500℃以下での反応を目指すが、このレベルの温度で改質が可能になれば、自動車排ガスの熱を利用して水素を生成することができる。(日経産業新聞04年11月29日)

(2)還元溶融技術研究所
 還元溶融技術研究所(高知県)は05年中に、東北と四国の両地方に廃棄物を路盤材やエネルギーとして再利用できる溶融炉を開発する。両地方に特産品であるリンゴやユズなどの廃棄物処理と同時に、水素やCO、固形物としての炭素を取得することができる。炉内温度は1600〜2000℃。処理能力;5トン/日、水素生成;360m3/日、CO生成;6,000m3/日、建設費10億円。(日刊工業新聞04年12月7日)

(3)アメリカDOE
 アメリカDOEは11月30日、第4世代原子炉から熱と電気を利用して水素を製造する研究プロジェクトにおいて、酸化固体電解質を使って、高い効率で水素製造に成功したと発表した。この研究プロジェクトは、アイダホ国立環境工学研究所(INEEL)とセラマテック社、ワシントン大学等が共同で研究を進めているもので、同社の開発した固体酸化物電解質を使った高温水蒸気電解法である。これはいわばSOFCの逆反応であり、700〜900℃の高温水蒸気を電気分解することにより、水の電気分解に比べて1.5〜1.7倍の高い効率を達成することができる。これは水の電気分解に必要な電力の1部を熱エネルギーで補っているためである。(原子力産業新聞04年12月9日)

(4)東工大
 東京工業大学の大塚教授らのグループは、木くずや古紙などを原料に高純度の水素を生成する技術を開発した。開発した手法は、独自の触媒を使い、紙やプラスチックなどを高温の水酸化ナトリウム溶液と反応させ、炭酸ナトリウムの他、水素、メタンなどを発生させる。有機物なら基本的に原料になり、COもCO2も発生せず、そして低コストで純度の高い水素を生産できる点に特徴がある。(日本経済新聞04年12月10日)

(5)コロナと出光興産
 コロナは12月21日、出光興産と共同で、家庭用FC向けの高性能な灯油の水蒸気改質装置を開発したと発表した。改質率は80%、水素を抽出するまでの起動時間は45分である。コロナの灯油燃焼バーナー技術、出光興産の水素製造用触媒技術を組み合わせた。 両社は05年3月に改質器を組み込んだPEFCシステムを完成させ、PEFCシステムの実証試験を開始し、耐久性や起動時間短縮などの改良研究を進める。コロナでは「10年を目標に、量産効果によるコスト面での課題を解決しながら普及を目指したい」と語っている。(産経、日経産業、日刊工業新聞、新潟日報、化学工業日報04年12月22日、フジサンケイビジネスアイ12月23日、電波新聞、フジサンケイビジネスアイ12月24日)
8.FCV最前線
(1)中国
 中国人民政治協商会議上海委員会の視察活動において関係者が、FCVが2008年のオリンピックと2010年の万国博覧会に試験的に導入されることを明らかにした。04年は中国のエネルギー消費量は日本を抜いて世界第2のエネルギー消費大国になると予想されている。中国の石油消費は全エネルギー消費量の25%前後を占め、又ガソリン消費の70%前後を自動車が占めている。自動車の代替エネルギー研究が急務になっている。(日経産業新聞04年12月2日)

(2)スズキとGM
 スズキは12月3日、提携先のGMと共同で、最高充填圧力が70MPaの圧縮水素ボンベを搭載した軽FCV“MRワゴン−FCV”を開発したと発表した。国土交通省からは既に認定を受けた。1回の充填により走行できる距離は200kmとなった。05年1月から公道実験を開始する。(日刊自動車、中日、静岡新聞04年12月4日、日経産業、日刊工業新聞12月6日)

(3)ダイハツ
 ダイハツ工業は、FCV用燃料である圧縮水素ガスの圧力を70MPaまで高め、航続距離を現在の120kmから200kmまで延ばす技術に目途をつけた。トヨタ自動車などが参加するコンソーシアム“ハイドロジェン700”が実用化する70MPaタンクを、現行の軽自動車である“FCV−K−2“モデルに替わる新型車に搭載し、05年10月下旬に開幕する東京モーターショウに出展する予定である。同社は更に研究開発を進め、将来はガソリン車並みの航続可能距離を目指すと語っている。なお、これに先行してハイブリッド車についても新型に切り替え、05年夏から官公庁や企業向けに年間300台を販売する計画である。(日刊自動車新聞04年12月14日)

(4)ホンダ
 ホンダは12月17日、低温に強い(−20℃で始動可能)次世代型FCV“FCX”の販売について、国土交通省の認可を得たと発表した。05年から気温が氷点下になるような寒冷地を対象にリース販売を展開する。なお同社は12月20日、北海道庁にリース販売すると発表した。(朝日、産経、日刊自動車、中日新聞04年12月18日、日経産業、日刊工業、鉄鋼新聞12月20日、日刊工業、日刊自動車、北海道新聞、フジサンケイビジネスアイ12月21日)  
9.マイクロFCの開発
 神奈川県産業技術総合研究所は、針の先端と同程度の大きさ(直径0.2mm)のマイクロPEFCを開発した。微細加工技術を駆使し、大幅な小型化を実現するとともに、性能については出力密度1mW/cm2を確認、LEDの点灯に成功した。MEAは白金系の触媒を使った電極と電解質で構成され、厚さ0.2μmの金の薄膜を蒸着し、配線の機能を持たせている。基板には耐熱性と耐酸性のあるプラスチックを採用した。現時点では1cm2の基板の中に、13個のPEFCを直列に接続しており、当面はFC1個当たりの出力密度を10mWにまで高めることを目指す。更に実装密度も現在の100倍程度に高めることにより、06年を目途に携帯電話で使えるよう性能を向上させる。企業と組んで共同研究を進める方針である。(日刊工業新聞04年12月6日)
10.FCおよび水素関連計測器
(1)オーバル
 オーバルは、超高圧形質量流量計“ウルトラ・マスMKU”を開発した。高圧水素ガスを対象に95MPaまでの圧力、温度は−50℃から93℃までの範囲で高精度の流量計測が可能である。重量は14kg、価格は400〜500万円を見込んでいる。(化学工業日報04年12月7日、日刊工業新聞12月8日、日経産業新聞12月14日)

(2)日立と岡山大
 日立製作所は岡山大学と共同で、わずかな水素漏れを効率的に検知する無線センサーシステムを開発した。小型のセンサーを無線でネットワーク化し、どこでどの程度の水素漏れが発生したかを瞬時に検知する。水素スタンド安全対策として08年頃の実用化を目指す。水素センサー部分は、電極上に乗せたイオン交換膜に水素分子が付着すると、流れる電流が変化する現象を利用したもので、半導体のウエハー製造工程を活用するために量産による低コスト化が期待される。更に室温で水素分子を検知すると、即時にヒーターが起動してセンサーを高温化、これにより高精度で水素濃度を測定する。水素分子の濃度が100ppm以下でも検知が可能。試作したセンサーのサイズは、75mm×3mm、試作段階では電池や通信回路などと組み合わせると5cm角程度になるが、今後小型化が可能であると話している。(日経産業新聞04年12月8日)

(3)新潟大学
 新潟大学工学部の原田教授らは12月22日、従来品に比べて検知速度が速く、小型化が可能な水素ガスセンサーを開発したと発表した。この新センサーは、検出部分を常時起電させておき、100ppm以上の濃度であれば、水素ガスを検知して電位差を生じ、0.1秒以内に警報ブザーを発生する。検知装置はチップ化して5g以下でも作製できる。製品はテクノリンク(新津市)がベンチャー企業を設立して製造し、風間電機興業(新潟市)が販売する。テクノリンクによると、05年末までに数百個のサンプルを作り、国内外20〜30社に試用してもらう計画であり、価格は20〜30万程度の見込みである。(新潟日報04年12月23日、日経産業新聞12月24日)  
11.新しいFCシステムの活用
 GSユアサは12月13日、自社開発のDMFCをイチゴのハウス栽培に活用する実証実験を三重県鈴鹿市で始めた。約1年間かけてデーターを集め、07年度での商品化に生かす。DMFCの出力は1kW、大きさは幅48cm、奥行き85cm、高さ72cmで、容量230Lの燃料タンクを満タンにすれば2週間前後は運転できる。鈴鹿市の農家が保有するビニールハウス約990m2に1台を設置し、日の出前の2時間は日照不足を補う照明用電源として使い、排出するCO2はイチゴの光合成に、そして熱はハウス内の保温に利用する。三重県と鈴鹿市のFC実証試験補助金制度を活用した取り組みである。(読売、朝日、日経産業、日刊工業、電波、京都、中国新聞、河北新報、化学工業日報04年12月14日、中日新聞12月15日、電波新聞12月21日、日本農業新聞12月23日)  

 ―― This edition is made up as of December 28, 2004――


・A POSTER COLUMN

各種自動車の温室ガス(GHG)排出量の比較評価
 トヨタ自動車とみずほ情報総研は11月29日、ハイブリッド自動車やFCVなどについて、CO2などGHGの総排出量を計算した研究結果を発表した。GHG排出量(Well-to-Wheelベース)は、ハイブリッド車がガソリン車の半分以下で、FCVとほぼ同等であった。FCVの場合は、走行時(Tank-to-Wheel)にはガスを出さないが、水素製造過程やタンクへの充填過程(Well-to-Tank)でGHGの排出量が多く、天然ガスから水素を生成する場合は、ハイブリッド車よりも少ないが、石油原料から水素を製造するとハイブリッド車よりも多くなる。(電気、日経産業、日刊工業新聞04年11月30日、日刊自動車新聞、化学工業日報12月1日)  

防災対応型エコ駐輪場システム“夢創造の会”
 近畿経済産業局の有志職員による研究会“夢創造の会”は、風力、太陽光やFCを活用した防災対応型エコ駐輪場システムを考案した。通常は電動車イスや電動自転車の充電などに使用し、災害時には地域の防災拠点として活用する。余剰電力は水の電気分解によって水素と酸素を製造・貯蔵し、太陽光のない夜間にはFCによって発電するが、製造された酸素は医療用ガスとしても利用可能である。同システムに対しての関心は高く、新潟県中越自身で被災した自治体からも問い合わせがあった。なお同会では、1995年に起きた阪神大震災を契機に、西宮市消防局との協力のもと、防災用の携帯型FCの実証実験を行っており、医療用電源としての活用も提案している。 (産経新聞04年12月10日)  

アメリカGMとドイツDC両社がハイブリッド車の開発提携で合意
 GMとダイムラークライスラー(DC)は12月13日、次世代ハイブリッド車の開発提携で基本合意した。GMは07年に発売するスポーツ用多目的車(SUV)2車種に新しく開発したエンジンを搭載する考えである。GMはこれまで次世代車の本命はFCVであるとの認識から、ハイブリッド車の開発には消極的であったが、アメリカ市場で先行するトヨタやホンダがハイブリッド車の販路を拡大していることから、路線転換が必要と判断したと見られている。またDC社も環境対応車の主力と位置づけるデイーゼルに並ぶ新技術が不可欠と判断し、巨額のコスト負担を節減するため、共同開発に踏み切った。(日本経済、東京、中日新聞04年12月14日、日経産業新聞12月15日)  

低公害車開発・普及アクションプラン;低公害車の保有台数は829万台
 政府は05年、低公害車開発・普及アクションプランを改定する。04年9月時点での低公害車(ハイブリッド車や低公害ガソリン車など)保有台数は、自動車メーカーの低排出ガス認定対応が急速に進んだ結果、保有台数の16%を占める約829万台まで普及した。このため政府は、FCVなど次世代公害車の開発を急ぐとともに、クリーンデイーゼル乗用車など最新技術を盛り込んだ低公害車の普及ペースを加速させる。(日刊自動車新聞04年12月20日)