60号 液体有機物を利用した水素の貯蔵供給技術

Arranged by T. HONMA
1.国家的施策
2.地方自治体における施策
3.PAFCの事業展開
4.SOFC研究開発
5.PEFCの開発と事業展開
6.定置式PEFC
7.家庭用PEFCの開発と事業化
8.FCV最前線
9.燃料関連技術動向
10.企業活動

1.国家家的施策
(1)総合エネ調小委 DMEとGTLの用途開拓へ支援を提言
 総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の天然ガス小委員会は"天然ガス政策のあり方"と題する報告書をまとめた。このなかで同ガスの改質で生産されるジメチールエーテル(DME)とガス・ツー・リキッド(GTL)の新しい利用形態を推進するため、保安関連法規の整備や規格、インフラ整備など一連の支援策を講じる必要があると結論付けている。DMEは天然ガスから合成ガスを生成、メタノールを経由して作られる。熱量は低いが硫黄分を含まないため環境面で優れており、LPGの代替として産業、輸送用燃料に将来利用拡大が期待されている。GTLは天然ガスから合成ガスを生成、触媒反応で合成油を製造するが、やはり硫黄分や芳香族を含まないほかセタン価が高く、燃焼特性が良いため、内燃機関用燃料の基材として2010年にも利用が見込まれるものと期待されている。
(化学工業日報01年5月28日)

(2)経済産業省
 経済産業省は、FCVについて、当面は"燃料改質型"と"水素貯蔵型"の2方式を、車種毎に最適導入していくことが効果的であるという考えを明らかにした。
(日刊自動車新聞01年6月9日)

(3)環境庁
 環境庁が富士電機に発注して、神戸市で建設していたFCによる生ごみ発電施設が6月末に完成する。これは生ごみを発酵処理して発生するガスによってFCで発電する方式であり、建設費は5億円強となっている。本格的な生ごみFC発電施設は全国で始めてであり、6トンの生ごみによる発電出力は100kW、7月より実証試験を開始し、試験期間は3年間である。
(日本経済新聞01年6月16日、電波新聞01年6月22日)

(4)NEDO事業
 NEDOは経済産業省からの補助金によるSOFCの研究開発テーマを4件決定した。それらは1)東陶機器:熱自立モジュールの技術開発(湿式円筒形)、2)三菱重工業および中部電力:熱自立モジュールの技術開発(一体積層形)、3)東京ガス:適用性拡大に関する要素研究(耐熱衝撃性平面形セル・スタックの研究)、および4)三菱重工業:適用性拡大に関する要素研究(アドバンス円筒形セルの研究)である。
(電波新聞01年5月30日、日経産業新聞6月7日)
 

2.地方自治体における施策
 静岡県はFCの開発支援と普及を目的に、県の果たすべき役割などについて検討するため、01年6月15日に庁内の研究会を発足させた。2002年度には企業や大学の研究者も加えて、基本構想策定専門委員会を設置する。検討結果は県の新エネルギー導入ビジョンに盛り込み、施策として反映させる予定である。
(静岡新聞01年6月15日)
 
3.PAFCの事業展開
(1)富士電機
 富士電機は50/100kWのPAFCを今秋から販売すると発表した。100kWタイプで従来比30%のコスト削減を図った低価格タイプである。自社ブランド"ふえる電池くん"として、コージェネ用のほかバイオガス利用のシステム向けに、大手ガス会社などを通じて拡販を図る。このPAFCは東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3社との共同開発をベースに商品化したもので、フィールドテストなど運転実績を重ねながら信頼性の向上に努めてきた。国によるFCの導入支援事業に50kWタイプも今年度から補助対象に加わったため、同社は従来の主力の100kWタイプに加え、50kWタイプも市場投入する。
(電気新聞01年6月20日)

(2)沼津市の西島病院での導入
 沼津市の医療法人新和会"西島病院"は、国のLPガスコジェネレーション導入補助制度を受け、LPガスによる200kWPAFCを導入した。西島理事長は「従来の自家発電では数時間しか電力を確保できなかったが、LPガスFCなら燃料タンクで3日程度は維持できる。都市ガスは地震によって供給が寸断される可能性があるが、プロパンは機動力に優れており、災害に対応するとともに近隣への環境負荷を軽減するために導入した」と話している。これによる省エネルギー率は30.6%と見積もられている。LPガスPAFCは東芝と日本石油ガスが共同で開発したもので、ガスは沼津酸素工業が供給することになっている。購入費は約1億5,000万円、補助金は7,500万円である。
(静岡新聞01年6月7日)
 

4.SOFC研究開発
 三井造船はSOFCの研究開発を加速することになり、2年後には出力10kW級モジュールを開発、それをGTと組み合わせて発電効率60%が可能なコンバインドサイクル発電技術の実用化を目指すと発表した。同社が開発中のSOFCは平板型であり、NEDOプロジェクトに参加して要素技術などの研究を続けてきたが、このプロジェクトが終了後は電力会社と共同で実用化に向けた研究開発を推進する体制を採っている。主な研究内容は、SOFCスタック各部分の製法、特性改善のための開発、発電試験による検証およびSOFC中心のコジェネレーションシステムの構築とその特性の検討等が含まれている。又セラミックス材料の開発を始め耐火物材料の設計・評価技術および加工・成形技術の構築が基礎的な重要テーマである。
 又10kW級SOFCと組み合わせるガスタービンには、パッケージ契約を結んでいるアメリカのソーラー社製を、蒸気タービンは三井―GECアルスとム型を採用する予定である。燃料としては、天然ガス以外に石炭ガスが注目されているが、三井造船では、これら以外に太陽エネルギー利用も視野に入れて研究を進めることにしている。
(化学工業日報01年6月5日)
 
5.PEFCの開発と事業展開
(1)日本電池
 自動車用バッテリーの大手である日本電池は、FCV分野への進出に強い意欲を持っており、FCの本格供給を2004年から開始する方向で調整に入っていることが分かった。既に同社はPEFCに関して幾つかの独自の技術を確立しており、このような独自の技術を投入して2003年中には出力数kW級システムのサンプルを完成させ、又同年中には量産ラインを設置する意向である。これらの独自の技術的成果とは、第1にガス拡散により白金触媒を有効な部位にだけ選択的に担持させる電極形成法の確立であり、これにより放電特性を低下させることなく、白金の使用量を10分の1にまで減少させられることが挙げられる。これはPEFCのコストを大幅に低下させることを可能にする。第2は電極内でのガス透過性とプロトン伝導性を向上させた新電解質の開発であり、これによってFCの高出力化が可能になった。本格的なFCの供給開始時点ではまず家庭用コジェネレーション関連が中心になり、自動車向け量産は2006年以降と予想されている。
(化学工業日報01年6月14日)

(2)森製作所
 森製作所(松戸市)は01年6月11日、COを除去するために、酸化クロムを使った新しい触媒を開発したと発表した。
(読売新聞01年6月12日)

(3)積水化学工業
 積水化学工業は、産総研の本間格エネルギー材料グループ長との共同研究による成果の一環として、高温でイオン伝導性に優れたPEFC用固体高分子電解質を開発したと発表した。これは有機材料の柔軟性、無機材質の耐熱性というそれぞれの特徴を兼ね備えた非フッ素系と非スルホン系の有機無機複合膜で、室温から160℃の温度領域において10−2S/cmの水素イオン伝導度を維持する。積水化学と産総研は既にゾルゲル法によって合成したポリエーテル(有機)の両端にシリカ(無機)を結合したプロトン伝導性有機無機複合高分子電解質を開発し、それによって10−3S/cmのプロトン伝導度を達成している。今回は高温での伝導性を高めるために、ポリエーテルの替わりにポリオレフィンを採用し、伝導度を1桁向上させることに成功した。又PWA(ヘテロポリ酸)等をプロトン伝導性供与剤として添加している。現在PEFCに一般に使われているフッ素系電解質のプロトン伝導度は0.1S/cm程度であるが、プロトン伝導の役割を担うスルホン基が温度上昇によって離脱するため、動作温度を80〜90℃になるよう設計する必要があった。FCの高温動作は、発電効率を高め、排熱利用が有利になるとともに、自動車などへ搭載する場合には冷却装置が簡単になり、更に改質ガスを使う時にはCOによる触媒劣化を回避できるなど、多くの長所が期待される。
(化学工業日報01年6月6日)
 

6.定置式PEFC
(1)三井造船
 三井造船は高温発酵タイプでは国内初のバイオガス実証プラントの建設に着手したと発表した。北海道の帯広畜産大学の附属農場内に建設するもので、02年2月に完成、06年までの5年間で研究・実証試験を行う。乳牛など家畜の排泄物をメタン発酵処理できることを実証するとともに、FCによる高度エネルギー変換技術やメタン発酵液の有効利用技術などの確立を目指す。同システムは、三井造船のデンマーク子会社が開発した高温発酵方式(53−55℃)のバイオガスプラントで、デンマークでは既に10年以上の運転実績がある。実証プラントの概要は、糞尿・有機廃棄物処理量で日量4トンの規模で発電設備としてガスエンジン(15kW)と出力250WのPEFC(松下電工製)を1台づつ導入する。
(化学工業日報、日刊工業新聞01年6月1日)

(2)北陸電力
 北陸電力はPEFCの実証試験を開始した。アメリカHパワー社製出力3kWのPEFC実証試験機を技術研究所に設置し、03年3月まで2年間弱に亘って実証実験を行う予定であるが、その目的は家庭用やオンサイト電源としての評価に置かれている。系統連携機能のない独立電源仕様で、家庭用給湯を想定して、100リットルの追いだきバーナー付き貯湯槽を備えている。燃料はプロパンガスである。
(電気、日経産業新聞01年6月19日)
 

7.家庭用PEFCの開発と事業化
(1)トヨタ
 トヨタ自動車は住宅用PEFCを2004年にも事業化する方針を決めた。低迷する住宅事業を支援するのが狙いである。PEFCは自動車と住宅が最大の市場になると見られ、住宅用はガス会社などが04年の実用化を目指し開発を競っており、世界最先端の技術を持つトヨタの参入によって、開発競争は厳しさを増すものと思われる。トヨタはFCVを共同開発する系列会社の技術を活用し、モデル住宅を05年の愛知万博に合わせ、万博会場の近くに建てることを計画している。一般向け販売は早ければ08年頃になる模様で、そうであれば10年を量産目標にしているFCVよりも時期的に早く、そして幅広い商品化を目指すと同社は語っている。燃料はガソリン方式を研究しており、住宅用も当面はガソリンを利用する可能性が大きい。
(東京新聞01年5月30日)

(2)H−パワー
 H-Power Corp.は、今後数ヶ月以内に、家庭用FC電源システムを、アメリカ・カリフォルニア州において、限定販売ながら商用機の市場展開する計画であると発表した。このFC電源システムは、特に「カリフォルニア州で発生している停電等、電力品質の低下に直面している住民のニーズに合わせて設計されている」と同社CEOのH.Frank Gibbard氏は述べている。出力規模は3〜4.5kWで、それ以外システムの値段や限定販売以外の商用出荷等については明らかにされていない。同社は既にアメリカ、カナダ、日本、フランス、スカンヂナビアで製品の実証運転実験を行っている。
 H-Powerは、製品の販売についてEnergy Co-Opportunity(ECO)と協力体制を維持しようとしている。このECOは、分散型エネルギーの普及を図るために、1998年に設立されたエネルギーサービス会社である。次いでH-PowerとECOの両社は、南部カリフォルニアでの販売プログラムにおいて、システムの設置者としてAltair Energy LLCを指定した。このAltair社は、San Diegoで太陽光発電システムの販売とサービス活動を行っている会社である。
 H-Powerからの情報によれば、ECOと協同で進めることになっていた大規模な市場展開のプログラムは遅れるかも知れないとのことである。同社は、ECOのベータ実証試験計画が完了し、2001年末までには第1次の商用ユニットを出荷するという元来の目標に到達するであろうことを確信していると述べてはいるが、ベータ試験計画が予定通り完了しなければ、商用ユニットの販売計画は遅れることになろう。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, June 2001 Vol.XVI/No.6, p1, p5)
 

8.FCV最前線
(1)トヨタ
 トヨタ自動車は"第4回トヨタ環境フォーラム"にて、FCHVを2003年半ばに商品化すると発表した。また、試作車を開発し公道走行試験を開始した。今回発表した"FCHV−4"は、出力90kWのPEFCおよびニッケル水素電池を搭載し、FC用燃料は水素ガスで高圧タンク方式を採用している。ベース車両は"クルーガーX"、最高速度が時速150km、航続距離が250km以上である。公道試験では車両5台を用意し高速道路などを含めた走行データを3年間にわたって収集するとともに、7月からはカリフォルニア州の公道テストプロジェクトにも車両2台で参加することにしている。商品化時代の価格について張富士夫社長は「1000万円は切りたい」とその抱負を語っている。
 同時に、日野自動車と共同開発した燃料電池搭載バス"CHV−BUS1"を発表した。これは床下に高圧水素タンクを収納した63人乗りのバスで、最高速度時速80km、航続距離300kmである。 また、新燃料"クリーンハイドロカーボン燃料"(CHF)を使うFCVの試作車も今秋に公表する。
(日本経済、日経産業、朝日、読売、毎日、産経、東京、日刊工業、日本工業新聞01年6月19日)
 他方、トヨタ自動車は、FCバスの試作車を製作し、東京都と共同で2002年秋の商用車モータショウの開催時期を目途に、都内バス路線で営業運転する計画を検討することになった。期間は半年から1年程度を想定している。この試作バスの燃料は水素で、高圧水素ガスボンベから供給される。公共交通への導入は、FCおよびFCVに対する一般の理解を広げる宣伝効果があり、本格的な実用化に弾みがつくものと期待している。
(日本経済新聞01年6月15日)

(2)マツダ 
 マツダは01年6月12日、横浜市のマツダ横浜研究所の敷地内で約30分間、報道関係者を乗せて、走行試験を公開した。なお今後、筆頭株主であるフォードとFCVの開発を加速させ、早期の実用化を図ると語っている。
(朝日、読売、毎日、日本経済、東京、日経産業、中国新聞01年6月13日)
マツダは、ミニバンの"プレマシー"をベースとしたFCV"プレマシーFC−EV"による公道での走行試験を、広島市などで本格的にスタートさせることにした。01年7月まで広島市での市街地走行を中心にデーターを収集し、その後は実用化に向けての基礎的な研究を続ける予定になっている。"プレマシーFC−EV"は、メタノール改質方式で、親会社フォード・モーターがバラードのスタックを使って開発した駆動システムを、マツダがプレマシー用に仕上げたFCVである。なお、マツダは3月にダイムラークライスラーと一緒に公道走行を公開する予定であったが、走行直前にシステムに不具合が発生、走行を取り止めた経緯がある。
(日刊自動車新聞01年6月16日)

(3)GM
 GMは01年6月12日、水素の貯蔵装置を開発するため、技術開発会社クオン・テクノロジーズに出資し、同社の株式20%を取得すると発表した。同社はFCVの開発を加速させる方針である。
(朝日新聞01年6月14日)

(4)日産・ルノー
 日産自動車とルノーは、FCV用燃料としてガソリンを採用し、ガソリン方式による開発を最優先させる方針を固めた模様である。GMがトヨタとガソリン方式の共同開発で合意したのを受けて、日産の幹部は「ガソリン方式が、有力市場であるアメリカの標準になる可能性が高まった」と判断した。FCVの開発には、今後5年間で850億円を投じる予定で、既に01年2月には日産社内にFCV開発の中核部隊を新設、開発作業を加速させている。2005年にもFCVの発売を始めたいと述べている。
(読売新聞01年6月4日)
 

9.燃料関連技術動向
(1)栃木富士産業 FCV用スーパーチャージャーを新開発
 栃木富士産業は、スーパーチャージャー(SC)関連事業を強化する。富士重工業の軽自動車用SCのラインアップを強化して、大排気量エンジンに対応するタイプを新開発するとともに、高効率で高過給が可能な新型SCの用途開発を進め、FCVの燃料供給システムとして採用を働きかけることにした。富士重工に供給しているSCは"ルーツ式"であるが、ルーツ式よりも構造は複雑だが、低速域から高速域まで高効率で過給が可能な"リショルム式SC"については、ガソリンエンジンの過給機以外の用途開発にも着手した。特にFCVでは高圧化する必要があり、その過給機としてリショルム式を応用する。既に国内の大手自動車メーカーにFCV用としてテスト納入している。
(日刊自動車新聞01年6月1日)

(2)FC用有機ハイドライド利用システム研究会
 水素を有機燃料を使って貯蔵・運搬するシステムを、北海道大学触媒化学研究センターの市川教授が考案し、推奨している。これはベンゼンやナフタレンに、触媒と共に水素を加えると、シクロヘキサンやデカリンと呼ばれる灯油に似た液体となる現象を利用して、水素を貯蔵・運搬する方式である。構想ではデカリンをタンクローリーで家庭やガソリンスタンドに運び、そこから燃料としての水素を取り出すことになる。実験では1分間に250lit.の水素を発生することができた。デカリンは水素を放出するとナフタレンに戻るので、それを回収して同様のプロセスを適用すると、水素を貯蔵・運搬するためのサイクルが形成されるわけである。市川教授等は、01年の夏頃から北海道室蘭市で試験プラントを稼動させ、1ないし2年後の実用化を目指すと語っている。(東京新聞01年6月4日)
 上述のデカリン等"液体有機物を利用した燃料電池用水素の貯蔵・供給システム"の研究を目的とする産学共同の組織"FC用有機ハイドライド利用システム研究会"が発足した。北大、東京理科大など5大学の他、関電、大阪ガス、ジャパンエナージー、積水化学工業、三菱化学など29社が参加している。このほど第1回総会を開催し、柏木孝夫・東京農工大学大学院教授を会長に、市川勝・北海道大学触媒化学研究センター教授と長谷川泰三・関西電力総合技術研究所所長を副会長に、夫々選任した。研究会では今後、水素の貯蔵・供給技術や設備施設の開発促進と市場開拓、インフラなど社会システムの形成に向けた研究活動を行うとともに、実用化に向けた情報発信を行うことにしている。
(日本経済、日経産業新聞01年6月4日、日刊自動車新聞6月18日、参照:The Latest News No.59, 13(1))

(3)中国電力
中国電力は、01年10月に設立する燃料供給の新会社"エネルギー・ソリューション・ アンド・サービス(ESS)"で、FC燃料の水素を水の電気分解方式で取り出すシステムの研究に乗り出すことにした。ESSに共同出資する荏原製作所などと、装置の小型化や低コスト化、高効率化などの研究を進めることを予定している。
(中国新聞01年6月5日)
 

10.企業活動
(1)BMW
 BMWは、茨城県つくば市の日本自動車研究所で水素エンジン(HE)車の"BMW750hL"を公開した。FCVと異なり、従来のガソリン車と同様、内燃機関で水素を燃焼させてパワーを得る。1回の燃料補給で約350km走行でき、最高速度は時速225kmとガソリン車並みの性能を実現している。トヨタやホンダなどの主要メーカーはハイブリッド車やFCEV(燃料電池電気自動車)に軸足を置いており、BMWはいわば技術的に"孤立"している格好であるが、ブルクハルト・ゲッシュル技術開発担当取締役は「FCに比べてシステムがコンパクトなのでスタイリングでも有利。バス・トラックといった大型車ならFCを積むスペースはあるが、乗用車では難しい。車体も軽量化出来るので、総合的な燃費では差は出ない」と自信をみせている。
(日刊工業、日刊自動車新聞01年6月1日)

(2)日石三菱
 日石三菱は、天然ガス、FCなど新規エネルギー事業の事業体制を強化するため、01年7月1日付きで"新エネルギー本部"を新設することになった。新規エネルギー事業を育成し、中期経営方針である総合エネルギー企業への脱皮を図るための布石とする。新設する新エネルギー本部には、天然ガス、LNG事業を統括するガス事業部、コージェネレーションシステムを担当するTES事業部、FCの関連部門を集約するFC事業部を設ける。FC事業部には、複数の部門に分散していたFC関連業務を集約、FCビジネスの早期事業化を目指すことにしている。
(日本工業、日刊工業新聞01年5月28日、日経産業新聞01年6月1日)

(3)丸紅 米FCE社に出資
 丸紅はアメリカのFuel Cell Energy社に資本参加した。出資額は1000万ドル(約12億円)である。FCE社が実用化したMCFCが、病院やスーパーなどのコージェネレーション向けに需要が見込めると判断した。丸紅はアジア地域でFCを販売するため、同地域内に共同で生産拠点を設ける意向である。同社は昨年3月に日本での独占販売権、中国、東南アジア、豪州での販売権を取得したが、その後日本での需要開拓に目処を付けたことなどから出資に踏み切った。
(日本経済新聞01年6月19日、産経、日刊工業、電波新聞、化学工業日報01年6月20日)
 

― This edition is made up as of June 24, 2001. ―