56号 アメリカMT社携帯電話用DMFCに進出

Arranged by T. HONMA
1.国家的施策
2.地方自治体による施策
3.国際機関の施策
4.MCFC
5.SOFC
6.定置式PEFCの開発と実証運転
7.PEFC自動車用エンジンの連続生産
8.DMFCの開発研究
9.FCV最前線
10.FCV公道試験
11.FCおよびFCV用燃料の生成
12.マイクロFCの開発体制
13.FCVに関するアンケート

1.国家家的施策
 経済産業省はFCVを普及させるため、官民でFCエンジン用"クリーンガソリン"の開発に取り組む。3月中旬にトヨタ自動車などと官民共同組織(燃料電池実用化推進協議会)を発足させ、統一した品質基準づくりを進めるとともに、2002年度予算で開発費の助成も検討する。FCVはメタノールを燃料に使う方式も開発が進んでおり、ガソリン方式の普及を目指す経済産業省の方針は反発を招く可能性もある。(日本経済新聞01年2月21日)
 
2.地方自治体による施策
 愛知県の神田真秋知事は内外情勢調査会で講演し、FCを2005年に開催する日本国際博覧会(愛知万博)の目玉にしたい考えを明らかにした。同知事は「世界中で競って開発が進んでいるFCはここ数年で劇的な変化を遂げるであろう。愛知万博で夢と希望がもてる姿を展開できれば歴史に残ることになる。1889年のパリ万博はエネルギーの博覧会と呼ばれたが、愛知万博を新しいエネルギーの博覧会にしたい」と述べている。(化学工業日報01年2月7日)
 日本国際博覧会協会の坂本事務総長は2月19日、愛知県議会の自民党研修会で講演し、同万博総合プロデューサー決定の見通しについて説明した。他方、同展示内容について「会場アクセスのバスはFCを使ったものにできればいいと思っている」との考えを表明した。(日刊建設工業新聞01年2月20日)
 
3.国際機関の施策
 国連のGlobal Environment Facility(GEF)は、5カ国の開発途上国で、FCバスの実証運転を実施するためのプロジェクトにゴーサインを発することになった。この5カ国とはブラジル、メキシコ、エジプト、インド、および中国で、FCバスは大気汚染が厳しい首都や主要都市に配備される。2002年から2003年の間に、40ないし50台のFCバスが配備され、実証運転が行われる予定で、それに要する総費用は約1億3,000万ドルと見積もられている。GEFはこの内の約6,000万ドルを負担し、残りは5カ国の政府および民間企業が支出することになる。費用分担の比率は国によって異なるが、例えばブラジルの場合は、総額が2,120万ドルで、GEFが1,230万ドル、ブラジル政府が630万ドル、民間企業が260万ドルとなっている。
 GEFとは世界で最も大きな開発途上国に対する援助機関であり、1992年に開催のRio de Janeiro世界環境サミットに対する準備作業の1環として、1991年に設立された。United Nations Development Program(UNDP)、United Nations Development and Environment Program(UNEP)、および世界銀行(World Bank)がサポート又は協力関係にあり、GEF自身は適当な資金を提供することにより、先進国の産業界が持つ技術ポテンシャルを、開発途上国のニーズに合わせて技術移転するための援助を基本的な戦略としている。それが管轄する技術分野には気候変動問題の他に生物種の保存、水資源の開発、オゾン破壊物質の除去が含まれる。UNDP/GEFの主席技術顧問であるRichard Hosier氏は「確立された技術の移転よりは、将来技術の移転の方が挑戦的でリスクも大きいが、新エネルギーや環境に関しては、早期の投資はそれだけ大きな見返りを齎すことになろう」と述べ、又「産業界が独自の力でその任務を実行できるようになれば、GEFの任務は産業界にシフトすることになり、その技術が完全に商用段階に達すれば、GEFの任務は終了する」と語っている。
 話をFCバスの実証プロジェクトに戻すことにして、このプロジェクトが実施される最初の国はブラジルになると思われている。ブラジルの代表とSan Pauloの主要なバス会社2社には、既に提案書が送られており、2月又は3月中にはブラジル側から何らかの要求が出されるかも知れないが、完全な合意に達すれば2002年の適当な時期には3台のFCバスが配備されることになろう。他の4カ国については、まだ計画の検討中(in the pipe line)であり、多少遅れることも予想されるが、今年中には合意に達するもの期待されている。エジプト、メキシコ、インドについてはそれぞれの首都がバス運行の候補都市として挙げられているが、中国は北京に加えて上海での運行を希望しているようである。  バスを提供するメーカは未だ未確定であるが、ブラジルの場合にはDaimlerChryslerが主要なサプライヤーになると思われる。しかし、Marco PoloやScaniaのようなブラジルのメーカがバスのシャーシを提供する可能性もあり、又Ballard-DymlerChrysler-Fordの合弁企業であるXcellsisは、FCエンジンを提供する用意があると語っている。UNDP/GEFの最高技術顧問であるRichard Hosier氏は、GEF理事会でのプレゼンテーションの中で「目下のところFCバスの値段は200万ドルに近く、現存するデイーゼルエンジンバスとは競争できる状態にはないが、1,000台以上のバスが生産されるようになるであろう2007年から10年頃には、50万ドル以下にまで下がるでろう」との期待を表明している。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, February 2001, Vol.XVI/No.2, pp1-3)
 
4.MCFC
 FuelCell Energy(FCE)は、Los Angeles Department of Water and Power(DWP)から、出力250kWMCFCプラント2ユニットの追加発注を受け、この度245万ドルで契約を結んだと発表した。第1号プラントは2001年第4四半期に、第2号は2002年の第1四半期に引き渡される予定である。以前に受注したプラントは2001年後半にはDWPの本部に設置されることになっている。FCEは上記以外にも今までに2プラントを受注した実績を持っている。その1つはオハイオ州CadizにあるHarrison Mining Corpの炭鉱に設置したプラントで、これは炭鉱から噴出するメタンガスを燃料として動作する出力250kWのMCFCシステムである。契約額は450万ドルであった。2番手は出力3kWのメタノールFC(MCFCとは記されていない)で、これはVirginia Beachに近いFort Storyの灯台に設置されることになっている。(Hydrogen & Fuel cell Letter, January 2001, Vol.XVI/No.1, p8)
 
5.SOFC
 NKKはSOFCで、アメリカのシーメンス・ウエスチングハウス・パワー(SWPC)と販売提携したことを明らかにした。今回NKKが取得したのは、定置型SOFC発電システムの販売権、ならびに日本・アジアでの同システムのパッケージ化・販売・アフターサービスに関する実施権である。1スタックの出力が250、300、1,000kWの標準3機種をベースに、2003年以降の導入を目指している。今後、NKKは03年にもSWPCが商用機を出荷するのに合わせ、同年に加圧型の第1号機をNKK施設に持ち込んで実証実験を実施し、市場の育成を図る予定である。SWPCは既にすでに250kWのコジェネシステムをカナダで、300kWのハイブリッドタイプをドイツで、1,000kWタイプをアメリカおよびヨーロッパでそれぞれ初号機を契約しており、この標準化した機種をベースに、現在の1kW当たり数百万円のコストを、02年には準商用化レベルの50万円以下に引き下げる。(日刊工業、日本経済新聞01年2月19日、鉄鋼、電気、日経産業、日本工業、日刊工業、朝日新聞2月20日)
 
6.定置式PEFCの開発と実証運転
 (1)荏原製作所
 荏原製作所は2001年1月31日、苫小牧市・西町下水処理センター内に汚泥処理の際に発生する消化ガスを燃料にした出力250kWPEFC発電システムの実証試験装置を建設し、同年7月から2002年11月まで試験運転を継続する予定であると発表した。消化ガスを燃料とするPEFCユニットの実証運転は世界でも例がない。今回のシステムは、既設下水処理施設で発生するメタンが60%、CO2が40%の消化ガスから、ジエタノールアミンを吸収剤としてCO2を除去するガス精製方式を用いている。PEFCユニットはカナダのバラード・ジェネレーション・システムズ製で、実証試験に必要な消化ガスは苫小牧市が無償供給し、発生電力は苫小牧市が無償利用する。(日本工業、日経産業、電気、北海道新聞、化学工業日報01年2月1日)

(2)荏原バラード
 荏原バラードは2月22日、自社藤沢工場で性能試験を行っていた家庭向け1kW級PEFCコージェネレーションシステムのプロトタイプ機で、42%を越えるDC端発電効率を達成したと発表した。また、排熱回収効率も43%を超え、家庭向け1kW級コージェネレーションユニットとして高い発電効率と排熱回収効率を達成したことになる。今後、性能と信頼性の向上およびコスト削減を図ることで2004年での商用機販売を目指す。(電気、日経産業、日本工業、日刊工業新聞、化学工業日報01年2月23日)

(3)日石三菱
 日石三菱は、ガソリン(ナフサ)を燃料とする小型PEFCコジェネレーションシステムをIHIと共同で開発し、2001年2月8日から日石三菱精製・横浜精油所で実証試験を開始すると発表した。これはIHI製の出力5kWPEFCスタックに、日石三菱が開発した改質装置、排熱回収装置、およびCO除去装置を組み合わせて構成されたシステムであり、大型冷蔵庫程度の大きさと伝えられている。石油産業活性化センター(PEC)の研究テーマの一環として開発されたもので、防災対応型の小型パッケージとして、またコージェネレーション用としてサービスステーション(SS)などへの適用を目指している。発電効率は36%、総合エネルギー効率は85%、NOxは10ppm以下、騒音は55dB(機側1m基準)であり、全自動起動/運転が可能、災害時には2〜3日の自立運転ができる。実証試験を踏まえて、2001年度中にはSSでのフィールド試験を行うことにしている。2004〜05年での実用化を目指し、設備単価は50万円/kWに設定した。(朝日、日刊工業、日本工業、日経産業新聞、化学工業日報01年2月1日、2月9日)

(4)IHI
 IHIは2001年2月7日、米国のPEFCメーカーのモザイク(本社:イリノイ州)に200万ドルの資本参加をすると発表した。IHIは2000年11月までにモザイクへの出資を含むPEFCシステムの開発を決めたが、今回の資本参加によりモザイクが自主開発・製造しているPEFCスタックを導入し、IHIの改質器などと組み合わせて、5〜20kWの定置型FC発電システムの実用化を加速させる。2002年春に販売を開始することを目標としており、国内のガソリンスタンド、コンビニエンスストア、集合住宅向けに分散型電源としての市場を開拓する。モザイクは米国GTI(ガス・テクノロジー・インスティチュート)と全米第2位のガス会社であるナイソースが出資し、1999年8月に設立した定置型PEFCメーカーであり、現在同社はナイソースに3kWのテストプラントを納入してフィールド試験を実施中である。(読売、日本経済、日刊工業、日本工業、日経産業、電気新聞、化学工業日報01年2月8日)

(5)デュポン
 アメリカのデュポンは、PEFCの急速な市場拡大に対応するため、FC事業部門を新設した。同社が有する関連専門知識と技術を統合的に活用し、世界のFC市場で素材や部品の大手サプライヤーになることを目指すと述べている。2000年には、本社近くにFC技術センターを開設しており、今後数年かけてMEAやセパレーターなどのPEFCの主要な構成部品を開発していく計画である。なおFC市場は2010年までに100億ドル規模になると予想されている。(日経産業、日刊工業新聞01年2月12日、化学工業新聞2月13日、日刊自動車新聞2月16日)
 

7.PEFC自動車用エンジンの連続生産
(1)Xcellsis
 Xcellsisによる新しい自動車用PEFCエンジン生産組み立て工場が正式にオープンし、それを祝う式典が行われた。アメリカ・カリフォルニア州San Diegoの北約20マイルに位置するPowayに建設された2階建てビルは52,000sqftの面積を擁し、その内の20,000sqftは設計部と生産部を含む本部管理部門によって、残る約30,000sqftの面積は生産と組み立てのための工場、機器類のショップ、倉庫、製品の集配場によって占められている。Xcellsis自身は全面積の半分をカバーし、残る半分は自動車メーカにリースされることになっている。当初は年間30ユニットのエンジンを生産するに過ぎないが、スタッフの増員に伴って将来は年間最大600ユニットの生産量にまで増加する予定になっている。これはプロトタイプの製作から、少量ながらも連続生産に移行することを意味しており、それに伴ってスタッフの増員が予定されている。現在は150人の従業員が配置されている。Xcellsisの投資額は約200万ドルであった。
 カリフォルニア州Powayに出現したこの新しい生産設備と本部管理棟のオープニングには、開発グループの代表的なFCVであるJeep Commander 2、Ford P2000、Mercedes Necar 4aが並べられ、1部のゲストには試乗が許された。式典はXcellsisのCEOを務めるRick Cooper氏の司会で進められ、主席者にはFord Motorの役員でTh!nk Groupの責任者であるJohn Wallace氏、California Air Resources BoardのAlan Lloid議長が含まれていた。州知事のGray Davis氏も招待されていたが、カリフォルニア州のエネルギー危機があり、出席したかどうかは確認できなかったとリポーターは伝えている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, February 2001, Vol.XVI/No.2, p1, p3)

(2)旭化成
 旭化成は2001年3月中に、PEFC用セパレーター連続生産のためのパイロットプラントを完工し、稼働させることにした。同社は電気分解用イオン交換膜の世界大手で、同イオン交換膜の生産ラインを活用してPEFC用のセパレーターをサンプル供給してきた。今回、NEDOの支援を得て、燃料電池用のセパレーターを連続生産できるパイロットプラントを同社川崎工場内に新設するもので、FCVの商業化に取り組む自動車メーカーなどの試作ニーズへの対応を本格化する。同社では、早ければ2003年にフッ素系ポリマーで年数十トン規模の生産設備を新設することも検討している。(日刊工業新聞01年2月21日)
 

8.DMFCの開発研究
経済産業省が98年度の補正予算事業として実施した"DMFCの研究開発"に関する技術評価報告書(案)がこのほどまとまった。同研究開発においてはDMFC単セルの発電能力で0.1W/cm2以上を達成するなどの成果が得られている。報告書では「高い発電性能が得られ、これによりDMFCの自動車用電源、可搬式携帯電源としての可能性が見えてきた」と評価しながらも、実用化までにはイオン伝導膜のメタノール透過性の向上など、まだ多くの技術的課題を克服する必要があるとしている。本プロジェクトは、NEDOから(財)日本自動車研究所に委託して、98年12月から約1年実施された。主な研究成果としては、既存のイオン伝導膜(ナフィオン膜)と触媒電極の組み合わせにより作成した単セルで、出力密度0.114W/cm2を達成した点が挙げられる。又電流密度についてはPAFCやMCFCより高い数値を示した。(化学工業日報01年2月19日)
 
9.FCV最前線
(1)日産自動車
 日産自動車は、01年2月1日付けでFCV専門の開発部など技術・開発部門に"FCV開発部"など4部署を新設する組織改正を実施した。"FCV開発部"は人員60人で、FCVの開発を担当する。日産は資本提携先である仏ルノーとFCVを共同開発することで合意しており、今後5年間に850億円を投じる計画である。(日刊工業、日本工業、日経産業、日刊自動車新聞01年2月2日)

(2)スズキ
 スズキは、GMグループ内のFCV開発で、小型車への適合技術研究についてのリーダーシップを担うことになった。現在GMが主体となって、グループ内でFCV開発を進めているが、スズキも今年から本格的に共同開発に参加するとともに、小型化技術の開発に向けて積極的に参画、今後同社が中心となってFC小型化のための技術開発に貢献する考えである。このため社内の技術スタッフ数人をGMの研究現場に派遣するとともに、特にリッターカーなど小型車への適合などを中心の研究開発を進める。(日刊自動車新聞01年2月21日)
 

10.FCV公道試験
(1)マツダ・ダイムラークライスラー
 マツダとダイムラークライスラー日本ホールディングが申請していた走行試験用メタノール燃料FCV車両について、国土交通省は道路運送車両の保安基準に基づき公道走行試験を許可する大臣認定を行った。FCVが一般公道を走行するための大臣認定は始めてである。道路運送車両の保安基準に基づく大臣認定は、安全や公害防止規準が定められていない試験的に製造された自動車が公道を走れるように規準を緩和する制度で、規準の策定や改善を図るため一般公道走行を特別に許可するものである。両社は2000年2月から8月にかけて、東京都、横浜市、広島市の一般公道でフリーテストと呼ばれる市街地走行試験を実施する。使用する試験車両はマツダが"プレマシーFC−EV"、ダイムラークライスラー日本が"メルセデス・ベンツ・ネカー5"である。
 公道試験で、安全性データや排出ガス、燃料消費量など環境に関するデータ収集を行い、これらのデータは国土交通省にも提供され、今後の燃料電池車の規準づくりにも利用される。(朝日、読売、毎日、東京、日刊工業、日本工業、日経産業、日刊自動車新聞01年2月9日)

(2)ホンダ
 ホンダは自社開発したPEFCを搭載したFCV"FCX−V3"の公道実証試験を、アメリカ・カリフォルニア州で開始した。日本の自動車メーカー自身で開発したFCによって公道を走行するのは初めてである。ホンダは2000年11月から、カリフォルニアFCパートナーシップに参加しており、バラード社製PEFCを搭載したFCVで走行試験に取り組んでいた。今回開発したホンダ製PEFCはバラード製に比べ出力が63kWから70kWに増加しており、厚さは5cm程薄くなっている。又凍結対策が施されており、0℃以下の気温でシステムのデータを収集することができる。ホンダは同州での実証試験で、バラード製と自社開発のFCを搭載した2車種で実験を継続する予定である。なお、燃料は引き続き高圧水素を使用し、最高速度は時速130km、車両重量は1,750kgである。(日刊自動車、日経産業、日本工業、日刊工業、東京、産経、日本経済、読売新聞、化学工業日報01年2月14日)
 

11.FCおよびFCV用燃料の生成
(1)エキシー
 環境ベンチャーのエキシー(千葉県浦安市)は、同社が開発した"食品廃棄物ガス化発電システム"の営業を強化する。このシステムは生ゴミから発生するバイオガスから水素を抽出し、FCにより発電しようとする構想で、20トンの生ゴミの処理で200kWhの電力を生み出すことができる。大手食品メーカーや外食産業などに食品廃棄物の排出量削減を義務付けた"食品リサイクル法"が2001年4月に施行されるため、本システムは今後注目を浴びそうである。具体的な発電のプロセスは、1)食品廃棄物を大量に出す事業者の敷地付近に廃棄物を破砕して液状化する"サテライト"を設置、2)サテライトにたまった廃棄物をバイオガス発生装置に搬送し、生成したガスを脱硫装置に送る、3)水素を抽出してFCを稼働させる、から成り立っている。サテライトや発電プラントの状況は、工業用携帯電話等を使って遠隔操作出来るようになっている。(電気新聞01年1月30日)

(2)東邦ガス
 東邦ガスは2月20日、FCVの燃料となる水素を天然ガスから製造するプラントを、愛知県東海市の同社総合技術研究所内に設置したと発表した。1日当たりFCV30台分に相当する40m3/hの水素を製造する。更に7m3の貯蔵タンク、10m3の水素吸蔵合金製充填スタンドも導入した。投資総額は1億1,000万円。FCV向けの水素ステーションの実用化技術を、早ければ2003〜4年度にも確立したいと述べている。水素ステーション用にこうした装置を設置したのは国内では初めての試みである。(中日、日経産業、日刊工業新聞、化学工業日報01年2月21日)
 

12.マイクロFCの開発体制
 国際的に著名なFCの研究者として知られていたShimshon Gottesfeld氏は、2000年12月に約15年間を過ごしたLos Alamos National Laboratory(LANL)を辞め、Mechanical Technologyの研究開発部門の主幹の席に着く事になった。これはMechanical Technologyが、携帯電話やコンピュータなどポータブルな電子機器用電源としてのマイクロFCの開発と商用化を進めるためである。同時にMechanical TechnologyのDr. William Acker社長は、LANLとの間でDMFC技術に関するライセンス契約に調印したことを発表した。彼は「DMFCは携帯電話等ポータブルの電源として期待されている」と述べ、同社のGeorge McNamee会長は「ポータブルエレクトロニクスの劇的な登場は、社会を大きく変革させ、同時にそれはポータブル電源に対するニーズを劇的に引き上げることになった。我々はこのニーズをマイクロFCで満たすための行動に参画する」と述べている。このMechanical Technologyは、長期に亘ってFCの開発に従事してきた会社であり、1997年秋にはDetroit Edison等と共同でジョイントベンチャー"Plug Power"を立ち上げている。
他方Gettesfeld氏は、電気化学およびその触媒、電気化学的電源に関する130もの論文を発表すると共に7つのパテントを持ち、LANLに就任する以前には、Brookhaven National Lab.およびBell Laboratoryに席を置いたことがある。2000年2月、彼はMotorolaと共同で行ったマイクロDMFCプロトタイプの試作に関してリポートしたが、その時Motorolaは3ないし5年以内にマイクロDMFCを商用化するであろうと語っていた。その2年前、嘗てLos Alamosの研究者であったRobert Hockaday氏が、DMFC電源の開発成果について初めて発表し、それ以降この開発はニューヨークに本拠を置く投資グループManhattan Scientificsによって援助されてきた。Gottesfeld氏はMechanical Technology/LANLおよびLANL/Motorolaの2つのプロジェクトは、平行して進められるであろうと語っている。
(Hydrogen & Fuel Cell Letter, February 2001, Vol.XVI/No.2, pp7-8)
 
13.FCVに関するアンケート
 自動車用の新たなエネルギー利用技術として最も注目されるFCについて、石油連盟がドライバーおよび一般を対象にインターネットを通じたアンケートを実施し、このほど分析結果をまとめた。調査を通じて、FCは自動車エンジン用としての実用化が期待されてはいるものの、その仕組みについて充分知られていないし、次世代システムとしては当面はハイブリッドを挙げる人が多く、FCに対する一般の理解が必ずしも進んでいない現状が判明した。地球温暖化防止京都会議(COP3)で策定されたCO2削減目標を達成すべき2010年に、自らが乗っている自動車がFCVであると予測した人の割合は1割程度にとどまっていた。(日刊自動車新聞01年2月22日)
 
― This edition is made up as of February 21, 2001. ―